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目標管理手法『OKR』。今、注目の理由と基礎知識

2023.04.03

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自律したキャリア形成が求められる現在、仕事にポジティブに向き合うことの重要性は増すばかりです。

今、OKRが注目されるのは、個人の目標と企業・組織の目的をリンクさせることで、1人ひとりの達成感、モチベーションの向上が期待でき、仕事を自分事に捉えることができるからです。

OKRとは

目標管理手法の一つであるOKRObjective and Key Result)が最近注目を集めています。この手法はインテルのCEO兼会長であったアンドルー・グローヴが、ドラッカーの提唱したMBOをもとに考案したもので、1970年代には既にインテルで導入されていました。

OKRは、アメリカではGoogle、日本ではメルカリといった、急成長を遂げた企業が導入していることで知られています。

O:Objective=意義・ビジョン・目的・目標
KR:Key Result=主要な成果

この2つの要素から成り立つOKRは、企業・組織の目標をチームそして個人におろしていき、具体的かつ細分化させた目標に設定します。社員一人ひとりが目標を達成することで、企業・組織の全体目標が達せられるという仕組みです。

OKRが他の目標管理手法と比べて特徴的なのは次の3点です。

1つめは、Key Result100%の達成が望めない高い数値に設定することです。高い目標を追うことで、質・量ともに可能なかぎり理想に近い成果を上げることを目指します。

2つめは、チームや個人のOKRを公開してメンバーに共有するというものです。全体目標の達成のために、メンバー同士が互いの活動を支援することができ、何より他者の取り組みとその進捗を知ることはモチベーションの向上に寄与します。

3つめは、振り返りスパンの短さです。まず目標の達成期間を四半期先や半期先といった短期間に設定します。進捗は1週間や隔週で設けるミーティングで上司と共有し、活動内容の擦り合わせを行うことで、互いに翌日からの活動内容を把握します。設定期間を短くすることで柔軟性が増すこと、目標が新鮮さを失わないことでメンバーのモチベーションが維持されることなど、様々なメリットがあります。

今、OKRが注目される理由

グローヴの着想から実に50年以上経過した現在、OKRが再び活用され始めた理由として、次の2点を挙げることができます。

①スピードの時代である現代と親和性が高い
②現代の職場環境でも、組織への貢献意欲を高めることができる

①のスピード時代との親和性は、目標の設定期間やフィードバック期間の短さが、OKRを導入した企業に競争力をもたらしたことから、追随する企業・組織が増えていったものと思われます。

②の組織への貢献意欲向上については、働き方改革等によって拡大する、仕事に対する価値観の多様化や、リモート環境によって落ちてしまった社員の貢献意欲が、OKRに対する期待を高めたかもしれません。なぜならOKRは、企業・組織のビジョンや目的を、部門⇒個人の順にブレークダウンさせてコミットメントするもので、個人目標の達成が企業・組織の目的達成に直接的に関与するからです。

テレワークの実施にともない、コミュニケーションの質や頻度が下がった企業・組織もあります。そうした組織では、今までオフィスで顔を合わせることで保持していた仲間意識が薄れ、貢献意欲が減少していく傾向にありました。

また、テレワーク下で求められる自律したキャリア形成の意識は、良くも悪くも企業・組織とメンバーとの心理的な距離を広げ、そのせいで目標達成に対する価値を低めていくことになります。

OKRは企業・組織のビジョンや目的と、メンバー自身の目標とが密接に関与します。しかも、OKRにおける目標値はストレッチなもので、あらかじめ挑戦的な目標を設定することによってもたらされる高い結果に期待するからです。これは、安全確実な目標を設定してお茶を濁す他の目標管理手法と大きく違う点です。

自律したマインドで仕事に取り組むメンバーであれば、OKRの高い目標を達成するまでの道程を楽しみ、所属する組織のビジョンを意識して行動してくれるでしょう。

メリット・デメリット

ここで、OKRを導入することのメリットとデメリットについて整理したいと思います。

まずはメリットから。

企業・組織のベクトルが統一される

ここまで述べたようにOKRは組織と個人の目標がリンクしています。そのため、メンバー一人ひとりの目標が違っていても、それを束ねて進む先は同じ方向を向いています。

行動に繋げやすい

企業・組織の目標が明確であり、自分もその一端を担っていることで、メンバーは根拠をもって行動を起こすことができます。アイデアを発信したり、意見を述べたりする際も全体目標が後押ししてくれます。

メンバー同士が繋がり生産性が増す

全メンバーの目標を公開するOKRでは互いのタスクを容易に認識することができます。チーム内に限らず部門を超えた協働の可能性もあります。組織内コミュニケーションが活性化すれば、部門越境によって生まれるイノベーティブな取り組みや、他部署のプロフェッショナルなメンバーの支援を得ることによる、効率的な仕事の進め方を期待することができます。

メンバーのモチベーションが上がる

企業・組織の目標達成に貢献するイメージが持てることで、メンバーのモチベーションが向上します。

このように、うまく機能すれば組織目標達成に効果的なOKRですが、当然デメリットも考えられます。OKRのデメリットはメンバーのモチベーションが下がる危険をはらんでいることです。これは目標設定のルールに起因するもので、企業・組織の目標と自分の目標とを繋げることができないメンバーや、OKRの特徴である高い目標に翻弄されるメンバーがモチベーション低下に陥ることが考えられます。

組織の目標にコミットメントできず納得がいかないまま高い目標を掲げることになると、メンバーのモチベーションは下がってしまいます。また、私たちは100%達成しなくてもよいと言われても、目標数値を目指そうとする真面目な一面を持っています。目標=クリアしなければならないもの、という「呪縛」が存在するのでしょう。しかし、OKRの目標は、達成できないことを前提に設定するため、これを目指そうとすると心理的にも体力的にもストレスがたまり、結果としてモチベーションが下がるメンバーも少なからずいるわけです。

デメリットについては、OKR導入時の組織側の説明や目標設定時の上司による丁寧な介入によって、ある程度回避することができます。大きなメリットを期待することができるOKRですから、スタートアップの時点で杞憂をなくしておくべきでしょう。

OKR導入の際は、企業・組織の全メンバーがOKRの特徴を把握し、高い目標や頻繁に行われる振り返りミーティングの意味を理解していなければなりません。また、チーム、部門、全社がそれぞれに掲げるOKRをメンバーが知っていることも大切です。個人の目標の達成がチームや企業・組織の利益にどのように関与するのかを理解していることで、モチベーションが維持され前向きな活動が期待できるからです。

MBOやKPIよりグッと機動性の高いOKR、自組織への導入がもたらす効果を検討してみてはいかがでしょうか。

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