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ロクゼロコラム

ロクゼロ注目!ビジネススキル

プレゼン上手の先輩はTEDテクニックの本質を知っている

2022.06.17

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皆さんご存知のTEDTEDとはTTechnologyEEntertainmentD:Designの分野で講演会を主催している非営利団体です。ビル・クリントンやビル・ゲイツなど、多くの世界的な著名人が聴衆を前にプレゼンテーション行い注目を集めました。中でもジュリアン・トレジャー氏やニール・ハービソン氏のスピーチは伝説的と言われています。さて、このTEDのプレゼン、ビジネスシーンで参考にできるテクニックはあるのか、気になります。

TEDとビジネスプレゼンの違いを整理

ビジネスシーンではお客様や上司を説得したい、納得してもらいたいといった場面で、プレゼンテーションを行います。プレゼンテーションソフトを活用してスライドを作成、更に必要なトークを加えて相手のポジティブな決断を促すのが、プレゼンテーションの一般的なイメージです。

その際のセオリーと言われているのが、「結論から述べること」「シンプルであること」です。たとえ、「お勧め商品」や「承認を得たい提案」にまつわる感動的なストーリーがあったとしても、それは後回しです。場合によっては、最後まで伝えずにお蔵入りさせるほうが望ましいことさえあります。なぜなら、ビジネスシーンでは、私たちのプレゼンテーションに対して相手が乗り気とは限らないからです。

乗り気でない相手は、話者の回りくどく独りよがりなプレゼンテーションに興味を持ってくれません。ストーリーがなかなか結論に至らないと退屈になり、やがてプレゼンとして不合格とされるのが関の山です。

そのため、ビジネスシーンのプレゼンテーションや上司への報告などはシンプルでわかりやすいことが求められるのです。

一方TEDでは、プレゼンターが朗々とストーリーを語ることを善しとしています。わかりやすく伝える必要はありますが、エモーショナルな秘話やちょっとした笑い、問いかけなどをプレゼンテーションに盛り込み、聴衆の関心を引くことがむしろ歓迎されているのです。ビジネスシーンで嫌われるこの話法が、なぜTEDでは許されるのでしょうか。その理由は聴衆にもともと「聴こうとする意思があるから」です。

TEDの聴衆は、プレゼンテーターの主張に耳を傾け、納得し感動したいと思っています。この意思とスタンスがあることで、感動秘話が率直に感動として伝わり、プレゼンターの想いは受け入れられます。もちろん、期待が高いだけに、プレゼンテーションが稚拙であったり反感を買う内容であったりすれば、聴衆の反応はとても冷たいのですが…。

とどのつまりは、「誰に」「どうやって伝えるのか」、なのだ

シンプルとエモーショナル、ビジネスプレゼンとTED

この2つのプレゼンテーションは、180度といってよいほどスタイルが異なります。それを話の組み立て方、構成の側面で整理すると、ビジネスプレゼンテーションはwhat(結論)→how(どのように)→why(理由)の順序で語り、一方で、TEDのプレゼンテーション構成の多くは、whyhowwhatの順で、まず自分の想いを伝えることから始められています。whatwhyの順が入れ替わり、真逆の構成です。

これほどストーリー構成が違っても、どちらも想いが伝わり、話者が目的を果たせるのは何故でしょうか。答えは簡単、それぞれ相手を見極めたプレゼンテーションだからです。

さて、唐突ですが、“想いを伝える場面”として「プロポーズ」を例にしてみます。端的に「結婚してください」と伝えるか、プロダンサーを巻き込んで華々しく「フラッシュモブ」をやってみるか、求婚する側は、どうしたら相手に喜んでもらい良い答えを引き出せるかを一生懸命に考えるはずです。きっと相手の性質や日頃の二人の会話を考慮して、最適と思う言葉や方法を選ぶことでしょう。なかには「プロポーズの言葉はなかった」という夫婦もいますが、それは具体的な言葉を必要としないほどに、普段から想いが伝わっていたということです。

プレゼンテーションは「誰に」「どのように」伝えるかでその方法が変わります。人生の一大イベントであり、自分の一生を左右するプレゼンテーションシーン「プロポーズ」では、誰もが相手を思い、その性格や立場、スタンスを見極めることをいといません。しかし、それらはビジネスシーンでは忘れられる傾向にあります。

商談や会議中のプレゼンテーション、業務時間中の報告・連絡・相談において、くどくどと周辺情報から話しをする、また話しを聞く時間はそれ程多くは用意されません。相手の立場や状況を見極めれば、何をどのように話すのが適切なのか、自ずと絞られてくるはずです。

まとめ

TEDは、最高峰のプレゼンテーションの一つですが、そのテクニックをそのまま私たちの仕事に応用できるとは限りません。なぜなら通常のビジネスシーンで、大勢の聴衆を前にしたプレゼンテーションをする機会は殆どないからです。とはいえ、私たちビジネスパーソンが参考にしたいことも、もちろんあります。それは「相手に確実に伝えるためにどう話すか」の意識です。

しかしそれ以上に、TEDの話者が“why”から話す理由や、エモーショナルなストーリーを壇上で展開する意味を考えることの方が、私たちにとって利になります。一般に、プレゼンテーションの目的は話すことによって聞き手に変化を起こすことです。ターゲットが聞き手である以上、その性質や立場、スタンスを考慮して語るべきなのです。

TEDの話者は正に「聞きに来た聴衆」に向けて語るために、TED特有のパフォーマンス(why、ストーリー)が善しとされています。私たちのプレゼンテーションの聞き手がどのようなスタンスであるか、その見極めはプレゼンテーション実施以前に重要です。

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