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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

社内勉強会の目的って何だろう? その必要性から考えてみた。

2020.07.29

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なぜ社内会議ではなく、社内勉強会なのか

社内勉強会に興味を持ち「やってみよう!」と思い立ったとき、皆さんには何か取り組みたい“課題”や改善したい“問題”があるのではないでしょうか。しかし、チームや部内の問題解決をしたいとき、一般的には定期的な会議や、臨時に開催する部門ミーティングなどで話し合い、解決策を見つけていきますよね。なぜ、会議ではなく「勉強会」をしようと思ったのでしょう。

勉強会の在り方に決まりはありません。もし、会議の場で日頃自分が感じている課題を議題にすることができたら、そして、先輩や同僚とその解決策や改善案について話し合うことができたら、それも本質的には勉強会の一つといえます。

仕事をしていて感じる「なぜ」や「知りたい」をどのように解消し、昇華するのか、社内勉強会の開催はその方法論の話しかもしれません。

社内勉強会を運営していて、その継続に苦労しているチームもあるでしょう。元も子もない言い方ですが、“課題”や“問題”の種類によっては、改善案や解決策が見つかった時点で、社内勉強会はその使命を終えることもあります。

それでも、一つの学習システムとして勉強会を継続したいと思うのであれば、そこには社内勉強会で「継続的に向上させたい何か」があるのだと言えます。

ところで、社内勉強会を継続させたいと考えているのは、「あなた」でしょうか? 「運営チーム」でしょうか? それとも「会社」の誰かでしょうか? なぜ社内勉強会が必要だったのでしょう。

 人生100年時代、社員は会社の成長に興味があるか?

「生産性資産」「変身資産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これらは長寿社会での人生戦略が書かれた世界的なベストセラー『LIFE SHIFT()で語られ注目された概念です。この本の著者は、寿命が延び高齢でも働かねばならなくなった社会では、金銭や家などの有形資産だけでなく、「生産性資産」「変身資産」といった無形資産を築けているかが充実した人生を送るポイントだと主張し、私たちの生き方について示唆に富む問題を提起しています。

●生産性資産…仕事の生産性を高め、所得とキャリアの見通しを向上させる要素

●変身資産…人生の変化や新たなステージへの移行を成功させる意思と能力

人生100年時代に入りつつあり、さらに終身雇用や年功序列といった日本型雇用制度の崩壊が現実的に始まっている昨今、私たちは、自分の資産価値をあげる努力をするべきなのでしょう。とっくに行動を起こしている人もいますが、“何となく”の肌感でその必要性を感じている人もきっといますね。

たとえば転職に対する意識の変化からも人生の捉え方の変化が分かります。総務省の統計では、今から39年前、まだ終身雇用制度が顕在だったころの転職者比率は2.9%でしたが、20201月~3月では4.7%になっています。この統計結果から類推できるように、一つの企業に依存しない考え方は今後も進みもっと一般的になっていくでしょう。

また、変化の激しい現在のビジネス環境では、たとえグローバル展開をしているような大企業でも絶対安泰といえないのが現実です。

 こうした時代に働く私たちは、会社に依存した生き方を見直さざるを得ません。だとしたら生産性資産・変身資産の充実のために会社があると考えるのが健全に思えてきます。

社内勉強会の当事者をシンプルに考える

社員一人ひとりが生産性資産・変身資産を充実させることを軸に「会社で学ぶ」シチュエーションを考えていくと、「社内勉強会はいったい誰のものか」といった思いが生じます。

実際のところ、運営チームなしに勉強会は存続できません。社内勉強会をシステムとして確立させるまでは時間や手間、また神経を注ぐことも多く、運営チームには社内勉強会への思い入れがありますよね。

しかし、あえて「社内勉強会は参加者のもの」と言いたいと思います。もちろん、勉強会の運営をとおして学ぶことは多く、その意味では運営チームにいる「あなた」のものでもあります。つまり、社内勉強会は「学ぶ者」のためにあると考えることができるでしょう。

学びたいと考える勉強会の参加者層は、会議や部門ミーティングで“課題”や“問題”を解決するだけではなく、課題解決に向けたステップを体験し学ぶ場がほしい人たちではないでしょうか。

社内勉強会を継続することによって、いつかは会社の業績を上げることに繋がるかもしれません。そして、「教え合い、学び合う」勉強会の理想の形は、「情報共有による業務の効率化」や「社内コミュニケーションの向上」などを、結果的にもたらすでしょう。

しかし、社内勉強会は、社員が「自分自身の価値を上げるためにある」と考えたほうがシンプルです。

働き方改革の推進もあり、ワークライフバランスの意識も高まっています。テレワークやオンラインでの研修など劇的に仕事の仕方が変化した2020年だからこそ、自分のために社内勉強会を活用しようと考える社員層も増えるでしょう。そのとき、社内勉強会の目的が、勉強会参加者のために設定してあるか否かは、勉強会継続を左右する要因になります。

もう一度言います。なぜ社内勉強会が必要だったのでしょうか。

 ※『LIFE SHIFT』…リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット共著、東洋経済新報社

※エンプロイアビリティ…雇用される能力