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「相互フィードバック」はなぜ注目されるのか

2022.10.19

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一生懸命に取り組んだ仕事であればあるほど、仕上げた仕事の出来がよいのか、悪いのか、そこのところを自分で判断するのは難しいものです。また、今後のブラッシュアップの方向性を見極めるのにも、ある程度の客観性がいるでしょう。そこで取り入れたいのが相互フィードバックです。

フィードバックとは何か

多くの場合、ビジネス領域でいうフィードバックは、上司から部下、先輩から後輩に対して行う、“目標達成に向けてする具体的なアドバイス”のことをいいます。主に人材育成や部下・後輩のモチベーションアップを目的に行われ、一般的にはマネジメント行動の一部と解釈されています。

そのフィードバックのポイントは、“具体的”であることです。

フィードバックは、部下や後輩の実際の行動や成果物に対して、それ以上でもそれ以下でもない“事実をもとにした範囲”のアドバイスであることが大事です。なぜならフィードバックを受ける側の納得度に影響するからです。

“事実”を対象にすることで、フィードバックの内容はポジティブにもネガティブにもなりますが、憶測や評価、決めつけなどがないことで、相手が受け入れざるを得ないフィードバックとなります。

皆さんの経験を振り返ってみてください。上司や先輩からのアドバイスであっても、事実と反していたり、あまりに上司・先輩の主観が入っていたりすると、部下・後輩は心から納得ができません。もちろん、部下・後輩という立場なので、その場では「はい」と受け入れる素振りを見せますが、本心は違うかもしれません。そうすると行動や仕事の仕方は改善しにくく、結果的に2者の間に不幸な「わだかまり」が残ってしまいます。

事実にもとづくこと、これ、とても大切です。

相互フィードバックとは何か

さて、最近注目をされているのが、この上司・部下、先輩・後輩の関係にこだわらないフィードバック、相互フィードバックです。これは同僚同士で行われる場合もあれば、後輩から先輩、部下から上司、という場合も考えられます。いずれにしても、お互いの目標達成のためにするアドバイスであることに変わりはありません。年次の低い者からする「アドバイス」という表現がしっくりこないのなら、これを「情報提供」と言い換えてもよいかもしれません。

多様性の時代にあって、部下や後輩からの意見も取り入れるのは当たり前です。また、上司や先輩に対して意見をあげられるチーム・組織でなければ、日々変化していく消費者ニーズ、顧客ニーズを捉えることはできません。

では、相互フィードバックのポイントとは何でしょうか。それは、チームメンバー全員がその仕事の目標を把握していること、そしてブラッシュアップするために協力を惜しまない意識でいることです。フィードバックの際のネガティブな内容には、誰しも心穏やかにはいられないでしょう。まして、それが部下や後輩からのものであったら辛さも倍増です。

しかし、様々な立場、年齢層の人に意見をもらえる機会は、そうあるものではありません。それが、目標を把握してくれている(部下、後輩を含めた)協力的なメンバーからの自然発生的なフィードバックであれば、高い価値があると思いませんか?

自分の仕事のアウトプットにはそれなりの自負や固定観念があり、本当の意味で客観的に評価するのは困難です。フィードバックをくれるメンバーの存在は、その年次に関わらずとても貴重だと思うのです。

相互フィードバックを求める組織とは、その背景

相互フィードバックは、近年の職場のコミュニケーション不足からも必要性が増しています。ある職場のコミュニケーションについての調査では、対象企業の7割が「社内コミュニケーションに課題がある」と回答をしていました。そのなかでも私が注目をしたのは、コミュニケーション不足から生じる弊害として、情報共有や部門間の連携に次いで、「気軽な相談・質問」が挙がっていた点です。

実は、フィードバックは“相談”や“質問”に答える形でされることが多く、フィードバックが単体で行われることは少ないのです。つまり、この調査結果からは、コミュニケーションが減ったことによって、フィードバックの実施数も減ってしまったことが類推できます。

職場のコミュニケーションが減少した理由として明らかなものの1つに「コロナ禍」でのテレワーク推進があります。オンラインでつながらないと“相談”や“質問”ができない状況は、コロナ禍以前にオフィスでともに働いていたメンバー同士にも「一手間かかる」「相手の状況が分かりにくく気を遣う」など、“気軽に相談”という意味で影響があります。ましてコロナ禍に入社した若手社員にとって、先輩や上司と11でオンラインを繋いで“相談”“質問”をするのは、さらにハードルが高いことが想像できます。

他者目線の客観的なフィードバックが減少した穴を自分自身で補完するには、そのための訓練や改めての時間が必要です。何度も繰り返しますが、自分で作成した資料や、これと決めた仕事の進め方を固定観念なく客観的に振り返るのは難しいからです。

フィードバック自体は個別の仕事に対する具体的なアドバイスですが、このアドバイスの実施が繰り返されることによって、対象者のモチベーションを上げること、人材を育成すること、というマネジメント領域での目的の達成に近づくことができます。また、様々な角度の考え方や意見を汲み取るという意味で、多様性の確保からも日常的なフィードバックが求められています。

そして、これらを上司から部下、先輩から後輩といった1方向的なフィードバックにとどめず、立場や年次の壁を越えて行うことによって、組織や個人の成長を加速させることができ、変化の時代の速過ぎるスピードに柔軟に対応する組織の素地を作ることができます。

相互フィードバックの実施は、働き方、価値観、コロナ禍といったビジネス環境の変化を背景に、自律的に成長する組織に欠かせないアクションなのです。

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