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メンタルヘルスケア、3つのステップ

2022.10.11

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今年も後半に入りました。上期にまいた種をこれから回収していこうとされる皆さんも多いことかと思います。この時期のビジネスパーソンは、年度末に向けてご自身の成果の輪郭が見えてくるころ。自分では気づかないままに、思った以上の負荷をかけて仕事に取り組んだり、思い悩んだりしているかもしれません。メンタルヘルスについて考えてみました。

メンタルヘルス不調がフォーカスされる訳

ワールドワイドに展開するSDGsのうねりの中で、私たち日本の企業もその在り方が問われています。企業の目的は「事業を通して利益を上げ続けること」ですが、今はそれに留まらず「国や地域の発展、また従業員をはじめとする関係者の幸福に貢献すること」も重要であるとされ、後者を実現するために具体的な施策をとっているかが、より太い企業評価の軸となっています。

社員の幸せについては「働き方改革」の文脈で様々に語られてきました。国の制度改革もあり、ストレスチェックが実施されたり、男性の育休取得が進んだり、皆さんの身のまわりでもいくつかの変化があったのではないでしょうか。

2022年の日本の企業は、かつてない程に社員個人、つまり「人」に焦点があたっています。どれほど大きな事業であっても、その成功の鍵を握っているのは、社員一人ひとりが手掛ける日々の業務であるということ。会社が事業を継続させていくには、社員が十分にパフォーマンスを発揮できる環境を用意してこそだということ、それに気付いたのです。

一方で、個人にフォーカスするようになって、今まで表出してこなかった「健康ではない心の在り様」もつまびらかになりました。従業員のメンタル不調は、どの時代にも起きていましたが、現代ほど公に企業リスクの1つとして認識されることはなかったでしょう。

メンタルヘルス不調はなぜ起こる

では、職場におけるメンタル不調の原因とは何でしょうか。ここで整理しておきたいと思います。

・役割や地位の変化
・仕事の質、量に対する不安
・パワハラやセクハラなどを含む対人関係
・長時間労働を含む身体的負荷
など。

これらの不安やストレスは、どれもメンタル不調の原因となりますが、どの程度の負荷が問題となるかは個人差があります。ストレス耐性の強い人もいれば、もともと弱い人もいるからです。また、プライベートでの悩みが影響して、職場環境に敏感に反応してしまうこともあります。

まずは誰でもメンタル不調に陥る可能性があると受け止めて、周囲や上司が真剣に取り組む問題だと認識することが大切です。

メンタルヘルスケアの3つの段階

私たちは一日の多くの時間を職場で過ごします。職場は自己を確立する場所の1つで、実質的な生活の基盤であり拠り所でもあります。その職場での出来事が原因でメンタルヘルス不調に陥ると、仕事に支障をきたすだけでなく、人としての自分さえも否定してしまいたくなります。そのためメンタルヘルス不調は長期の休職に至ることも少なくないのです。

チームに求職者が発生すると残るメンバーに業務が分配されますが、それによりチーム全体が業務過多となり、同時に心理的な不安も増すようになります。一人のメンタルヘルス不調は連鎖的な負荷を生み出し、職場の生産性を下げてしまうのです。これでは組織を適切に運営することができません。

どの疾患も同じですが、調子が悪くなってから元の体調に戻すのはとても大変です。とくに職場のメンタルヘルス不調は本人の心の問題だけでなく、その原因となった不都合な職場環境を改善する必要もあるため、個人的、組織的に取り組まなければならず、根本的な改善には時間がかかると言われています。

そこで、メンタルヘルスケアには「未然に防ぐための3つの段階」を設けて対応するという考え方があります。

第一次予防:メンタルヘルス不調を未然に防ぐ

社員が健康な状態で行うセルフケアやストレスチェック、ストレスマネジメント研修などがこれに相当します。メンタルヘルス不調の原因となるハラスメントの撲滅運動や窓口設置もメンタルヘルス不調の第一次予防策の1つです。

第二次予防:メンタルヘルス不調の早期発見

メンタルヘルス不調が深刻な疾患に進まないように、社員の状態を把握するための施策を指します。早期発見と早期治療で本人および周囲への影響を極力おさえようというものです。定期健康診断や相談窓口の設置、産業医と面談できる仕組みを作って周知するなどが考えられます。

また、上司と部下の日頃のコミュニケーションも大切です。1on1などでチームメンバーの状態を把握することができると、不調者の早期発見につながります。遅刻や早退が増えたり、突然の有給休暇、無断欠勤などはメンタルヘルス不調のサインである場合があります。そうした部下に気づいたら、ミスや事故が頻発していないか仕事ぶりを観察して、相手を気遣う言葉かけをし、必要と判断した場合は専門家に相談するなど、治療を視野にいれた働きかけをします。

第三次予防:メンタルヘルス不調者の退職を防ぐ

メンタルヘルス不調で休職した社員の職場復帰を支援する段階です。ここでは優秀な社員の長期休職や退職を防ぐという意味があります。また、復帰者に対する理解やメンタルヘルスに対する理解が進んでいなかったり、職場環境が改善されていなかったりした場合、復帰をしても職場に適応できず、不調が再発してしまうことがあります。メンタルヘルス不調者の職場復帰支援は、本人に対する働きかけだけでなく、メンタルヘルス不調者を出してしまった組織を変革できるかが問われます。

まとめ

誰もが職場を大切に思い、生き生きと働きたいと思う気持ちに変わりはありません。しかし、その職場でメンタルヘルス不調を起こしてしまうこともあるのです。もともとのストレス耐性の強弱やプライベートでのストレスも影響するため、職場環境だけのせいではありませんが、私たちは大切な仕事の場を失いたくありません。そして、会社も事業の担い手である社員をメンタルヘルス不調を原因に失いたくはないのです。メンタルヘルスケアは会社組織の継続と成長に欠かせない取り組みです。まずは私たちの身のまわりでできることから、はじめてみてはいかがでしょうか。

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