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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

社内勉強会の役割~『情報・ナレッジの共有と掘り下げ』~

2021.06.04

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この数年、社内で「共有」という言葉をよく聞くし、使うようになりました。皆さんはいかがですか? 一昔前は「報連相」といっていた場面も、今は「共有」に差し替えて使っている印象です。報告や連絡と同じ意味合いの場合もありますが、「共有」には、投げた側も受けた側も、その先の行動に広がりがあるように思います。社内勉強会を「共有」の視点で考えてみました。

情報は、ゆっくりと速く、詳細で大略に社内をめぐる

2021年度がはじまり皆さんのもとにも新しい仲間が加わったでしょうか。新入社員は一生懸命に企業研究をして入社を果たしました。そのため会社のホームページにどのような情報が記載されているのか、ひょっとしたら皆さんより詳しく知っているかもしれません。ただ、企業風土や現場の空気感はまだ彼らには分かりません。今現在、会社が密かに開発を進めている商品やサービス、その成功のために実現が急がれている技術、新商品提供のために改変が必要な組織構成、などなど。これらは、社会人生活が始まったばかりの新入社員には、到底理解ができないことばかりです。そして、これらが他部署を中心に進んでいた場合は、現有の社員であっても分からない、ということがあります。

企業理念は社員一人ひとりに向けて一律に謳われていますが、事業部や部署、チームによってその関わり方は違います。目的は同じでも目標は様々ということです。新商品やサービスの情報をどのように処理するか、その人、部署の役割によって、情報に接するタイミングも意味合いも異なるのです。ある情報は営業部がつかんでいて詳しい、しかし、この情報は開発部でないと分からない。なんてことがありませんか?これこそが組織の組織たる所以なのですが、情報のある無しは、時としておかしな諍いを引き起こす原因にもなってしまいます。それは自部署や自チームを身びいきする気持ちから起こること。情報を受け取るタイミングや情報の内容が自分たちにとって不利益であったとなれば、上手に丸く収められなくなります。諍いにならないまでも、仕事に温度差が生まれギスギスとした空気になる、ということがあるのではないでしょうか。

こうしたことは企業規模の大小にかかわらず起きるものです。部署によって情報の切り口が違うため、情報そのものの重要性も、情報を受け取った後の展開の仕方も変わります。結果、営業部長は知っていて、開発部長は知らない、といったことが生じるのです。

社内勉強会を情報共有の場と捉える

社内勉強会は、若手の社員向けにビジネスマナーやコミュニケーションスキルなどをテーマにすることがあります。一方で、新商品開発に必要な技術や業界情報、ビジネス環境についてディープに学ぼうとすることもあります。活性されたチームが運営する社内勉強会なら、テーマ選定に1on1を活用するなどして、社員が今本当に望むテーマを提供することができていることでしょ

う(参考コラムhttps://rokuzero.jp/column/1on1/ ~1on1”を社内勉強会に活かすやり方~)。会社の「今」を敏感に映す鏡である、と捉えることによって社内勉強会は活性していきます。

勉強会はカジュアルにフットワーク軽く開催できるのが利点です。その点でいえば、会社が企画して行ういわゆる集合研修の比較にはなりません。プロの講師のような講義はできなくても、社内勉強会の参加者が抱える「分からない」「知りたい」「伝えたい」を共有しながら、対話を重ね、互いに学ぶことで成立させることができるのです。集合研修が、トップダウンで行われる示唆的な学習だとしたら、社内勉強会はボトムアップの学習であり、社員にとって必然のテーマをラインアップすることができるシステムです。

テーマのラインアップには幾つかの方法があります。「今年の新入社員もはやく職場に慣れてくれるといいな」、「資格試験や技術検定が近づいている」などの季節的・時期的な学習テーマから選択する方法や、1on1を活用して現場の声を抽出する設定方法などです。これらの方法で挙がったテーマは、まさに「今」社員が必要としていること。会社で起きていることを勉強会に取り込むことができます。社内勉強会は社員がつくる能動的な学びの場です。どのようなテーマが挙がっているか、そのラインアップを見るだけで、会社の今がわかるようでありたいものです。

「○○が分からない」を共有する意味

情報の共有とは、個人が知り得た事実やノウハウ、業務の進捗状況などを特定の個人や組織に知らしめることです。また、それらの情報を資産として活用することも意味する場合があります。そのため「分かっていること」の共有が基本です。しかし、皆さんは「○○について情報をお持ちの方がいらしたら教えてください」という社内のメールやチャットを見かけたことはありませんか?これは、何かが分からず困っていることを情報として共有しています。もちろん、この投げかけに対して回答があった場合は、それが「分かっていること」の共有になります。

社内勉強会は集合研修に比べてかなりスピーディーに動けるシステムですが、実際のビジネスシーンでは、想定外の短納期でお客様に回答しなければならない、ということが起こります。お客様に求められたのに一人で解決できない、時間がない、というとき、社内で協力者をあおぎ急ごしらえのチームを組んで対応しませんか。こうした時のチームこそ、社内勉強会の原始的な姿ではないでしょうか。現在の自分やチームには答えがないけれど、答えがないことを発信することによって、学習の場をつくり知識やノウハウを得る、現場に根差した勉強会そのものです。しかも、その過程には能動的な学習意欲や社員間のコミュニケーションがあります。

さすがに上記のようなスピーディーさを学習システムとしての社内勉強会に求めることはできません。しかし、すでにエッセンスを取り入れて成功している社内勉強会はたくさんあります。『早々に最新技術を活用して成果を上げた社員が、これからその技術を使おうとしているエンジニアに知識とノウハウを伝える。そこで新しい技術について掘り下げ、更に有効な活用方法が分かってくる』。社員の「知りたい」をベースに組み立てた、社内勉強会の在り方です。

まとめ

情報共有は、組織のパフォーマンスを上げ、人材育成を効率的に進めます。しかし、有効な情報も共有する仕組みがなければ、個人や一部のチームの暗黙知で終わってしまいます。また、情報が発信されても、受け取る側がその断片に触れるにとどまることもあります。「分からない」「知りたい」「伝えたい」、これらの切り口で社内勉強会を捉えることによって、情報をナレッジとして掘り下げて共有することができます。会社の「今」を映す鏡として社内勉強会を機能させるには、ボトムアップと情報共有の視点が欠かせないでしょう。