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ロクゼロ注目!ビジネススキル

組織が成長する「入社1年目のあるべき姿」とは

2021.11.22

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「メモ術」を学ぶあるワークショップ。参加者の年齢は様々でしたが、同じグループに20代の若者が1名いらっしゃいました。聞けば社会人1年目の23才だそうで、「メモの魔力」の前田裕二みたいになりたい、とか。しかし、本当のところは、仕事でミスが続いたことをきっかけにメモの取り方を勉強してみようと思ったのだそうです。今回は、社会人1年目のあるべき姿について考えてみました。
※メモの魔力 The Magic of Memos 前田 裕二著 幻冬舎

結論「信用できる人」こそ社会人1年目のあるべき姿

ワークショップで出会った若者は、テレビCMも目にする大きな企業の社員の方でした。同じような小さなミスを繰り返してしまい、その対応策を先輩が一緒に考えてくれたそうです。その際、普段自分がとっているメモノートを見てもらったところ、「なるほど、このメモが元凶だな」と言われたらしく、メモ術のワークショップへの参加となりました。

私は、その人のメモがどのようなものか、繰り返した失敗がどの程度のものかは知りませんが、「ああ、この人はきっと大丈夫なんだろうな」と感じました。

何故「大丈夫だ」と感じたか。それには2つの理由があります。

まず、ミスの対応策を一緒に考えてくれる先輩がいるということ、そして早速、社外のワークショップに参加していること。

先輩が後輩のミスや間違いを指摘するのは業務上の役割ですが、なかには早々に見限られてしまう新人もいます。また、先輩のなかには自分の仕事で手一杯で指導を放棄してしまう人もいます。縁のない他社のことで、社内の様子もその若者の仕事ぶりも分かりませんが、ワークショップの短い自己紹介に、先輩後輩のよい関係性を感じた気がしました。

そして何より、その若者の素直さが素晴らしいと思ったのです。その人のミスの繰り返しが、本当にメモの取り方に起因するのか、その点は定かではありません。もっと根本的な問題があるようにも思います。しかし、今まで多くの新入社員と仕事をしてきた私としては、「メモの取り方がよくない」と言われ、即、その勉強をする素直さは涙物です。プライベートの時間を仕事絡みの勉強に割く意欲にも感心しました。

ワークショップで出会ったその若者が、実際のところ素直で意欲的な新入社員かどうかはさて置き、そのような後輩となら、よい人間関係が築けるのではないかと思います。少なくとも、その若者にはミスをなくす方法を共に考えてくれる先輩がいるようです。たしかにミスの繰り返しは困りますが、互いに信用できないことはもっと困った事態を招きます。それは、チーム力が最大出力にならず、目標達成までに回り道を強いられるからです。

何をもって信用してもらうかは新入社員の個性によりけりです。素直さ、意欲、行動力・・・。まだ駆け出しの社会人が戦力不足を補うために何をすればよいか。新入社員本人はもとより、周囲の先輩・上司も考えておきたい課題です。

人間的信用が仕事のチャレンジ権を呼び込む

先輩・上司と新入社員が互いに信用できる関係にあった時、なぜチーム力がフルパワーになるのでしょうか。

人間関係がギスギスしない? パワハラが起こらない?

たしかに退職理由ランキングをインターネットで検索すると、どの調査結果も上位は「人間関係の悪さ」であり、給与や待遇ではありません。人間関係に振り回されることで勤続意欲が下がってしまうのです。一方で、安心できる人間関係を築いているチームのメンバーは業務以外のことに気をとられる必要がありません。仕事に集中できる環境はチーム力を上げるでしょう。

また、業務だけに注目をしても「信用」は大事なカードです。皆さんは経験の少ない新入社員に仕事を任せるとき、何を基準に仕事を選びますか。おそらくハードルの低さ、「これならば出来るだろう」という判断が働くのではないでしょうか。そうして一つ一つ超えるハードルの高さを上げていくのではないでしょうか。それは、その時点での相手の業務能力をどの程度信用できるかの判断です。

ところが、業務能力とは別の信用を拠り所に、仕事を任せることもあります。それは、任せる相手の日頃のやる気、真面目さ、誠実さといった「人間的な信用」を頼りにする場合です。このとき、先輩・上司側は「たとえ失敗があっても自分がフォローする」「責任をとる」と覚悟しているものです。失敗も織り込み済で仕事を任せる、それだけの信用を得た新入社員だけが、次のステップへのチャレンジをさせてもらうことができるのです。

皆さんご存知のとおり、業務知識を得るだけでスキルが上がるわけではありません。新入社員は、本人の努力に加え、お客様や取り引き先の方、他部署のメンバーとのコミュニケーションややり取りのなかで成長していきます。それが分かっているから、私たちは新入社員に早く経験を踏ませてあげたいと思うのです。

仕事へのチャレンジ権を得る新入社員がいるチームは、早期に戦力の底上げを図ることができます。予定より早くハードルの低い業務を手放せた先輩社員が、創造的な仕事に取りかかることで、目標達成に向けてプラスのループが回りはじめるからです。

まとめ

企業規模や組織の成り立ちの違いから、新入社員の期間にどれほどの仕事を任せるかの判断は異なるでしょう。しかし、労働力人口の減少は、あらゆる企業にとって喫緊の課題です。「新入社員はこの仕事」といった捉われは、新入社員本人はもとより、現有社員の仕事の質にも関わります。なぜなら、課される仕事の量が増えれば、仕事の質は必然的に落ちるからです。新入社員自身があるべき姿を考え模索すること、また、その姿になろうと行動することは、「点」の話ではありません。チームや組織の成長に影響を及ぼす「線」、「面」の課題なのです。入社1年目のあるべき姿、皆さんの組織ではどのように捉えていますか。

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