Column
ロクゼロコラム
ロクゼロ注目!ビジネススキル
コーチングは難しいと思う人、その気持ち共感します。
2022.06.27
「コーチング」という言葉がビジネスシーンで違和感なく聞かれるようになりました。後輩や部下を持つ皆さんにとっては、ティーチングとあわせて部下育成の場面で意識する概念なのではないでしょうか。ただしコーチングをするには、それなりのトレーニングが必要なことも事実です。だからでしょうか。“コーチングとは何か”を知ってはいても、日頃から行っているという人は意外と少ないものです。今回はコーチングについて考えてみました。
コーチングとは何かをおさらい。
研修の仕事をしている会社に在籍しているからなのか、今やコーチングという言葉は特別ではありません。部下育成関連の研修プログラムには必ず組み込まれるスキルであり、コーチングスキル単体の研修プログラムも存在します。コーチングは多くの日本企業が必要としているスキルであり概念なのです。
ただ研修プログラムで求められるということは、今現在、どの企業でも上手く行えているわけではありません。コーチングが何かは知っているけれど、どのように、どの場面で行えばよいのか、そのスキルをどのように磨けばよいのか、この辺りは、わかっているようで、まだ手探りなのではないでしょうか。
まずは、コーチングとは何かを定義します。
コーチングとは、「目標達成のためのコミュニケーションスキルで、対話を重ねることによって対象者の気づきを引き出し、勇気づけ、自発的な行動を促すもの」です。
部下との面談や対話をコーチングとして認定するにはいくつか条件があるようです。
条件①目標達成のためにある条件②コミュニケーションスキルである条件③対話を重ねるものである
これら条件を面談や対話で実践することによって、対象者の気づきを引き出し、勇気づけ、自発的な行動を促すことができて初めて、その面談や対話をコーチングと呼ぶことができます。
これは、案外難しそうでう。
コーチング認定条件を振り返ってみると・・・
ある程度予測はできることなのですが、私たちのような会社の先輩や上司にとって、コーチングを上手くやり遂げるのは簡単なことではありません。それは前段のコーチング認定①②③の条件を見返してもわかるように、コーチングは後輩や部下と一定の信頼関係がなくては成立しないからです。
目標達成のために日頃から密に連携をとり、仕事の段取りや進捗を共有している理想的なチームであっても、後輩や部下と1対1で時間をとって面談の場を設けることは少ないのではないでしょうか。
もし、あったとしても、それは問題が起きてからということはないでしょうか。たしかに私の社会人経験を振り返ると、問題が起きてからの報連相は、概ね遅滞なく行われていました。しかし、目の前に対処すべき問題があるとき、後輩と先輩両者の時間的・精神的な余裕はないのが常です。状況的にもティーチングが適切であり、場合によっては先輩・上司が事の顛末を巻き取って処理することもあるでしょう。
コミュニケーションや対話についてはいかがでしょうか。反目したり対立したりすることはないが、十分なコミュニケーションがとれていると言い切れるほどの自信はない。そんなところではないでしょうか。
“飲みにケーション”が死語と言われて久しいですが、20代・30代の若手社員は社内のメンバーと就業時間外に関わりを持たないのが基本だといいます。その相手が上司ともなれば、なおさらその傾向が強く表れることが予想できます。
もっとも業務に関わる情報共有は、就業時間内に社内で行えばよいので、ここに“飲みにケーション”を引っ張り出すことが、そもそも時代錯誤です。
ただ、20年、30年前の日本のビジネスシーンに生息していた身である私は、そうした飲みの場で聞いた後輩・先輩の本音や上司の仕事術、取引先の情報などが、その後の仕事に役立ったことを事実として経験しています。
ネット社会となり社員同士の会話がチャットにとってかわるようになりました。ましてやこの時節柄、会話を控えるために対面で話すことを極力避けるのが一般的です。ふとした会話で得られる感覚的な情報は、それを得ようにも今や術がありません。
コーチングの難しさを認めよう
ご存知のように、コーチングはコーチが対象者に質問を重ねることによって、対象者の気づきを引き出そうとするものです。そのためコーチと対象者の間には、少なくともコーチングが成立するだけの信頼関係が必要です。
しかし、社内コーチングには“評価”という障壁がついてまわります。コーチが直接対象者の評価者でなかったとしても、同じ社内でのこと、コーチング中の吐露が評価を下げないだろうか、と訝る人がいても不思議ではありません。
また、コーチはたいてい対象者の先輩か上司ですから、コーチング中の質問の端々に必要以上に“指導”が顔を出す傾向にあります。
(※コーチングをしていて、対象者が自分の望みどおりに返答しないことにイライラした経験がある人は、指導教育をしようとする気持ちが強すぎます。本来コーチングの結果に“正解”はありません。正解のある事象に対してコーチングを行っているとしたら、それはティーチング領域が適切なのかもしれません。この辺りの見定めも難しい。)
視点を変えて、対象者の立場でコーチングをイメージしてみます。
「答え方次第で評価に影響がありそうだ」 「相談してみたけど途中から先輩が明らかに不機嫌だ」なんていう状況は、もうイヤになりませんか? もっとも前段として、コーチング中の質問に真剣に回答するかは、対象者がコーチを先輩や上司として認めているかに左右されます。また、コーチングではなく答えを教えてほしいという若手社員も少なくありません。
世の中には「プロコーチ」という職業があり、報酬を支払う以外はまったく利害関係のない彼・彼女らだからこそ話せることも、会社の先輩や上司には話しにくいという気持ちもわかります。プロコーチの存在が社内コーチングの難しさを物語っている訳ですが、私たちはビジネススキルの一つとしてコーチングを認識しています。コーチングを成功させる前提条件や環境、またコーチングスキルそのものが、なかなかに難しいことと認めたうえで、仕事の段取りや方法についてコーチングできるのは、同じチームの先輩・上司以外にないことを自覚しなければなりません。
まとめ
「質問で相手の気づきを引き出す」。冷静に考えれば、社内コーチングを行うには相当な覚悟が求められます。コーチングのテーマに精通していたいと思い、対象者を受け入れる心の余裕を持ちたいと思い、そして良い方向に導いてあげたいと思うでしょう。コーチングテーマになりそうな業務知識や心の余裕は、皆さんの日々の鍛錬に期待するとして、コーチングスキルはスキルとして学ぶことが可能です。後輩や部下ができたら学習テーマの一つに検討してみるのもよいのではないでしょうか?
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