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ロクゼロコラム
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パワハラ加害者にならないための部下指導
2021.09.27
子供たちに「いじめはいけないこと」と教育する立場でありながら、大人も「いじめ」をやめることができません。労働局に寄せられる職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、令和元年に87,570件、また、同年の精神障害による労災補償の支援決定は509件ありました。今回は職場のパワハラを整理します。
※『個別労働紛争解決制度実施状況』 発表者:厚生労働省 集計対象:平成19年度-令和元年度
職場のリーダーが自覚すべきこと
パワハラは上司から部下に対してだけ行われるものではありません。同僚同士、部下から上司、あるいは部署、チームぐるみで行われることもあります。しかし、どのような時も職場のリーダーによる影響は大きいものです。役職者の不用意な発言や行動が、いじめや嫌がらせのターゲットを絞り、パワハラを誘発させることもあります。
一方で、自部署やチームをパワハラが起きない組織に改善し、育てることができるのも、やはり職場のリーダーです。
これは、職場でのパワーバランスによるものですが、残念ながら、この「パワー」が職場での優位性を生み、リーダーを容易にパワハラ加害者にしてしまいます。つまり、リーダーには「力のある者」としての自覚が求められているのです。
そうしたなか、部下指導において「パワハラにならない叱り方」を難しいと感じているリーダーは少なくありません。
パワハラは世間の誰もが認識していて、企業のパワハラ事案が外部の知るところになると、アッという間に株価が下がります。また、厚労省も力を入れており、「あかるい職場応援団」というハラスメント対策の専門サイトを運営しています。
部下もこうした背景を承知し、上司の行動、とくに指導の仕方をよく観察しています。職場のリーダーは常にパワハラチェックを受けている環境にいるといっても、言い過ぎではないのです。
指導とパワハラの違いとは
パワハラがよくないことであり、管理職、リーダーはその加害者になりやすく、ゆえに周囲の目も厳しいことが分かりました。
しかし、社会人として適切な価値観を備えていない部下や、間違いを繰り返す部下への指導は、つい感情的になり語調も強くなる傾向にあります。ここで、指導とパワハラの違いについてまとめましょう。
厚労省は職場のパワーハラスメントを次のように定義しています。
『①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの』
本来、人と人の関係は平等であることが理想ですが、運営上の必要性から、あらゆる組織に階層や役職といったヒエラルキーが存在します。そうした階層や役職を間違って認識することによって、ゆがんだ優越感が生まれ、パワハラを引き起こしてしまうことがあります。
次に指導を定義してみましょう。
指導とは、「目標達成や課題対応の支援を目的に相手を教え導くこと」です。
指導の定義には色々と解釈がありますが、業務遂行上で必要な考え方やスキルを与えることといってよいでしょう。良い点や改善点をフィードバックしたり、難しい仕事を上司としてフォローしたりといったことが含まれます。
注意したいのは、指導が部下の「失敗」や「間違い」に言及することが多い点です。こうしたとき、人は瞬間的な感情の高まりから、必要以上に相手を叱責する傾向にあります。丁寧に「叱る」べきところで「怒り」が前面に出て、パワハラが首をもたげるのです。
指導とパワハラの違いにおいて最も重要な点は、それが「誰のためであるか」です。組織で後輩や部下をもったら、「相手のためを思ってするのが“指導”、自分のためにするのが“パワハラ”」と常に自戒しましょう。
パワハラを起こさず部下指導をするために
パワハラを起こしてしまう時の心情として、よく言われるのが「保身・ストレス発散・見下し」の3つです。
部下の失敗が自分の評価を下げたと言って攻撃する、自分の失敗を部下のせいにして非難するなどは、保身。チームの成績が悪い、私事で問題を抱えているなどの鬱憤を部下にあたるのがストレス発散。役職の意味を取り違えて威圧的になること、男性であること女性であることを起因とした差別、能力や経験の高低による否定などは、見下しです。
保身、ストレス発散、見下しは、人の弱いところをついて現出します。誰にでも起こり得ることで人間的であるだけに、これらの感情を全く起こさないのは難しいですが、まずは、自分の現状や傾向を客観的に把握してパワハラの芽を摘んでおきましょう。次の4点を振り返ってみてください。
・過度なストレスがないか(仕事、プライベート、家族、健康、借金etc..)
・自分勝手で利己主義に陥っていないか
・人より優れていることに固執していないか
・長期、短期双方の視点で仕事を捉えているか
いかがでしたか?もちろん、これらが直接的にパワハラの原因になるわけではありません。しかし、感情が不安定だったり、成果や評価に不満があったりした時は、よくよく注意が必要です。
指導の際は、自分の感情に注意をしながら、部下の何がいけなかったのか、期待していた成果物のイメージや目標とのズレを具体的に伝えましょう。そうすることで、なぜ指導を受けているのかが相手もよく理解できます。
そして、たとえ部下に改善が見られなかったとしても、それを相手の非と思わないことがパワハラ回避の大切なコツです。
部下の育成指導はリーダーや管理職の仕事の一部、職責です。相手のためを思い、どのように指導をすればよいのか十分に考え、次につなげましょう。
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