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ロクゼロ注目!ビジネススキル

2023年度版「入社1年目のあるべき姿」とは

2023.02.20

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2月後半、企業では、いよいよ今年の新入社員を迎える準備が本格化していく頃ではないでしょうか。このところの社会環境の急激な変化は、企業側、新入社員側、その双方に毎年のように新しい課題を残します。今回は、入社1年目の社員が乗り越えるべき壁について考えながら、そのあるべき姿を整理したいと思います。

壁1:学生と社会人の違い

「学生」から「社会人」へ。そのマインドセットは、義務教育を含め、ほぼ学生としての経験がすべての新入社員たちにとって少々の時間を必要とします。マインドセットの必要性について、理屈で分かっていても行動が伴わなかったり、知らずのうちに甘えが出たりと、完璧に気持ちを切り替えるのは難しいことです。

近年はコロナ対策でマスク生活が長くつづき、またソーシャルディスタンスをとることがスタンダードとなりました。リモートでの勤務も導入されて、以前のように近い距離で職場の先輩と仕事をする時間が減り、その回数も少なくなっていることが予想されます。

もっともコロナ以前から、会社での人間関係は少しずつ整理されてきました。希薄というのとは違いますが、昭和より平成、平成より令和の方がビジネスライクにことが運びます。個人的な関係性が薄れること、また、共にする時間が減ることで、新入社員は「社会人とはこうしたもの」といった、一種のロールモデルを決めかねているのかもしれません。

令和の、そして、このコロナ禍の新入社員に、先輩たちが体験してきた距離の近い指導を受けさせてあげることはできません。同様に、先輩社員は、2023年に入社してくる社員と同じ立場で同じ経験を積むことはできません。お互いが未経験であるにも関わらず、できることの選択肢はそう多くはないのが現状です。

人は経験から学ぶといいます。早い時期に学生から社会人へマインドセットするには、社会人としての誇りややりがい、また厳しさについて、今まで以上に意識的に体験的アプローチを試みる必要があるのかもしれません。

壁2:コミュニケーションの認識

壁1でお話ししたように、今は臨時的にコミュニケーションの量が減っています。ただし、減ったことを肌で感じ取っているのは、コロナ前に社会人として仕事をしていた人のみです。新入社員たちは、今、この現状がスタンダードであり、リモート会議も、リモート営業も特別なことではありません。

たとえば、顧客との関係性に対して、若い世代とベテラン世代では求める密度が違うようです。「もっと距離を縮めて顧客の動きを把握して」と焦るベテラン世代に対し、焦る様子はなく、知り得た情報で素早く打ち手をまとめる若者世代。もちろん個人差もあり、どちらが正しいというわけでもないのですが、何かにつけて呪文のように「コミュニケーション」と唱えていたビジネスセオリーが、今、質・量ともに変わろうとしているのかもしれません。

何をもってコミュニケーションとするのか、私は、このコミュニケーションに対する認識・感覚が新入社員と先輩社員とで違うのだろうと思えてなりません。今は先輩社員、ベテラン社員の思う常識が会社内で圧倒していたとしても、社会やビジネス環境の変化とともに、いずれはコミュニケーションの認識も入れ替わっていくものと思われます。

何事にも変化はつきもので、今日の常識が常識でなくなる日もいずれ訪れます。ただ1つ言えることは、その過渡期にあって、今日の常識はやはり常識だということ。様々な世代が目的を共にする会社組織において、世代間によるコミュニケーションそのものの認識に齟齬があることを念頭に、時々によってその深度を調整するといった配慮が、円滑な人間関係と誠実な仕事を支えるのではないでしょうか。

壁3:業務知識と自己管理

1でお話ししたように、部下指導はかつての現場と様相が違っています。それは、昨今の新入社員たちは、先輩が受けた、手厚く、距離の近い指導を受けることは少ないことが予想されるからです。お断りしておきたいのは、OJTリーダーたちが部下指導をなおざりにしているわけではないということ。時代が、手取り足取りの懇切丁寧な指導を好まなくなり、コロナ禍でそれに益々拍車がかかったということです。

ところで、コロナ禍でも小中学生の学力が低下しなかったことをご存知でしょうか。これは「全国学力・学習状況調査」(文科省)の結果から分かったことで、平成28年度(コロナ前)と令和3年度(コロナ後)で、学力にほとんど変化がなかったのだそうです。世間は、休校などの影響で学力は低下するだろうと思っていましたが、そうはなりませんでした。文科省はその理由として「学校側の努力」を挙げています。当事者である学校や先生たちは、土日登校や補習授業、教材を工夫するなどして、児童、学生のために手を尽くしていたのです。

教える側、教わる側に物理的な距離があっても、取り組み方によっては学びに変化はない。これは社会人にも同じことが言えそうです。実際のところ、弊社の若手社員もリモート環境のなか着実に成長しています。

ただ懸念があるとすれば、これはティーチングの範囲で言えることで、先輩のやり方を見る、感じるといった実体験からの学びはどうしても少なくなります。もちろん、育成担当のマネージャーを中心に体験的指導を試行して、会社側はもうある程度の仕事を任せてよいと思っています。しかし、彼(彼女)らが自分自身の業務知識について、本心でどのように思っているかは分かりません。現段階で自信をもって取り組んでいるのか、あるいは不安を抱えて過ごしているのか、この辺りが計り知れないところです。

今後もコロナとは関係のないところで、新入社員と先輩社員の物理的な距離や、コミュニケーションの質・深度・機会は変化していくと思われます。業務知識を取得する方法や過不足について、お互いが正確に把握することが、今まで以上に大切になるのではないでしょうか。

入社1年目のあるべき姿

私どもは入社1年目の社員のあるべき姿として、「信用される人」を挙げています。共に働き成長していく仲間として、助け、そして助けられながら、サービスを創造していく。その為には、まずは人として信用を築くことが大切だと思うからです。

そのうえで、2023年の時代感を取り込んで「あるべき姿」を求めるならば、それは「好奇心」や「探究心」、そして、それらに裏打ちされた「能動的な行動」ではないでしょうか。周囲で起きる出来事の11つに興味をもって対峙し、先輩に対して何らかの反応を示すことができるとすれば、現代における距離感を超えて、互いを理解するのに役立ちます。また、そうして得た理解が信用を築いていくことでしょう。

そして先輩社員は社内で起きる全ての出来事が、新入社員にとって興味深く、探究心をそそるものであるように気を配る必要があります。また、先輩社員自身が、興味をもって関われば何事にも意味があり、学びがあることを、身をもって体現することも大切でしょう。

皆さんも、2023年度版自社の新入社員のあるべき姿について、考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。

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