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ロクゼロ注目!ビジネススキル

1on1が注目される背景とその効果について考える

2022.11.10

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1on1ミーティングの時間が近づくと思わず気鬱になる。そんな風に感じてはいないでしょうか?1on1が職場に導入され、すでに何度も実施しているのに、お互いに気まずい上司と部下。オンラインでの開催も手伝って、1on1になかなか前向きに取り組めないという皆様といっしょに、1on1について改めて考えたいと思います。

1on1の成り立ちをおさらい

1on1はアメリカ・シリコンバレー企業のカルチャーで、上司と部下が11で行う定期的な面談のことを指します。

シリコンバレーでは優秀な人材の引き抜きが日常的に行われていたため、各企業が人材の流出を防ぐために導入したと言われています。グーグルやマイクロソフト、インテルなど、世界規模のモンスター企業が導入していることで知られており、日本ではヤフー株式会社が2012年の組織体制刷新のタイミングで導入しました。

アメリカ、日本いずれも成功を収めている企業の導入例に、一気に1on1が拡がったのです。

1on1VUCAワールドと多様性

現代は、物事の変化が激しく答えのない時代であり、私たちが活動する世界は一般にVUCAワールドと呼ばれています。このVUCAワールドにおいては、働く理由やその方法論はそれぞれ違っていてよく、社員の企業に対する思い、貢献意識も様々あってよいのです。つまり「社員の数だけ存在する価値観vs企業」という図式が成り立ちます。

離職防止の策としては、企業側が一人ひとりの社員とどう向き合い応えるかが肝となります。

かつてオンラインコミュニケーションといえばメール一択だったのが、今やSNSがあり、社内チャットがあり、Web会議サービスがあり、今後はメタバースの本格的な展開も予想されています。

上司と部下、あるいは部署のメンバーが、仕事のこと、家族のこと、趣味のことなどをFace to Faceで話す機会は本当に減りました。コロナの感染拡大の影響もありますが、それ以前に日本企業における家族的なメンバーシップは崩壊を遂げています。

たとえば、かつては業務の指示や相談が喫煙所で行われていた時代がありました(若い世代の方にとっては?!ですよね)。そのころ喫煙所は、デスク越しの対話に比較して、より濃密なFace to Faceのコミュニケーションの場でした。また、社内の人間関係のトラブルや、有休をとる理由(家族のことなど極々個人的な理由)が飲みの席で何気なく、しかし本気で語られたりもしていました。

今日では、多くの企業が社内禁煙制なのではないでしょうか。よって喫煙所で仕事の話しがされることは、ほぼなくなりました。飲みの席については、若い世代もベテラン世代も、プライベートの時間を大切にするようになって減っていきました。加えて飲みの席に無理に同席させること、飲みの席での言動などが、ハラスメントのきっかけとなることもあり、上司と部下が飲みにいく、いわゆる飲みニケーションも少なくなりました。

1on1の目的とは何か

思えば、1on1ミーティングでする対話と、喫煙所ミーティングや飲みニケーションでの対話内容は、同じとは言いませんがよく似ています。休憩時間や就業時間外にいたっても、職場のメンバーが一緒にいたのが普通だった一昔前、1on1は形を変えて日本の職場に存在していたのかもしれません。

しかし、VUCA、多様性の現代にきて、家族的な日本企業での働き方は段々と薄まっていきました。日本式1on1風味のチームコミュニケーションは、明文化されず定義付けもされていなかった為に、ハッキリとした形を成す前に、なし崩し的に存在を放棄していったのです。

人がそれぞれにどう行動するかを尊重することで、VUCAの時代を柔軟に生き抜こうとする潮流が、日本企業が得意とするチームワークの一端を奪うことになりました。日本企業の成功は、突出したエリートがチームをけん引するというより、優秀で真面目な人材による相互補完と相乗効果が、堅実で魅力的な商品・サービスを生み出すところにあります。そのシステム上、必要だったのがコミュニケーションだったわけです。

今、各社が1on1に光明を見出そうとするのは、かつての日本式1o1風味のコミュニケーションを取り戻そうとする動きなのかもしれません。

多様性を尊重しつつ、濃密なコミュニケーションをとる。

この一見相反する1on1の方法論は、シリコンバレーにも日本企業にも必要とされました。1on1は上司と部下の信頼関係と組織力の強化を目的に実施されています。

1on1の効果とは

契約社会のアメリカ・シリコンバレーでは一人の社員が担当する業務はハッキリと明文化されており、1on1は効率的でドライに、契約業務の障害となる事柄について話し合っていくことになります。

日本ではどうでしょうか。雇用契約関係にある企業と従業員ですが、担当業務まで細かに取り決めて契約を結ぶことは稀です。つまり、私たち日本企業の上司と部下が行う1on1は、何について話すかが非常に曖昧なのです。

1on1の時間が近づくと気鬱になる理由は「べつに話すことがない」からですよね?

かつての私たちは1on1に似た日本式のコミュニケーションをとっていました。仕事の話も家族の話も、キャリア形成や職場の人間関係についても吐露していたことがあったのです。それらは非常にラフな環境で行われていました。しかし、飲みニケーションと違い、1on1が業務の一環だと思うと、私たちは少し気構えてしまうようです。まずはラフな気持ちで話せる関係性をつくることが先決なのでしょう。

さて、お互い「話せる」ようになり、仕事に対する思いを聞くことのできる関係性を築けたとき、上司と部下、またチームにはどのような良いことが起こるのでしょうか。

部下にとっては、上司から直接フィードバックがもらえる貴重な機会となります。自分の将来ビジョンを上司と共有し、その実現のために必要なスキルや経験についてアドバイスや支援を得ることができます。

上司にとっては、部下の仕事のボトルネックを知る機会となり、チーム目標達成のために改善すべき事柄の明確化ができます。またフィードバックをすることで、部下の仕事の進捗と成長を支援することができます。

チームにとっては、メンバー各々の仕事が円滑に進むことで目標達成に近づくことができます。また、メンバーのスキルやパフォーマンスが向上すれば、チーム全体の基礎力も強化されます。

蛇足的、1on1成功の秘訣

日本の企業では担当業務について契約で取り交わすことが少ないですね。その場合、部下の業務進捗に障害があったとして、単に部下のスキル不足が原因なのか、その仕事には関わる他の関係者が要因なのかが分かりにくくなります。とくに後者であった場合は、部下の口からは言い出しづらく、1on1でその話しをする際は、湿った対話になってしまうでしょう。

上司は、部下の日頃の仕事ぶりやキャラクターをよく観察し、相手が話しやすい態度で1on1に臨むのが望ましいといえます。また、予め部下の業務負荷を認識しておくことも大切です。相談をされても業務負荷の度合いをイメージができないのでは、信頼を得られるアドバイスや支援ができないからです。

1on1は部下に主導権があり上司はあくまでも聴く側です。ただし、部下が話し始めてくれるのを待つだけでは実りのある時間を過ごすことはできません。相手の話しを聞く姿勢や傾聴のスキルを今一度振り返り、部下の吐露を引き出す質問や呼び水を用意しておくことを忘れないようにするべきです。

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