Column
ロクゼロコラム
成長企業の社内勉強会探訪
成長企業の社内勉強会探訪 Vol.04_digglue編
2020.10.22
“価値を発掘し、障壁を無くす”をミッションに、主に製造業に対し、ブロックチェーンやAIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援。BaaS(Blockchain as a
service)の活用を強みとし、活用事例やBaaSの選び方を発信するメディア「BaaS info!!」を運営。また、個人を対象にブロックチェーンをオンラインで学習するサービス「EnterChain」を無料提供している。
EnterChain
https://enterchain.online/top
ブロックチェーンメディア
https://baasinfo.net/
Twitter(株式会社digglue)
https://twitter.com/digglue
Twitter(ブロックチェーンメディア)
https://twitter.com/BaaSinfo1
高い学習意欲と本質を見出す当事者意識。プロフェッショナル集団を導く、digglueカルチャー。
「価値を発掘し、障壁を無くす」をミッションに掲げ、ブロックチェーン、AIの導入コンサルティングや開発を行う株式会社digglue。代表取締役社長であり、ブロックチェーン技術のスペシャリストである原 英之氏に話を伺った。
株式会社digglue CEO
カリフォルニア州立大学ノースリッジ校心理学部卒業。2018年にワークスアプリケーションズを退職後、株式会社digglueを創業し、ブロックチェーンを中心とした事業展開を行う。現在展開する事業には、企業のDX促進コンサルティング・開発事業や、ブロックチェーン技術および事例に焦点を当てたメディア「BaaS
info」の運営、世界一わかりやすいブロックチェーンの仕組みを無料で学べる「EnterChain」の運営などがある。
ライター / 編集者
渡邉 良文(わたなべ よしふみ)
1976年、神奈川県生まれ。株式会社ヒップスターゲート代表取締役。
富士通株式会社を経て、人材育成業界へ転身。数社の研修会社にて講師、コンサルタント、営業統括マネージャーを経験。
2007年、日本を代表する大手電機メーカーの新入社員1200人の研修を総合プロデュースし、大規模研修における独自のノウハウを蓄積。
2010年5月、人材教育コンサルティング会社「株式会社ヒップスターゲート」を設立。現在は受講者を主体とした研修に注力をして商品・サービスを開発。
受講者が研修に没頭できる環境を実現する「ビジネスゲーム」を提供したり、「人は誰でも、常に学習している(自ら成長できる)」をモットーに、研修内製化や社内勉強会といった、企業の人材育成の自走・自立のサポートに力を注いでいる。
著書:勝手に人が育っていく! 社員100人までの会社の社長のすごい仕掛け(かんき出版)
渡邉
本日は、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。早速ではございますが、御社が社内勉強会を始められた経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
原社長
定期的に勉強会を行うようになったきっかけは新入社員への指導でした。その当時は私を含めた特定のメンバーが新人教育をしていたのですが、その際に「社内全員の知見を知る場が必要ではないか」という意見が挙がったんです。それが始まりですね。
渡邉
教育を外部委託する企業も多いなか、社内で取り組むのはどういった理由からでしょうか?
原社長
私と(共同代表を務める)中谷は、これまでもかなりのビジネス経験を積んでいると自負しています。なので、外部にアウトソースするより、我々が直接教えてしまったほうが早いんですよね。
渡邉
なるほど。
原社長
もう一つは、当社の事業で活用するブロックチェーン技術(※)の高い専門性が挙げられます。この技術を事業に活かすには、公式の資料だけでなく自分自身でスキルをキャッチアップする必要があります。外部の委託先では、そこまでのレベルで教育を実施することは不可能なんです。
※データの事後的な改ざんを困難にする技術。当初は仮想通貨(暗号資産)ビットコインを実現するために考案された技術だったが、現在では企業向けにアレンジされたブロックチェーンが様々な業界で使われている。
渡邉
かなりハイレベルな内容ということですね。でも、だからこそ社内勉強会を文化として根付かせるには、苦労されているのではないでしょうか?
原社長
色々と工夫を施しました。当社では、大切にしたい価値観と行動指針を表現した「カルチャーガイド」を作成しています。その中で、学習は重要な位置づけになっているんですよ。社内勉強会は、カルチャーガイド内の「学習習慣」「好奇⼼と探求⼼」「アウトプットする」を満たした取り組みといえますね。あとは、とにかく回数を重ねることです。当社の社内勉強会は、平日の毎朝9時から行っています。
渡邉
カルチャーガイドにのっとった活動ということですね。これまで数多くの企業様の取り組みを伺いましたが、毎日開催されているのは御社が初めてです。
原社長
ブロックチェーンは技術の進歩が早いんです。個人学習だけではキャッチアップできる情報量が限られているし、遅れをとることもあります。そういった意味で、他者のナレッジを毎日共有できる社内勉強会の場は必要不可欠なんです。
渡邉
そうすると、社内勉強会では、主にブロックチェーン技術をテーマに取り上げていらっしゃるのでしょうか?
原社長
ブロックチェーンももちろんですが、それ以外のことも扱っています。例えば、過去には財務諸表の読み方、IRを活用した業界研究、ビジネスモデルなどを取り上げました。曜日ごとに分野を設定して、それに合わせて各自が自由にテーマを選択して発表しています。ブロックチェーンなどの技術系テーマは火曜日と金曜日に行っています。
渡邉
かなり幅広いビジネス知識を学べるんですね。
原社長
はい、学習意欲が高い人には嬉しい環境だと思います。就業中に書籍を読むことができない職場もあると聞きますが、当社ではそういった行為はむしろ大歓迎です。学習意欲が高いことを採用基準の一つとしているくらいですので。
渡邉
そういった採用基準も社内勉強会をうまく継続できている一つの要因なのかもしれませんね。ちなみに、発表者はどのように決められているのでしょうか?
原社長
持ち回りで全員が担当しています。
渡邉
勉強会の資料作りが参加者の負担になっている企業も多いと聞きますが、御社は準備にどの程度時間をかけているのでしょうか?
原社長
そこまで時間を掛けている印象はないです。あくまで学びを深めることに重きをおいているので、発表の上手さや資料の質は重視していないですしね。あとは、参加者自身の業務からテーマをキャッチアップすることが多いので、そういった部分は負担を軽減させる工夫といえるかもしれません。例えば、新卒社員は週一回のペースで受講しているセミナーの内容を発表しています。他にエンジニアの場合だと、プロダクトやサービス開発によって得た学びなどですかね。
渡邉
そのような方針が、社員にとってストレスなく続けられる秘訣なんですね。先ほど、「学びを深める」というキーワードが出ましたが、御社の中で学びを深めるために意識されていることはございますか?
原社長
参加者全員が当事者意識を持つことです。例えば、私も勉強会に参加するのですが、発表者には「なぜ学ぶのか」「最終的なゴールは何か」を予め明確にしてもらいます。そうすることで、社員全員が共通のイメージを持ってその日の勉強会に参加できるので、自分事のように前のめりになってくれるんです。
渡邉
当事者意識を持っているからこそ、社内勉強会の重要性が理解できるんですね。毎日開催を可能にする要因の一つだと感じます。
原社長
『学ばなければ生き残れない』という危機感を常に持っていることも、継続に繋がっていると思います。今年入社した新卒社員もすでに社内勉強会で発表していますが、アウトプットすることがよい勉強になっていると感じます。去年まで大学生でしたが、現在は一人でクライアント対応するまでに成長してますし。お客さん対応を見ていると、技術やその活用方法を説明するのは私より上手いと感じますね(笑)。
渡邉
原社長も受講者として参加されているということですが、新卒社員にとって、社長を前に発表することはかなりハードルが高いと思います。そのハードルを乗り越えていることは相当凄いですし、他社の同年代の方と比較すると、大きな差が生まれているのではないでしょうか。他に学びをサポートするような制度があれば、ぜひお聞かせいただけますか?
原社長
特に明確な制度はないですが、社員から要望があった書籍は購入しています。あとはセミナーや講習会への参加費用は全額会社で負担しています。そこで学習した内容は出来る限り報告してもらい、社員共通のナレッジに落とし込んでいます。
渡邉
なるほど、そういったセミナーや講習会、または社内勉強会で使用したコンテンツは、具体的にどのように共有されているのでしょうか?
原社長
ドキュメントは“Notion”というツールに全て保存しているため、社員であれば誰でも閲覧できます。主に振り返りの際に確認で見ている方が多いですね。あとは毎回ではありませんが、社内勉強会の様子を撮影する時もあります。
渡邉
社内勉強会のコンテンツをすべて閲覧できることは、今後、入社される方にとっても大きなメリットですね。では、最後に、御社にとって社内勉強会とはどのようなものでしょうか。
原社長
我々が、ブロックチェーン業界を生き抜くための術だと考えています。技術の進歩が早い業界であるため、社員一人ひとりがアンテナを張り、最新の知識をキャッチアップすることが不可欠なんです。社員全員が当事者意識をもって社内勉強会に取り組むことで、新たなナレッジが蓄積され、当社の躍進につながると信じています。
渡邉
御社の大切にされている価値観、社内勉強会に対する姿勢についてよく理解できました。本日はお忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。