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ロクゼロコラム

ビジネスパーソン1UPへの道

「私はコレがしたい!」でタスクを整理。もう一つのAIのお話。

2021.01.18

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働き方改革やテレワークの普及の影響を受けて、この数年で私たちの仕事まわりは急激に「自律」がキーワードになってきました。今まで以上にタスク管理、Todoリストの大切さを身をもって感じている皆さんも多いのではないでしょうか。そんなTodoリストですが、皆さんは自分のために戦略的に使っていますか?

WBS、タスク管理、Todoリスト。自律に不可欠なフレームワーク

私の職場では、週1回のペースで各自のWBS=Work Breakdown Structure:作業分解構成図)をスタッフ間で共有して、業務の進捗状況の確認と支援体制の見直しをするミーティングをしています。WBSは一般的にはIT用語で、プロジェクト管理に使用されるツールです。私の職場はIT企業ではありませんが、各スタッフが受け持つタスクの相関関係が見える化されるためWBSを長年活用しています。入社後すぐにWBSの作成を求められるので、もしかしたら自分のタスクやTodoの管理は他社より身近なものとして根付いているかもしれません。

この、タスクなりTodoなりですが、毎日が忙しくなればなるほど「今週やるべきこと」「今やるべきこと」と、どうにも場当たり的になっていきます。一日の稼働時間は有限なので、業務が増えて場当たり的になるのは致し方ないことなのですが、「すべきこと」で溢れてしまったTodoリストはネガティブな気持ちを誘引しますね。

ところで、タスク管理とTodoリストの違いについて、ここで改めて確認しましょう。

■タスク管理・・期限のある業務を整理し見える化

■Todoリスト・・いつかやるべき仕事をリストアップ

タスク管理は納期の決まったプロジェクトや業務について作業工程ごとに期限をきって管理するものです。それに対してTodoリストは、いつか困ったことにならないように今の内にリストアップして作業に漏れがないようにするものです。

Todoリストと追いかけっこしていませんか?

働き方改革のキーワードの一つ「自律」を軸に考えるなら、「今週」や「今」やるべきことではなく、自分のためにTodoリストを作成したいものです。例えば将来的に独立や企業を考えているならば、ビジネスモデルや会計、情報発信の方法を学ぶ時間もTodoにいれたいですよね。働きながら育児をする方なら育児支援サービスの情報収集、完全テレワークで田舎暮らしIターンを目指しているなら、拠点の絞り込みや相談会への出席などもリスト化しなければなりません。

もちろん、もっと身近なことでもスケジューリングは欠かせません。人気漫画の最終巻が出版される前に1~22巻まで読んでおきたい!(きめつ?)と思うなら、気兼ねなく没頭できる週末を作る必要があります。

仕事とプライベートには境界がありますが時間は一続きです。私だけかもしれませんが、業務の遅れや手一杯の感覚はプライベートにも影響してしまいます。「やらなくちゃいけない」、こればかりの一日はとても辛いものです。まして、タスク管理やTodoリストからやるべきことが溢れだすと、自分の効率の悪さや能力の低さに落ち込んでしまいます。

効率よく抜けや漏れがないように作成する管理表やリストが、自分を気落ちさせてモチベーションを下げるようでは、本末転倒ですね。

ポジティブ思考の課題解決法。AI(=Appreciative Inquiry

AI(=Appreciative Inquiry)という課題解決方法をご存知でしょうか。AIは米国のデービッド・クーパーライダー教授、ダイアナ・ホイットニー氏らによって、1987年に提唱された組織改革プロセスです。組織や社員の強みを探求し、そのエネルギーを活かすことで形成する将来のありたい姿を描きます。その実現のために現状で障害となっているものは何かを検討して施策を立て実行する、というものです。一般的な課題解決手法は、現状の問題点とあるべき姿のギャップにアプローチするもので、whyWhatの深掘りが代表的なフレームワークです。ギャップアプローチは可及的に改善が求められる組織課題に対して有効ですが、イノベーティブな変革にはAIが適していると言えるでしょう。

AIの概念は組織の課題解決にはもちろんですが、私たち一人ひとりのTodo リストにも応用できます。ご自身のタスク管理やTodoリストを欠かさず更新している皆さんなら、自分は何が得意で不得手なのか、好きで嫌いなのか、リストの進捗を見直さなくとも、すでに胸の内で明らかになっていることと思います。とくにTodoリストのやり残し、繰り越し案件は自分の仕事の進め方の傾向がつまびらかになっているはずです。しかし、ここでは不得手、嫌いをいったんスルーしましょう。そうすると、自ら進んで取り組む傾向のある仕事がわかってきます。それが自分の好きなことであり強みです。

好きや強みを活かす、本当に「するべきこと」

その好きや強みを活かした仕事が増えることを想像しましょう。職場や家庭で、自分の好きや強みが認められている状態です。少し妄想チックですが意外と「こうだったらいいなぁ~」とイメージをふくらませることができませんか?

では、その強みをどうしたら周囲にわかってもらえるでしょうか。もっと好きに、そして強みにする必要があるのかもしれません。もしかしたらアピール不足なのかもしれませんね。

妄想した理想の状態になるために障害となっていることについては、この時点で見直しをします。Todoも本当に「するべきこと」なのかを再度考えます。長い期間を通じてやり残していて誰も困っていないようならリストから除外しても問題ないかもしれません。あるいは、手を付けることができない理由として「自分一人ではできない業務」かもしれないと検討するのもよいでしょう。誰かの手を借りることで、案外アッという間に完了してしまうかも。

まとめ

私は物事をリスクから考えるネガティブ思考の人間で一人で勝手に落ち込みます。しかし、曖昧なことに落ち込んでいないで、取りこぼしているものを見える化しようと仕事以外のタスクもTodoリストに加えるようにしました。今は自分軸で「やりたいこと」「あきらめること」を取捨選択する意識が生まれています。皆さんもAIの概念で身の回りを整理してみてはいかがでしょうか。