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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

未来の種をまこう!社内勉強会で本当に取り組むとよいこと。

2020.12.23

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社内勉強会でよく挙げられるテーマの一つに、業務改善があります。社外の講師が登壇することのない「社内勉強会」だからこそできる、まさに内々のテーマです。しかし、ある人から残念なエピソードを聞きました。それは、「業務改善ってことは、何か失敗があったわけで、結局失敗しちゃった人を吊るし上げる会になっちゃうんだよね」というものでした。

過去と現在を切り取る社内勉強会でよいのか

その会社では、大きなトラブルにはならないものの度々おこる一つのミスに対して、業務構造的な欠陥があるのだろうと仮説を立て、その原因追及と改善を目的に社内勉強会を開いたのだそうです。しかし、勉強会当日はミスをした人への“質問”“詰問”が連続し、当人はもちろん他の参加者も居たたまれない思いをしたということでした。

業務改善は社内勉強会のテーマとしてスタンダードです。また、このコラムでも何度となくご紹介してきました。しかし、このお話しを伺い、社内勉強会はもっと未来志向に舵をきるのがよいのでは、と思いました。

現代のビジネスにおいては、上手に時間を捻出することができた人が勝つという仕組みがあります。テレワークが普及し、自らの仕事を今まで以上にタスクで管理し、律していく必要が生まれました。ある人は一時間はやく起床してTodoを整理し効率的、戦略的に業務を遂行しようとします。ある人はメモを駆使したり、ある人はショートスリーパーを極めて、バイタリティで乗り越えようとしたりします。要するに時間はつくらなければ “ない” ということです。情報過多の時代となり私たちの選択肢は激増しました。今、するべきことで手一杯で、自分や会社の将来のために、今からしておくべきことに手が回らない、これが多くのビジネスパーソンの実情ではないでしょうか。

社内勉強会の独立した時間軸を有効に活用する

社内勉強会はリアルな問題、課題に端的にメスを入れられることがメリットです。進行中のプロジェクト、あるいは、若手社員に不足しているスキルやマインド、このようなことを敏感にキャッチしてスピード感をもってテーマとすることができます。おそらく、業務改善をテーマに開催された冒頭の会社の社内勉強会も、この感覚で行われたものと思われます。あまりよい結果にはならなかったようですが、社内勉強会で職場のリアルな課題解決を試みたやり方は間違っていたとは言えません。

一方で、「緊急ではないが重要な課題」に手をつけるのも社内勉強会の一つの形ではないでしょうか。

社内勉強会を開催している企業の代表や担当者にお話を伺うと、社内勉強会をきっかけとした、製品開発や新しいアイデアの創造を期待しているという声を聞くことができます。現時点での社内勉強会による従業員同士のミュニケーションの向上、ナレッジの共有については満足している。しかし、やはり将来的には価値創造があれば嬉しいという気持ちがあるということです。多様性を増した働き方にともない、社内の意見共有は新たな形を模索しなければならなくなりました。マネジメント層が牽引する今までの経営スタイルでは、一人ひとりの社員に理念は染みわたりません。

社内勉強会は、業務の流れを止めながらも有効に時間を活用できる希少なシステムです。「緊急ではないが重要な課題」に取り組む場として社内勉強会を運用することは、ある意味、究極の価値創造であり、自律した社会人の理想の姿ではないでしょうか。

先行き不透明な時代にするべきこと、未来の種まき

今現在のお客様に応えることは企業の責任です。そして、将来のお客様に価値ある製品・サービスを提供するのも、同じように企業の責任です。2020年は、世界中の多くの企業がその存続をかけて必死に施策を打ち出しました。先行きは不透明で、経営者から末端のアルバイト社員に至るまで、明日の我が身の安心を思わないではいられませんでした。しかし、いつの日も先行きが明らかだったことはありません。それはビジネスに絶対はないからです。不透明なのは、去年も今年も同じことです。

不確実で不透明であればこそ、今日でも明日でもない「将来の会社の在り方」を一人ひとりの社員が考え話し合う機会があってもよいのかと思います。つまり、未来の種まきです。皆さんは自社の中期経営計画がどのようなものか、把握していますか?中には、今年その中計を見直した企業もあるかもしれませんが、いずれにせよ会社の経営方針の実働部隊は社員です。将来のために今何をするべきか、一般社員がそんなことを話すのも悪くはないでしょう。

社内勉強会はその性質上、過去や現在に焦点を当てがちですが、未来志向で意見を出し合う場として存在してもよいのではないでしょうか。コロナ禍で働き方が変わるということは、仕事へのスタンスと責任も見直さなければと思うのです。組織は目標がなければ歩みようがありません。それは私たちも、社内勉強会も同じです。未来の種をまきましょう。