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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

社内勉強会で学びを深めるには?するべきこと、まとめ。

2021.05.10

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興味のあるテーマの社内勉強会だから参加したのに「難しくて分からなかった」とか、「1週間たったら内容を忘れてしまった」なんてことが起きてしまっては残念です。勉強会運営チームやファシリテーターは、有意義な社内勉強会となるように工夫をしなければなりませんね。今回は社内勉強会での学びを深める方法について考えてみました。

運営チームの活動を振り返ることから始めよう

「当事者意識」という言葉があります。私の周りでは、仕事への取り組み姿勢の話をするときに、主体性や積極性と合わせてよく使用されます。有志参加の社内勉強会は、主体的に行動する人たちで成り立っていることが前提ですが、それでも運営側と参加者側で温度の違い、つまり当事者意識の違いが生まれます。勢い、勉強会が少し物足りない状況で終わると、参加者から酷な評があがることもあるでしょう。業務の合間をぬって、いわばボランティアの精神で社内勉強会を運営しているスタッフとしては、そうしたマイナス評価は“切ない”というか、“やってられない”というか、辛いものですね。

とはいえ、ただ「つらい…」と肩を落としている場合ではありません。開催スタイルを見直したり、そもそも論で社内勉強会のあり方を考えたり、自分たちの活動を振り返ることも必要かもしれません。「社内勉強会が上手くいっていないな」と感じたら、一息ついて、今までと違った視点で活動全体を眺めてみましょう。思い切ったメスの入れ方が見えてくるかもしれません。当コラム欄にも参考になりそうな記事がありますので、ご一読ください。

※開催のスタイルの見直し https://rokuzero.jp/column/holding-format/

※関係の質の見直し https://rokuzero.jp/column/quality-of-relationship/

参加者全員で社内勉強会を作り上げる意識と工夫

運営側が自らの活動を見直したら、そのうえで行う工夫があります。まず、1つ目はファシリテーターの役割です。

社内勉強会では講師を置かずに、参加者同士が教え学び合うのが理想です。しかし、場合によっては、ファシリテーターが勉強会テーマの説明役に回ることがあります。注意したいのは、このとき勉強会がファシリテーターによる一方向的な説明に終始しないかです。ファシリテーターの講義の割合が増えると「座学」の状況となるため、参加者は受け身となり積極性を欠いた学びになってしまいます。社内勉強会の参加者は、文字通り「学びに参加し気づきを得ること」が求められます。ファシリテーターと参加者が同じ目線で勉強会に臨めるように、運営側は事前準備のサポートや開催スタイルに気を配るとよいでしょう。

では、具体的にどのような開催スタイルが考えられるでしょうか。これが工夫その2です。

勉強会ではその日のテーマにまつわるグループワークを多く取り入れるとよいでしょう。そして、そのワークで発言をしない(できない)人を極力“0”にしましょう。グループワークでの発言は、そこにいるだけの人をたちまち当事者にします。社内勉強会では多様な社員の意見を汲み取って聴くことで、先輩社員も、若手社員もそれぞれに学びを得ることができます。もし遠慮がちな参加者がいたら、ファシリテーターは問いかけに強弱をつけて自然に発言できるように促しましょう。一度、緊張や怖れといった結界が解けると発言の壁は低くなります。グループワークを取り入れ、すべての参加者が発言できているかを観察し、答えやすい状況を作る、ファシリテーターによるこうした工夫が参加者の学びを深めます。

これは余談ですが、トヨタでは「決定権者は会議に参加しない」というルールがあるそうです。役職者がいると自由な意見が出にくいことから設けられたルールのようですが、社内勉強会でも同じような現象が起きてしまったら、トヨタのこのルールを参考にしてもよいかもしれませんね。

次に参加人数の工夫です。既述ですが、学習効果は受け身より能動的な方が格段に上がります。参加人数の側面からいうと、1回の勉強会の人数が多すぎると、「ただそこにいるだけ」の人が必ず出てしまい、そうした参加者は受け身となるため、学習効果が上がらない、ということになります。今時ではオンラインで勉強会を開催することも多いと思われます。リアル開催より発言がし辛いオンラインでは、とくに参加人数に注意しましょう。参加希望者が多いと感じたら、同じテーマを2回開催にするなどして、存在が埋もれる人が出ないように工夫が必要です。

知識の習得は反復学習が基本。参加者の予習、復習をサポートしよう

さて、ここまでは勉強会開催中の工夫について述べました。ここからは、運営チームやファシリテーターができる、社内勉強会開催前後の学びを深めるための参加者サポートを紹介します。

まずは学習内容の予習機会を考慮することです。余裕があれば勉強会で使用する資料を事前に配布するのもよいでしょう。資料の用意は当日で間に合う、とか、配布する資料がないといった場合もありますね。それでも、勉強会の目的と考えておいてもらいたいグループワークの内容は事前に参加者に通知しておくのがベストです。それらを共有することで、参加者は準備をして勉強会に臨むことができます。この準備がいわゆる予習にあたります。予習ができれば、勉強会当日に資料やファシリテーターの説明を理解するだけで精一杯、という事態を防ぐことができます。また、予習することで、参加者は学習内容を反復でき、知識の定着につながります。

予習があれば、次は、そう復習です。繰り返しますが、知識は反復することで定着します。運営スタッフやファシリテーターは、その日の勉強会が終わると、ホッとして一休みしたくなるかもしれませんが、それはもう少しだけ先に延ばしましょう。当日のグループワークで出された意見や勉強会でのポイントをまとめて参加者に配布すると、参加者に復習のタイミングをつくることができます。配布用にあらためて資料をつくるには手間も時間もかかってしまいますね。しかし、勉強会の最後に、グループワークでまとめた意見や学びを、全員で確認する時間を設けておけば、その内容を活用することができます。

また、まとめ資料は参加者個々人に配布するだけでなく、社内チャットやコミュニケーションツールに書き込んだり、社内の共有サーバーに残しておくのもお勧めです。そうすれば、勉強会に参加した人だけでなく、参加できなかった人にも活動を周知することができ、社内勉強会のよい宣伝広告になります。

まとめ

社内勉強会は会社や社員が成長するためのツール(道具)の一つです。道具は正しい使い方をしてこそ本領が発揮されるもの。使い方を誤れば無用の長物、まったく役に立たないばかりでなく、関係者や組織をむしばむ病変にもなりかねません。小さな工夫、大きな改革、学びを深める勉強会を実施するには大小、様々なテコ入れ法が考えられます。自分たちにあった方法を見つけ出し、学びの文化をぜひ定着させましょう。