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ロクゼロコラム

連載‼「社内勉強会」の始め方

【第4回】勉強会を成功させるカギは「現場調査」と「60分」

2021.01.08

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前回は、勉強会を推進する8つのフローについてご紹介しました。8つの中で特に重要なのが、勉強会のテーマ設定のための情報収集です。今回はその方法をより詳しくお伝えしていきます。また、教育担当者が悩むことが多い、「勉強会はどれくらいの時間が最適か?」についても解説します。

人は関心のあることしか学ばない

 まず情報収集についてです。人は興味関心のあることしか学ぼうとしないため、勉強会を開催する際は、社員が「参加したい!」「学びたい!」と思う学習テーマを設定する必要があります。ここがうまくいけば、参加率が上がるだけでなく、学習効果も高まります。まさに、勉強会の成功を左右する、と言ってよいでしょう。

 そもそもですが、社内勉強会は、現場の課題や悩みを解決するために開催します。つまり、社員のために行うのです。それなのに、運営チームが現場のリサーチをせず、独断でテーマを決めてしまうと高い確率でうまくいきません。社員のためでなく、運営チームのための勉強会になってしまうからです。

 運営チームのための勉強会が失敗へとつながる理由として二つの要素を挙げることができます。一つ目は学習テーマの机上論化。運営チームが憶測で、「現場はこんな課題があるのでは?」「こんなことを学んだらいいのでは?」と考えた学習テーマは、現場のニーズと乖離が生じます。机上論で作られたのですから当然と言えるでしょう。

二つ目は自己満足化。特に、運営チームに役職者などがいると、その方の学ばせたいことが学習テーマになりがちです。自分が勉強会をコントロールしているという優越感で、満足してしまうのです。けれど、満足しているのは本人だけで、付き合わされる社員はたまったものではありません。

問題は現場で起きている

 真に社員のために勉強会を開催するなら、社員を顧客と考え、マーケティング目線で事前調査をする必要があります。具体的には現場で調査をし、社員一人ひとりの課題や悩みを理解することから始めます。方法としては①社員へのヒアリング、②各種メディア調査、③他社との情報交換がありますが、最も効果が大きいのは社員の声を直接聞ける①です。

ヒアリングの方法として、私がお勧めするのはまず1on1ミーティング。管理職クラスの方が社員と面談した内容を、勉強会の運営チームに共有して学習テーマに反映させるのです。面談は一人につき30分程度の短い時間で、12週間に1度といった短いサイクルで定期的に行っていきます。面談には、MBO(目標管理)や人事評価などさまざまな目的がありますが、この1on1ミーティングは、社員のことを知るために行います。どんな課題や悩みがあるか、何を目指しているかなどを把握し、寄り添って成長を支援するために行われるものと意識してください。

現場を定例訪問するのも効果的です。人気を博した刑事ドラマのセリフではありませんが、問題は会議室ではなく、現場で起きているからです。実際に現場へ行き、ヒアリングすることで、生きた声が聞けるはずです。訪問する際は、必ず事前にアポをとっておきましょう。抜き打ちで行くと、忙しくて対応してもらえないどころか、仕事の邪魔になってしまう恐れがあるからです。また、「勉強会をする上で、現場の皆さんの声や意見を参考にしたいので、話を聞かせてください」と、きちんと意図も伝えておきます。

現場訪問は、情報収集以外に副次的なメリットもあります。勉強会のPRにもなりますし、「社員のためにわざわざ現場に来て調査してくれているんだ」という、運営チームへの評価にもなります。結果として、社員も能動的に参加(協力)するようになり、一体感のある勉強会になるのです。人は感情の生き物なので、運営チームが努力している姿を見せるという意味でも、現場訪問はお勧めです。

 ここまで事前調査をして学習テーマの設定をしても、現場のニーズと合わないことはあります。ただし、調査を怠ってそうなるのとは、全く意味が違います。社内勉強会のために現場のことを知ろうと行動するのは大前提で、それをしないと成果を上げるどころか、通常の運営もままならない、と認識いただければと思います。

60分を推奨する3つの理由

 続いて、社内勉強会の最適な時間について紹介します。結論から書くと、私が推奨するのは60分です。実際、70社以上に調査をしたところ、勉強会を成功させている企業の約9割が、60分間で行っていました。なぜ60分がいいのか、理由は三つあります。

一つ目は集中しやすいから。「154590の法則」というものがあります。人が最も集中力を持続できるのは15分、ある程度のレベルで持続できるのが45分、ギリギリ持続できるのが90分と言われています。勉強会をこのいずれかに当てはめると、15分では短すぎて、90分では長すぎます。45分が最適ですが、勉強会は講演やセミナーと異なり、参加者同士が対話をしながら進めていきます。そのため、少し余裕を持たせて60分が最適なのです。

二つ目は、学習テーマを絞りやすくなるから。半日や一日かけて行う研修では、さまざまな内容を詰め込みますが、勉強会ではひとつに絞り込み、徹底的に深掘りしていきます。そうすることによって、学習内容がしっかり身に付くからです。若手の営業担当者に、「成績アップにつながる営業ノウハウ」というテーマで勉強会を実施するのに、60分ではとても足りません。そこで勉強会では、「商品説明のコツ」「クロージングの仕方」、あるいは「お礼メールの書き方」など、ひとつの要素にフォーカスして行います。

三つ目は、参加しやすくなるから。少数精鋭の組織では、一人の社員がいくつもの役割を担っているものです。つまり忙しいのです。そんな中、勉強会で45時間も拘束すると、業務に支障が出てしまいます。また、参加への心理的ハードルも上がるでしょう。60分であればスケジュール調整もしやすくなり、気軽に参加できるようになります。

絞り込めば深まる

 というわけで、今回は皆様にお伝えしたいことを二つに絞り込んで書きました。ピンポイントですが、勉強会を成功させるのに大事な内容なので、その分深く理解していただけたら幸いです。これは勉強会も同様で、学習テーマを絞り込むと参加者の深い学びになります。一回で学べることは狭い範囲でも、回数を重ねれば、深くて広い知識・ノウハウになるのです。ぜひ勉強会を開催する際は「事前に現場の調査をする」「時間は60分」を意識してみてください。

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