Column

ロクゼロコラム

連載‼「社内勉強会」の始め方

【第3回】社内勉強会を成功に導く!8つの推進フロー

2020.12.10

この記事をシェアする

これまで社内勉強会の意義やメリットを紹介してきました。しかし、勉強会をスタートさせても思うような成果が出なかったり、継続しなかったりでは意味がありません。そこで、次の8つの推進フローに基づいて実行することをお勧めします。(図表1)勉強会推進の基本的な型として参考にしてみてください。

 

(図表1)社内勉強会 8 つの推進フロー

①勉強会立案者のWhyを明文化する

まず「なぜ勉強会をするのか?」を明確にします。目的が曖昧なままだと、「指示されたからやる/参加する」となり、従業員にやらされている感覚が生まれ、成果につながりづらくなります。社内勉強会の立案者や参加者が、勉強会開催の目的を十分に理解していることが重要です。

Whyの例:業績向上、課題解決、従業員の成長、コミュニケーションの活性化、帰属意識の醸成など

②チームを編成する

運営メンバーを多様な社員で編成して、テーマ設定や運営方法に幅を持たせ偏りを防ぎます。具体的には異なる職種・部門、幅広い年齢、さらに「現場志向(現場を熟知し、現場視点の観察と発信ができる)」と「外部志向(外部セミナーや研修に参加し、客観的に自社を見ることができる)」の人を混在させます。

初期メンバーは、会社規模に関わらず35名が目安ですが、選定の際、無理強いをするのは厳禁です。参加してほしい社員には、の「Why?」と「なぜあなたに協力してほしいのか?」を説明し、納得してもらいましょう。

③情報を集める

続いて学習テーマの選定をします。その際、現場のニーズについてマーケティング目線で事前に情報を集めましょう。なぜなら人は興味・関心のないことは学ぼうとしないからです。

情報の集め方は大きく3つ。

1つ目は社員へのヒアリングです。現場が直面している課題や学びたいことなどを、1on1ミーティングや現場への定例訪問、アンケートなどで調査します。2つ目は各種メディア調査。テレビや新聞などのマスメディアやウェブメディア、SNSなどでトレンドを把握します。Amazonや書店のビジネス書ランキングからも、世間が何に興味・関心を持っているかを知ることができます。3つ目は他社との情報交換です。異なる業種・業界であっても、社員が抱える課題には必ず共通点があります。例えばコミュニケーションやマネジメントなどがそうです。他社の事例をもとに、適切な学習テーマを見つけましょう。

④実施要領を決める

社内勉強会の実施方法を具体的に決めていきます。この際、6WH(何を、なぜ、いつ、どこで、誰が、誰に、どのように、いくらで)で考えると有効です(図表2)。絵に描いた餅で終わらないよう、自社リソース(図表3)を考慮しながら進めましょう。

 

(図2)社内勉強会の 6 W 2 H

 

(図3) 自社リソースとは

⑤準備する

勉強会のコンテンツを作成します。このとき重要なのは、初めから完璧なものをつくる必要はないということ。勉強会は継続してこそ意味があります。準備に時間や労力をかけ過ぎて本業に支障をきたしては本末転倒です。

最初は、当社のような研修会社が提供するコンテンツを活用する(参考:社内勉強会の学習ネタや資料の素材サイト「ロクゼロ」/ https://rokuzero.jp/)、テーマに沿ったビジネス書を用いる、などがお勧めです。「経営理念を体現するには?」「(失敗事例をもとに)どう業務改善すればいいか?」などのテーマでディスカッションするのも有効です。

⑥周知・集客する

社内勉強会に参加者が集まらず、苦労する企業は少なくありません。集客を阻害する要因は主に3つあります。

1つ目は認知度が低いこと。そもそも勉強会を始めたことが知られていないケースです。社員10名以下の場合、社長が一声かければ解決しますが、100名を超える規模の企業では工夫の必要があります。例えばメールで周知する場合は内容を変えて3回送信します。1通目は現場の課題と、解決のためにどのような学習テーマを設けたか。2通目はファシリテーターによる挨拶と自己紹介。3通目はリマインドなど。ほかにも、イントラや朝礼で周知するなど、さまざまな方法があります。

2つ目は、勉強会のテーマに難があり社員が興味・関心を示さない。これはの「情報を集める」を念入りに行うことで解決しましょう。

3つ目は、時間の融通が利かない。社員は仕事やプライベートで忙しいため、勉強会に参加してもらうには時間の配慮が必要です。例えば、これまで4時間かけていた勉強会を1時間に短縮する。業務終了後ではなく業務中に開催する、など。ある企業では、お昼休みにランチをしながら勉強会を開催し、好評を博しています。

⑦実施する

いざ勉強会をするにあたり、念頭に置いていただきたいのは、「勉強会は、議論ではなく対話をする場である」ということです。参加者一人ひとりの思いや価値観は、どれも正しく、否定されるべきものではありません。参加者の視点や考えの違いから、各々が何を学ぶかが勉強会の本質なのです。どうしても受け入れがたい意見に対しては、「なぜそう思うの?」と問いかけることで、より理解が深まり、学びが成立します。

⑧評価する

よりよい勉強会にするためには、終了後の振り返りが欠かせません。そのために、参加者の感想を聞く必要があるのですが、このときアンケートは厳禁です。なぜなら、参加者にお客様意識を芽生えさせ、「勉強会に参加してあげた」となりかねないからです。白紙を渡し、勉強会当日の学びや気づきを自由に書いてもらうとよいでしょう。

この内容と、勉強会における学習のねらいがある程度合致していれば、勉強会は成功と言えます。乖離が大きい場合は問題があるということですから、次回の勉強会に向けてしっかりと改善を行います。

※書籍のご案内※
「社内勉強会」の始め方から軌道に乗せる方法をステップ毎に分かりやすく解説しています。↓↓↓