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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

社内勉強会を成功に導く『シリアス・ファン』なルール

2020.07.09

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学び方の理想『シリアス・ファン』とは?

私どもの研修プログラム「DoDoDo」の受講者から、「頭が疲れたけど充実していた」「簡単ではなかったがチームワークでのりきることができた」「もっと続けたかった」といった感想が寄せられます。

・疲れたが充実していた
・簡単ではなかったがチームワークでのりきった

この2つは、受講者が研修を進める過程を楽しんでいたことがうかがえます。また、

・もっと続けたかった

については、夢中でプログラムに取り組んでいたことがわかる感想かと思います。
これらは、『シリアス・ファン』と呼ぶ状態で、私どもが目指す学習の在り方です。

※Do★Do★Do=企業活動を模擬体験するビジネスゲーム

 社内勉強会が目指すところは発足理由やテーマによって異なります。しかし、その形として『シリアス・ファン』な状態をつくることは、どの勉強会にも共通する大変に重要なファクターです。

シリアス・ファンは、立教大学・中原淳教授がその著書「ダイアローグ 対話する組織」のなかで、「真面目に物事を楽しむこと」と定義しています。サッカー少年を例に挙げ、「楽しめばいいや」と必死にボールを追うのをやめてしまえば、真剣にサッカーをすることで得られる達成感を味わうことはできず、また、「試合に勝ちたい」というシリアスな意識が強すぎても、「サッカーを楽しむ」の部分が抜け落ち、技術がなかなか上達しないといいます。

社内勉強会って、ほんとうに続けていけるの?

社内勉強会をはじめたものの、いつのまにか自然消滅してしまったという話を耳にします。高い意識と目的をもって自主的に開催したはずの勉強会が、なぜそのような結果になるのか、Web上でいくつかの理由を拾うことができます。

・目的が不明
・わざわざ時間を割くほどの内容ではない
・有志と言いつつ実は強制参加 etc

そのほか、運営側の息切れ、参加者の少なさで頓挫などがあるようです。

自然発生した社内勉強会には発起人のスタートアップ動機があります。

仮に「バズマーケティングを成功させたい」という動機があったとして、仲間と事例研究をして自社サービスへの展開の仕方が見えてきたとします。そこで今後の広告戦略を会社に提案して承認が下りたら、ここからは正式に業務となるので、勉強会の役割は達成され解散となります。「目的・内容・参加意欲」の三拍子がそろった理想的な勉強会のあり方です。

こうした勉強会が自由かつ散発的に発足する文化が根付いた企業なら、運営チームを編成して社内勉強会をシステム化しなくてもよいのです。しかし、業務の多忙さや仕事に対する価値観の違いなど、色々な理由で多くの企業は勉強会のシステム化が必要です。組織化した社内勉強会の運営チームは、システムを継続するために、開催する勉強会ごとに冒頭で述べた『シリアス・ファン』な状態を作り出さなければなりません。そうでなければ参加者の機運が高まらず、いずれ社内勉強会は必要とされなくなるからです。

社内勉強会を成功に導く、『シリアス・ファン』チャレンジ

私どもの研修プログラム、ビジネスゲーム「DoDoDo」には、受講者が研修に没頭できる工夫が施されています。言い換えれば『シリアス・ファン』を作り出すポイントです。

①目標が明確
②チャレンジングな取り組み
③退屈させないイベント
④チームワーク

…ゲーミフィケーション、っと、その他は企業秘密なので、このくらいにしておきます。

これらのポイントを、研修に召集されて受け身の姿勢でいる受講者に体感してもらうには、緻密な作り込みが必要です。しかし、『社内勉強会』はその存在自体に上記①~④を有しているのです。同じ企業に勤める同朋とはいえ、本来業務以外で自主的に集まることが、そもそもチャレンジングで非日常的イベントです。そして同じテーマを学習するという共通の目標もあります。2020年以降の新しい生活様式のなかで、社内勉強会をオンライン勉強会として開催するなら、これらはさらに際立って認識されることでしょう。

運営チームの主な役割は、この恵まれたシステムの受け皿、環境を保持することに他なりません。勉強会開催準備は色々と厄介ではありますが、『シリアス・ファン』をつくるために大切なのは、参加者の“興味・関心を引くテーマ”と“勉強会のルール”の2つと言えるでしょう。さらに言えば、勉強会のルールが参加者の主体性を引き出し、勉強会をともに作っていると実感させるものであれば、学習テーマへの興味・関心は後からでもついてきます。

DoDoDo」での講師による講義は一部だけで、受講者は、目標達成に向けてどのように行動するかを、自分で考え仲間と対話を重ねて決定します。楽(らく)な時間は一秒もありませんが、多くの受講者が「楽しかった」「充実していた」と何らかの気づきを得て職場に戻っていきます。

社内勉強会も同じです。システムを走らせるのは運営チームですが、勉強会を実りあるものにするのは参加者自身です。「ともに教え合い、対話をし、互いの考えを尊重する」そういった主体性を尊ぶルールがあり、それらを体現するためのファシリテーターがいる社内勉強会は、真剣かつ楽しい学習の場となります。

もちろん、運営チーム自体も社内勉強会の開催を通して、知的好奇心と自己成長の充足を実感できるよう、『シリアス・ファン』に勉強会を仕掛けていってください。