Column

ロクゼロコラム

ビジネスパーソン1UPへの道

人前で落ち着いて話したい!緊張をほぐす方法を手に入れよう。

2021.06.16

この記事をシェアする

知ってほしいこと、訴えたいこと、それなりにあるのですが、いざとなると話したいことが整理できなくて、結論が行方不明になる。そんなことありませんか? 普段から話し慣れていなかったり、急に話す状況になったりした結果、話しの構成も心の準備もできずに、困惑のまま緊張が増幅していって支離滅裂・・・。ビジネスパーソンなら何とかしたいですよね。

人によって緊張の感度が違います

「人前で話す」、この人前、皆さんは何人くらいをイメージされますか? マイクが必要なレベルの100名規模の集まりでしょうか? それとも20名ほど集まる社内会議でしょうか。いえいえ、なかには部署内の56名のグループを前にした発言でも苦手意識を感じる人もいるでしょう。そして人数だけが問題ということでもありません。話しをすることになった経緯、立場、話の内容なども関係しますね。たとえば、就職面接は誰でも緊張します。相手が目上の人の場合も緊張してしまいますよね。

緊張は誰にでも起こることで特別な現象ではありません。しかし、緊張しやすいかどうかは、先天的な個性の一つと言われています。同じような状況下でどの程度緊張するか、それは人によって違うのです。

人は交感神経と副交感神経をそれぞれに活性させることで生活に適応しています。緊張は、交感神経が優位な状態でおこります。一定のストレスを感じたときに、ノルアドレナリンが分泌されて血圧が上昇し、手や足が震えたり、胸がドキドキしたりするのです。

緊張感度の高い人は、できれば自分を発表者に選んでほしくない、発表順をスルーしてほしい、と緊張の場面を回避したいと思うことでしょう。「これも個性。私、他で貢献しますから!」、そんな心の声が聞こえてきそうです。しかし、一人ひとりの意見が大切な時代です。そして、それを認識して行動に移さなければ、コミュニティから振り落とされてしまう、ドライな時代でもあります。今より、少しでも落ち着いて話したり、行動したりできたら、ビジネスパーソンとして世界が広がるはず。どうしたら緊張と上手に付き合い、人前で落ち着いて話せるようになるでしょうか。

失敗体験や完璧主義が引き起こす「不安」は大きな緊張要因

緊張の発端となるストレス度合は人によって違いますが、誰にでも共通しているのは、これから起こる不安がストレス要因となることです。不安な気持ちを呼び起こす主な要因には「他者の評価」を挙げることができます。成果発表や会議での発言内容が人にどのように思われるか、それが不安要因となって緊張を感じるのです。日頃、限界まで鍛錬を積んでいるトップアスリートであっても、大きな競技会で緊張して全力を出し切れなかったということがあります。もちろん、競技技術やコンディションのピーク設定など繊細な側面もあって、私たちの日常に起きる緊張と比べることはできませんが、どれほど準備をしていても他者の評価に対する不安を避けることは困難なのです。

とくに、過去の失敗体験とこれから起こる出来事をつなげて考えてしまうと不安は増幅されます。過去の失敗体験を客観的にとらえ、自らの成長の糧にしていければよいのですが、なかなか現在の自分と切り離して消化するのは難しく、再度失敗をして馬鹿にされたり、信頼を失うかもといったネガティブな想像もしがちです。「失敗したらどうしよう」、この不安は単に失敗を恐れているのではなく、失敗をした自分とその後の仲間、社会との関係性の悪化までをも恐れての不安なのです。

そうした心の動きは、根強い失敗体験がない人にも起こり得ます。それは、「完璧に行えるか」という不安に起因するものです。ビジネスパーソンであれば、誰もが立場や役割から期待される仕事のクオリティを意識しています。周囲からの期待にみあった言動や行動をとり完璧でなければいけない、そうした思いが不安を呼ぶのです。

いざという時、人前で緊張しない3つの方法

ではどうしたら、人前で落ち着いて話すことができるのでしょうか。覚えておきたい3つのテクニックをご紹介します。

一つ目は呼吸法です。緊張をしているときは、ノルアドレナリンの作用で呼吸が早く、浅くなっています。これを意識的に「ゆっくりと深く」に変えましょう。深い呼吸は、体内の酸素濃度を上げ心と体を休める副交感神経を優位に作用させます。緊張の高まった状態は交感神経が優位な状態。これを深い呼吸によって強制的に副交感神経優位な状態にスイッチさせるという理屈です。1,2,3,4と数えながらゆっくりと息を吸って吐く。これを繰り返して呼吸が落ち着いてくるのを実感しましょう。

2つ目はラベリングです。これは、緊張している自分を認めるというもの。緊張状態は、「頑張らなければ」と判断したときに自分を奮い立たせるために起こります。それが脈拍を高めたり、呼吸を浅くしたりするのですが、実際には過度な緊張は好ましくありません。「緊張してはいけない」と現象に背を向けるのではなく現実を認めてしまいましょう。緊張状態の自分を認めることでそれ以上に緊張をする必要がなくなり、次第に落ち着いていきます。「自分は緊張している」「自分は頑張っている」と声に出して言ってみるのも一つの方法です。

3つ目は思考の訓練です。会議の場で意見を求められて話をまとめられないような場合、やはり準備不足は否めません。日頃から自分のビジネス環境や社会情勢を客観的な視点で見るように心がけるとよいでしょう。自分を中心に物事をとらえてばかりだと思考は広がりません。具体的な後輩や先輩の顔、協力会社の人や家族の立場などを思い浮かべ、彼、彼女だったらどのように感じるだろうかと他者の視点を取り入れてみると思考を広げる訓練になります。もちろん、アンテナを張り、世の中のトレンドや業界ニュースに興味をもつことを忘れてはいけません。

まとめ

その他、論理構成を知ることも有用です。自分の考えをどのように伝えればよいのか、その方法はある程度確立されています。6W2Hを使って話す、事実や結論から話す、PREP法で話す、などなど。プレゼンテーション法が説明された本には論理を整理して相手にわかりやすく伝える方法が紹介されています。これらを知ることで話す順序や論理をどのように誘引するべきかが分かります。しかし、仕事や社会情勢に無関心なために話の内容が空っぽだったり、過度な緊張で伝えたいことがまとまらなかったりしては、論理のフレームワークも役立ちません。自分の緊張を呼び込む不安の種類を明確にして、日頃から準備をしておくことが大切ですね。また、緊張してしまったときの自分なりの対処法を持っていることも心強くいる秘訣です。

緊張は誰もがするものと受け止めましょう。緊張する自分を責める必要は全くありません。それよりも普段の仕事に対する姿勢が重要です。誰もオリンピックの舞台で力を出し切れなかったアスリートを責めたりしないでしょう。それは、私たちが彼、彼女らの努力を知っているからです。不安が押し寄せ緊張してしまっても、自分の努力や頑張りを認めることのできる普段の過ごし方が大切です。