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PDCAは古い?時代に合った意味あるサイクルを回そう。

2023.03.06

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ISO9001、ISO14001を取得しようとする際の審査項目に「PDCAを回しているか」があります。これは国際標準化機構が、組織を適切に存続させる方法の一つとしてPDCAを認めているということ。何事も現状維持では存続はできません。より良い状態を求めて改善してこそ明日の成功があるのです。

新人にPDCAが求められるのはなぜか

私たちは、ある程度自律ができる年齢になるとPDCAという言葉を教わり、その実践を求められます。学生の頃にPDCAに出会った人もいれば、社会人になったタイミングで知った人もいるでしょう。

新入社員研修では、カリキュラムからPDCA外すことはありません。なぜなら、早い段階で新入社員に自律した仕事をしてもらい、自社の戦力となってほしいからです。

組織でいうところの自律とはつまり、仕事を覚えて組織に貢献できるようになるまでの各段階をセルフマネジメントすること。PDCAは業務改善のマネジメント手法なので、仕事を覚えるためのコツやフレームワークではありません。しかし目標を定めて計画を立て、その計画に沿って実行、更に実行した結果を振り返る過程は、業務を自分事として捉え、責任をもって向き合う姿勢を表しているといってよいでしょう。まさに自律した仕事の仕方です。

ここでPDCAをおさらい

ここでPDCAについて、おさらいです。

PDCAは以下の英単語の頭文字をとった言葉で、ルーチンワークの改善に適したマネジメントメソッドです。それぞれの頭文字の意味は次のとおりです。

P:Plan・・・目標を設定し業務計画をたてる
D:Do・・・計画を実行する
C:Check・・・計画に沿って実行できているかを確認する
A:Action・・・実行段階で生じた問題点の改善案を考え実行する

P、DCAのそれぞれの段階に入れ子にされた細かなPDCAを設定することもあり、対象業務の規模や複雑さによってPDCAの回し方も変わります。また、「PDCAを回す」というように、Actionで改善案が策定されたら、その案を次のPlanに反映させて、Do Check2回目のPDCAをはじめます。

こうしてPDCAを繰り返すことにより、業務にムダがなくなり洗練されていくわけです。

一度完成された業務でも、時が経ち、扱う人、扱う道具といった環境が変わると、いつのまにかムダが生じている場合があります。PDCAはルーチンワークの“いつのまにか”を顕在化して見直しを図ることができるメソッドです。

単純さこそPDCAの価値

長い間、社会人を続けてきた私がPDCAについて「良い」と思うのは、その簡単さと単純さです。さすが日本生まれの手法、質実剛健な作り付けです!

それはともかく、PDCAは数あるビジネス手法のなかで、もっともeasyな類に数えることができます。だからこそ、国際標準化機構をはじめ、世界中で採用されてきたのでしょう。PDCAの対象となる業務に規模や複雑性の違いがあっても、PDCA自体のシンプルさは変わりません。業務にかかわるスタッフが大人数であっても一人であっても、やるべきことは一緒です。

ところで、新入社員が任される業務は、おおむねルーチンワークであることが多いですね。

はじめのうちは仕事を覚え、こなすことに気持ちを集中させている新人が、同じ仕事をするうちに盲目的なリピートからクリティカルな視点へと変わることがあります。それはルーチンワークに対する「何故こんな回りくどい(あるいは面倒な)ことをしているのか」といった若手ならではの視点、疑問です。

それは、ときに組織内の事情を知らない故の勘違いの場合もありますが、業務に慣れ過ぎてしまった先輩社員には気づけない、業務効率化の盲点であることも少なくありません。

PDCAは入社初日の新入社員であっても、任された業務がルーチンであれば発動可能なメソッドです。

PDCAが「もう古い」と言われる訳とは

PDCAは、仕事を自分事に捉えて前向きに向き合えば、ある程度は無意識に行えるほど、仕事の進め方として原則的な側面があります。しかし、計画を立ててまっとうに仕事をし、改善すべきは改善する、この基本的で正しいPDCAの姿勢が、昨今「もう古い」と言われることがあります。

それは、PDCAの目的が業務管理であり改善のための手法であることに起因しています。つまり“改善”は“革新”につながらない、という論理です。

PDCAは“回す”ことに意味があり、改善に改善を重ねて業務を洗練させていくことを目的としているため、目を見張るような奇抜な発想、革新的なアイデアとは無縁といえます。

また、VUCAと呼ばれる現在の変化の激しい社会環境下で、仕事はプロジェクト単位で発生するようになりました。組織を支えてきた基幹サービスを持ちながら、それだけでは社会の変化に取り残される危機感、あるいは取り残される事実が、tryerrorのスピード感でプロジェクトを立ち上げさせます。そこにPDCAを回す時間の余裕はないかもしれません。

VUCA時代とPDCA

VUCA時代を前提に極論をいえば、その特性としてPPLAN “計画”を立てること、そのものがナンセンスだといえます。なぜなら「明日、どのように世界が変わっているかも分からない」、それがVUCA時代のビジネスであるからです。

でも待ってください。昨日手を付けていた仕事が、今日にはなくなり「0」になるということが、日常的に起きているでしょうか。きっとそうではないはずです。スピードと変化の時代に生きる私たちですが、振り返るべき仕事は山ほどあり、その仕事を効率化するために相変わらず業務の改善を求められてはいないでしょうか。

VUCA時代にもやはりPDCAは有用だということでしょう。ただし、これからのPDCAは社会環境とともに変わる必要があるのも事実です。

PDCAが嫌われたのは、じっくりと計画・立案をするイメージがあったからです。その点ではPDCAに代わる手法として注目されるCAPDPDRは、PDCAと同様に“実行と振り返り”を基本としながら“計画”に重きをおかないことでスピード感を保っています。

一方でPDCAの体裁は変えずに、各ステップを一日単位、数時間単位にスピードアップして、現代に見合ったメソッドに変える方法もあります。

ビジネスのフレームワークにも流行り廃りがあり、それこそフレームワークビジネスの思惑に左右されます。新しいメソッドを世に出すことで利益を得るコンサルティングファームがあることも忘れてはいけません。

誰の、どのような仕事がPDCAの対象として適切なのか、また、どのようなPDCAの回し方が自分の仕事にあっているのかを見極めることが大切です。

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