Column
ロクゼロコラム
ビジネスパーソン1UPへの道
仕事の効率向上だけじゃない、整理整頓はいいことだらけ。
2021.03.01
恥ずかしながら、私、かつては多くの資料に囲まれて仕事をすることがカッコ良いと思っていました。ファーストキャリアから書類を介した業務が中心で、机周りに資料がない人は仕事をしていないように見られていたからです。けれど、今の会社では帰宅時には机の上に何も置かないようにすることがルールです。そうすることで、断然、仕事効率がよいのです。皆さんの職場は整理整頓されていますか?
整理整頓がもたらすものって、何だろう
弊社では、仕事で使ったすべての資料を自分のロッカーに戻し、帰宅時に机の上は何もない状態にすることが義務づけられています。この制度をはじめた頃は、「机にモノが置かれていたら罰金100円」なんていうルールも作ったほど。実際に罰金を徴収したかというと、記憶は定かではないですが、私たちの職場では、PCはもとより、机の上が資料で溢れているということはありません。
整理整頓がされた職場では、資料やサンプルを広げたいときに、場所の確保から始める必要がなくなります。現在、テレワーク推奨によってご自宅で仕事をされている方も、PCを開くスペースの確保から一日を始めるのは、少し気持ちが滅入りますし、非効率ですよね。そして何より、整理整頓された仕事環境は大変気持ちがよいものです。
とはいっても、人が活動する限り、モノが移動して散らかってしまうことがあります。
弊社は昨年末にオフィスを移転したのですが、その片付けがパーフェクトに済んではいませんでした。神社でいただいたお札が所定の位置に安置されていなかったのです。つい先日、そのお札をスタッフ3名で10分程かけて捜索する、ということがありました。あるべきところに、あるべきものがない、というのは、人の手を止め、不要な時間を発生させてしまいます。
こうしてモノを探すのに費やす時間はどのくらいあるでしょうか。デスク周り、ロッカーの中、PCフォルダー、探し物の時間は意外と頻繁に発生して、私たちの仕事の効率を落とします。しかかっていた仕事を中断して探すのですから、集中も途切れてしまいますね。整理整頓は仕事の効率に大いに関係するのです。
整理整頓には段取りが必要です
整理収納コンサルタントの奥田明子さんは、依頼者のお宅でモノを整理して、いちばん多く処分するものは「収納グッズ」だとおっしゃっています。何がどこにあるのか把握しないまま、闇雲に購入した収納グッズは、多くが無駄になるということだそうです。
整理と整頓はひとまとめに使われることも多い言葉ですが、本来は「整理」と「整頓」に分けて考えなければいけません。自宅でもオフィスでも、何をどれだけ持っているのかを把握して「整理」し、その後に、収納グッズを利用して「整頓」する、整理整頓には少なくともこの2段階が必要です。収納グッズを捨てることになる原因は、前段の「整理」がされていないことにあります。
つまり、整理整頓とは、「いるものを残し、分類して、置き場所を決めること」といってよいでしょう。
まず、スペースやカテゴリーごとに区切って、持っているものを全部出してみましょう。これは机周りでも、PCのフォルダー内でも同じ要領です。何年も使わないものや、期限切れの書類などは周囲をゴチャゴチャとさせるだけです。私物であれば思い切って処分、PCフォルダーのデータなら、「処理済」や「OLD」といった名前のフォルダーを作ってまとめ、年度末などに削除するか、関係者に声をかけて不要ならやはり削除しましょう。
持っているものを全部出して、「いるもの」と「処分するもの」に分けることができたら、次は整頓です。
毎日使うものは取り出しやすく、しまいやすいように、スペースに余裕をもって収納するのがコツです。机の上にペン立てを置くと便利ですが、その中に使いきれないほどのボールペンや定規がギュウギュウに入っていたら、それは取り出しやすいとはいえないですね。また、毎日使うものなのに、机や棚の奥にしまい込むのもおかしな話です。
PC内のデータ保存も、今日、明日必要な資料を深い階層に保存する必要はありません。開きやすい表層階にフォルダーを作るのがセオリーです。ご自分のPC内を整理して、もし、社内サーバーに保存すべき資料が見つかったら、それは真っ先にルールに従って保存をしましょう。
資料捜索の時間を省くだけじゃない、整理整頓の功
2021年、私たちは生活様式の変化を余儀なくされています。仕事環境がテレワークや時短営業などに変わったことで、スタッフ一人ひとりに求められる生産性はますます重要視されるようになりました。業務そのものを改善して見直すことはもちろん、今仕掛けている仕事を効率よく進めることも考えなければいけません。
モノや資料が整理されていないと、探す時間が発生して無駄な時間を生んでしまいます。しかし、それだけではありません。
期限切れの資料が現在有効な資料と同じ場所に保管されていることによって、思いもよらないミスが発生することもあります。たとえば、古い見積もりや商品仕様書、こうしたものを参照してしまうことで、お客様にお出しする資料の内容が誤ったものになるということもあるでしょう。
一つのミスを取り返すためには、本来の業務の何倍もの時間を要することをご存知かと思います。整理整頓は、ミスをなくし仕事の質を担保することで、そうした不要な時間をなくしてくれます。
また、資料を整理して社内共有サーバーや書庫に保存ができると、スタッフ共通のナレッジとして活用できるようになることも見逃せません。個人のPCから共有フォルダーへ、あるいは、個人の机から共有の書棚へ保存場所を変えることで、一枚の書類が有用な戦略的データに変貌します。とくに見積りや提案書などは、共有サーバーを整理してあるべきところに保存していきましょう。
まとめ
周囲が古いデータやモノで溢れていると、新しいモノを取り入れる場所がありません。要不要を明確にして整理し、いらないものは処分する。次に、モノもデータも取り出しやすく、しまいやすい場所に収納する、この基本を踏むことで身の回りが整理整頓されていきます。一人ひとりの仕事が多様化している現代、目につくものからどんどん整理整頓していきましょう。皆さんの仕事の効率が上がるだけでなく、仲間の仕事もやりやすくなるはずです。