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ロクゼロコラム

今すぐ学びたいビジネススキル

導入前に知っておきたいOODAループあれこれ。

2021.11.19

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秋寒し、寝坊助はいよいよ布団と離れがたく億劫です。しかし、社会人というもの、出勤はマスト。洗顔、着替え、読みかけの単行本を通勤用のリュックに入れる・・・。布団のぬくぬくに負けたつけは、いかに最短時間で朝支度をこなすかの慌てた戦略となって回ってきます。今回は最短時間の決断、OODAループのお話しです。

今なぜOODAループなのか?

OODAループはよくPDCAの次の思考といわれますが、この2者、実は「4つの英単語の頭文字を取った言葉」というくらいの類似性しかありません。それは、PDCAが統計的な品質管理を目的とした日本生まれの思考術なのに対し、OODAループはアメリカ軍の戦闘機パイロットが敵機に先んじる「戦略」としてまとめた思考術だからです。

生産現場で高品質の製品をいかに歩留まり高く作るか、PDCAはこの目的のために確立された改善思考です。計画と観察、見直しと再計画、この繰り返しによって精度を高めようとするフレームワークです。

一方で、OODAループは空軍パイロットによる空中戦術をもとにした戦略思考です。撃墜されることなく敵機をロックオンし撃ち落とすための戦術で、音速で繰り広げる一瞬のドッグファイトでの闘いかたを基盤としています。

私たち日本のビジネスパーソンは、今も昔もPDCAの確実性と誠実さに傾倒しています。誰(あるいは、どの計画)にでも改善点があることを前提にした姿勢、自身の仕事を見直そうとする意識は真摯で誠実。1回目よりも2回目、2回目より3回目と、高品質の打ち手を重ねようとする考え方は、このうえなく真面目で努力家、実直です。

しかし、この真摯で実直な考え方が現代社会には少しずつそぐわなくなっています。

ビジネスはますますスピード重視となり、勝つためのセオリーは崩れ、成功するか否かは不確実かつ曖昧になりました。金融もエネルギーも、あらゆるものの価格が「国際市場」で決められ、その価格決定のトピックを見誤ると、昨日の勝者が今日の敗者となる時代です。アジアの島国、日本のビジネスパーソンの仕事のし方もかつてのようにはいきません。今私たちはゆっくりと計画を練っていてよいのでしょうか。そもそも、私たちのものだったその仕事を、私たちは再び手掛けることができるでしょうか。

OODAループを分解して理解しよう

PDCAはPlanDo→Check→Action(Plan)とサイクルを回すことによって、永続的に改善活動を続けようとする思考で、それぞれのプロセスを飛ばすことはなく、完全なループを形成しています。

しかし、OODAループはプロセスを飛ばすことを厭いません。成功を収めるにあたって必要がないと判断すれば、OAを順番に踏んでいく必要はないのです。これが、OODAループが、VUCAと呼ばれる変化の激しい現代にふさわしい思考術であることの所以です。

それでは、OODAの要素を一つずつ確認していきましょう。

●O=Observe(観察)
まず、状況や変化を認知・観察します。物事は俯瞰的に客観的に観察できることが理想です。けれど人は主観や無意識の偏見によって、事実を歪んで見てしまうことがあります。しかし、残念に思うことはありません。「歪んで見えている可能性」を知っているだけで、観察の精度は上がります。経験と知略に基づいた勘所が重要です。

●O=Orient(理解)
観察をして得た情報について状況を判断します。事象を判断、理解する過程では自分自身の主観が影響を及ぼし、無意識の偏見も働きます。そんな時、拠り所とすべきは「理念」です。どんな仕事も理念をもって向き合う姿勢が、理解の正確性を上げていきます。

●D=Decide(決定)
観察し、理解した事柄に対して、次にとるべき行動を決めます。変化の激しい今、競合者に勝つには素早い決断が求められます。ここでも自分が積み重ねてきた知識や経験を拠り所に決定を下します。

●A=Act(行動)
決定事項を行動に移します。勇気が伴わなかったり、実行するだけの力がなかったり、行動に移れないでいる言い訳はいくつもあります。しかし、競合者がたとえ半歩でも先に動き出したら、その分を取り返す労力は1歩では足りません。遅れて動きだした者が重い腰を上げている間に、競合者もまた次の1歩を踏み出しているからです。

OODAループのメリットとデメリット

現代のビジネスがスピード重視なのは分かっているけれど、分析や検討が不十分な戦略を実行するのはあまりに不安。OODAループの話を聞くたびにそう思う人も多いことでしょう。ビジネスや組織が大きくなるほど、私たちは決断に根拠を求めたくなります。それは、「失敗しない」という確証が欲しいからです。

しかし、どうでしょうか。社会の常識やビジネスは未来永劫変わらないでしょうか。明治維新後、日本は西洋文化を取り込み、商人が社会を動かすようになりました。Windows95がリリースされ、世界はemailで繋がりました。2007年、アップルが初代のiPhoneを発表し、私たち一人ひとりの手元が世界と繋がりました。

今後、私たちが暮らす社会がどのように変化するのか、誰も正しく見極めることはできません。なぜなら、想定内の予言にはビジネス価値がないからです。変化の激しい、VUCAの時代とは正解のない社会ともいえます。その時代にいたずらに分析や検討を重ねることに一石を投じる考え方がOODAループなのです。

OODAループのメリットを整理してみましょう。

●結果の獲得がスピーディー
状況を認知したら自身の知見と感覚、理念を頼りに素早く行動に移すのがOODAループです。行動の結果が失敗であっても成功であっても、そこから得られる情報には高い価値があります。不確実なビジネス環境で周囲に先んじて情報を得ることの重大性はお分かりいただけることと思います。

●柔軟な対応ができる
PDCAと比較して各段に身軽なのがOODAループです。綿密な計画を必要とせず、分析の時間も重要視することはありません。Tryerrorで短期間に複数の打ち手を繰り出すことができるため、刻々と変わるビジネス環境に臨機応変に対応することが可能です。

もちろん、OODAループには次のようなデメリットもあります。

●問題の創出に不向き
●暗黙知の発生

OODAループには実証や検証、策を練る、といったプロセスがありません。したがって起きている事象に素早く対応することには向いていますが、将来的な問題を検討し、組織の課題を提示するといった問題創出型の改善には不向きです。また、検証プロセスがないため、行動の結果に対するナレッジが共有されにくくなります。

まとめ

9月29日にIMD(=国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が2021年の世界デジタル競争力ランキングを発表しました。日本の順位は28位であいかわらず低迷しています。理由は、世界的にもトップクラスのネットインフラを十分に活用できていないから。計画を立て、環境を整えていながら、活用する者、実行する者がいないのです。これは、ネットインフラの整備計画が競争力に繋がっていないことを指し、計画のための計画がいかに無意味かを表す一例といえるでしょう。

OODAループは提唱者による文献が残っておらず、完成した理論ではないといった声もあります。また、組織力を重視し、チームでビジネスを推進しようとする日本の企業文化にそぐわない面もあるでしょう。OODAループを導入するべき事象や組織、個人を見極める力が鍵を握ります。

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