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ロクゼロ注目!ビジネススキル

あなたの巻き込み力がチーム総和を高める

2023.01.06

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チームワークには、“1+1”の和を何倍にもする力があります。それは私たちが子どもの頃から、繰り返し聞かされてきたことで、社会人となった今でも、真理として変わりはありません。しかし、ビジネスパーソンである私たちは、たとえ同じ目的に向かっていても、その道程や設定する目標には違いがあります。そのため無邪気にチームワークを唱えたとしても、その言葉自体に子どもの頃のような神通力はなくなっています。今回は、ビジネスパーソンがチームワークを手に入れる方法、「巻き込み力」についてまとめます。

巻き込み力を定義する

「巻き込み力」という言葉が以前から日本にあったのかというと、比較的、近年の言い回しに思います。私を含め、ベテラン世代は「巻き込む」という言葉をあまり良い意味で使ってきませんでした。ベテラン世代は「ケンカに巻き込む」や「事件に巻き込まれる」など、よくない人間関係や事態に強引に引き込まれる様子を思い浮かべます。

一方で、昨今のビジネス領域では“巻き込むこと”と“他者に働きかけること”をほぼ同義で使います。

働きかけ力は、経済産業省が提唱する3つの社会人基礎力のうち、「前に踏み出す力」を構成する力の1つとして提示されています。もちろん、ここには良くない事態に巻き込まれるような悪い意味はありません。社会人基礎力のなかで「働きかけ力」は、他者の協力を得ようとするコミュニケーション力やチームワーク醸成力、また業務推進力を指しています。

巻き込み力も、上記の3つの力(コミュニケーション、チームワーク醸成、業務推進)を実現させるためのスキルといってよいでしょう。ただし、「働きかけ力」に比較して「巻き込み力」は、より具体的な課題や企画に他者を引き込むニュアンスを加えた方がよいかもしれません。

その意味で、ビジネス領域で使用する「巻き込み」の本軸は業務推進力と捉えてよさそうです。

つまり、巻き込み力とは、プロジェクトの成功や課題解決のために必要な人材を、戦略的にその取り組みに参加させること、と定義できます。

昭和と令和のチームワークを比較する

冒頭で、ビジネスパーソンにとってのチームワークについて触れました。もう少し、その話をしたいと思います。

昭和の時代のリーダーシップは権威的でした。1人の上司と部下数名というチーム構成は令和の現在と変わらないものの、指示命令の絶対性や部下に共有される情報の深度、部下の裁量範囲には大きな違いがあります。

言うまでもなく、令和のチームでは部下に対して自律したパフォーマンスが求められます。それは、ビジネスシーンに流れる時間の速さが要因の1つです。BtoBにしてもBtoCにしても、顧客はスピーディーなサービスの提供と回答を望んでいます。またテクノロジーのたゆまない発展でそれが可能な時代となり、企業は1日でも、1時間でも、1分でも速い仕事を求められます。これに応えるには、チーム内の人材をフルに活用するしかありません。令和のチームは、メンバーにすべての情報を共有し、裁量範囲を広げることで、滞ることなく顧客と繋がり、ビジネスを成立させようとしているのです。

このとき、1案件に関わるメンバーの人数はコスト的にも人的資源の面でも、より少ないのが理想です。しかし世の中の多くの仕事は1人ではこなせません。メンバーは“互いに力を借り合う”ことで、仕事を成功へと導くのです。

さて、昭和の時代はチームワークそのものが目的であった側面があります。それは会社によって組織されたチームが、円滑に仕事を進めるために、どうしてもチームの和が必要だったからです。そういえば、あの時代は会社主催の運動会や社内旅行といったレクリエーションもありました。

一方で令和のチームワークは目的に紐づきます。プロジェクトを成功させるために“互いに力を借り合って”発生する一次的チームによるパワーの和が令和のチームワークです。

巻き込み力がビジネスパーソンに必要なのは何故?

令和の今でも、大掛かりな案件を担当するチームは、会社やリーダーによって組織されますが、日常的規模の案件は違います。メンバーは各々が自律的にチームを結成して案件に取り組まなければなりません。

理由はこうです。

「一人でこなすには時間が足りない」 「この分野を得意とするメンバーと組めば正確で効率的」。

前述した、顧客へのスピーディーなサービス提供や回答を実現するために、協力者の存在は頼もしい限りです。たとえば、ある優秀なメンバーが1人で対応できる仕事でも、もう1人の優秀なメンバーと協力することで、もっと高い質で、もっと早く結果を残すことができるかもしれません。

私たちが、一次的なチームを結成して日常的規模の仕事を行うことには、こうした意味があるのです。

また、上司に提案をしたり承認をとったりする場合でも、1人きりで行うより、チームを結成して複数人で具申する方がインパクトが強く、調整力も上がります。

リーダーにとっても巻き込み力は必須です。なぜなら若い世代の入社によって、社員の働く意味、いわゆるパーパスが変化しているからです。リーダーの権威が組織図に沿って影響すると思ってはいけません。少なくとも、経済成長期の日本のように、会社のために人生をささげる覚悟の社員は、もはや皆無です。むしろ、そんな覚悟はナンセンスだと言われてしまうでしょう。

つまり、役職名で部下を動かす時代ではないということであり、リーダーもメンバーも、正確で質の高いサービスを提供するために、人を上手に巻き込む力が求められるのです。

巻き込み力は、巻き込まれ力。

最後に、人を上手に巻き込むためには、どのような姿勢や行動を意識すればよいのかをまとめました。

主体性

前提として、自らの力で仕事を完結させ、高い成果を上げようとする姿勢がなければ、他者は協力をしてくれません。

請け負った仕事に対して覚悟と責任をもって取り組むことで、その姿勢に共感したメンバーが協力をしてくれます。他力本願な協力の依頼は嫌われてしまいます。他者を巻き込む前に、自分は誠実に仕事に取り組んでいるか、自信をもって協力の依頼ができるかを振り返るとよいかもしれません。

信頼

日頃の仕事ぶりや他者からの巻き込みの受け入れ具合など、同じチームのメンバーとして信頼される行動をとっているかは、自分が他者を巻き込もうとする際に必ず影響します。誰かに協力をお願いしたいとき、信頼をおけるメンバーに依頼しようとするのは当然です。「巻き込み」はメンバー間で相互に発生します。頼まれない人は頼めない人であることを認識しなければなりません。

気持ちよく巻き込まれるメンバーが多いチームの生産性は高く、仕事の質も高いことが類推できます。巻き込み力は、実は「巻き込まれ力」なのです。

 

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