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LGBTs。事実をそのままに受け止める難しさ。

2022.12.09

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皆さんは、「内緒」かつ「個人的」なことを、家族や友人同士、そして職場の仲間とすることはありますか?成人してからの私自身を振り返ってみると、滅多になかったように思います。今回はLGBTsについてコラムを書こうと思っていますが、そもそも“性”に関わる話しをオフィシャルな場所ですること自体が少ないことに、今、改めて気付いています。

ダイバーシティとLGBTs

SDGsやダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の認知度が高まるにつれ、LGBTsについても、ニュースや書籍、インターネットなどで、頻繁に目にし、耳にするようになりました。日本でも東京や札幌など各地で開催されている「プライドパレード」の様子は、皆さんもニュース映像でご覧になったことがあるのではないでしょうか。
※プライドパレード…LGBTs文化のパレードとして世界各国で開催されています。各地の政治的事情や社会通念などから開催状況やパレードで主張するスローガンやキーワードは様々です。

D&Iは、多様な価値観、性別、背景を持つ人材を雇用し、それぞれの能力と発想を活かすことで、企業のクリエイティビティを上げ、変化の激しい現代のビジネス環境で、自社の価値を高めようとする概念のことです。

SDGs宣言を皮切りに、社会が多様性を受け入れ、すべての人の公平な幸せを追求する方向に、意識的に舵をきったことで、VUCAワールドはさらに複雑さを増したともいえます。

それは、今まで虐げられていた、あるいは表舞台に立たせてもらえなかった地域や人々、概念、主張などが、一気に認められるべきものとして、ビジネスや社会、生活全般の当然の対象となったからです。

そのことで、無意識的に自分はマジョリティ(多数派)だと感じている多くの人たちは、今になって突然に、マイノリティ(少数派)の何たるかを知る必要に迫られています。D&Iの認知過程を経て、性自認についてもオフィシャルな場所で概要(個人情報としての性自認ではなく、組織としての対応や方向性を決めるうえで)を語ることは避けられません。語らなければその先に進めないからです。

「セクシャリティ」というアイデンティティ

LGBTsは人のセクシャリティの問題であり、極々、個人的な内容です。ヘテロセクシュアル(異性愛の性質を持つ人)である人が、普段、自分のセクシャリティについて、大声で話しを聞いてもらおうとすることは、それほど多くはありません。いえ、ほぼ「ない」ですね。

なぜなら、それは性について口にするのが「恥ずかしい」からでなないでしょうか。極々、個人的である。とは、そういうことなのです。

しかし、LGBTsの当事者が、不都合なく、辛い思いをせずに活動しようとするとき、自身の性についてカミングアウトをしなければならない状況に追い込まれることがあります。
※カミングアウト…自らの性的指向や出自等を表明すること

例えば、職場のお手洗いの問題。一般的に建物内には男性用トイレと女性用トイレの2種類があるかと思います。では、LGBTs当事者はどちらを使用したらストレスを感じずにいられるでしょうか。誰もが使えるお手洗いを設置すればよい、という意見もありますが、ことはそう単純ではありません。

カミングアウトをしていない当事者の方にとっては、男性用でもない、女性用でもない、「誰でも使えるトイレ」を使う理由を勘繰られるのでは、と不安になることがあるといいます。LGBTs施策に先進的な企業や団体が、トイレ利用について試行錯誤していますが、これ、という正解はないようです。

LGBTsは、多様性の領域で語られるように、受け入れることが正当だというのが一般的な潮流です。そうしたなか、通念として「受け入れ」を表明することは難しくないかもしれません。

しかし、学校で、職場で、と受け入れる組織が具体的になると、当事者のカミングアウトがないと環境が改善されなかったり、受け入れる側が何をしてよいかが分からず混乱したりします。

極々、個人的なアイデンティティであり、セクシャリティの問題であることが、LGBTs当事者の暮らしにくさ、辛さを増長させています。私たちは、このハードルの高さを理解しなければならないのです。

後記

何をテーマに当コラムを書くのか。いつかはLGBTsについて書かねばならない、とはいえ言葉選びを間違えて誰かを傷つけないか、そんな風に思い、ついに今日まで後回しにしてきました。

日本において8.9%の人がLGBTs当事者であるといった調査結果もあり、私の身の周りにも、静かに密かに暮らしている、その方がいらっしゃるのだと思うと、まるで無関係だと思い込んできた身としては、申し訳なく。

事実を事実として受け止めることが、これほどに難しいとは、いったい何なのでしょう。

私も、皆さんも、誰もが何かしらの不都合を抱えています。そのうちの1つがLGBTsの問題なのだと、そう平均化して思うことが非常に難しい。

たとえば、アライの表明をすることで何かが変わるのでしょうか。ぜひ、社内勉強会で職場の皆さんの意見を共有してみてください。
※アライ(ally)…LGBTsを理解・支援する人

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