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ロクゼロコラム

令和注目のビジネススキル

即実践!問題解決の近道、「イシューの特定」

2023.06.12

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時代はスピード。人より早いことが成功のポイントであり、問題を解決するのにも時間的な制約があります。事象毎に解決策を講じるのも手ですが、本質的な原因を見過ごすと、ふたたび同様の問題が起きてしまいます。スピーディーな組織は、問題の本質「イシュー」の重要性に気付いています。

ケリをつけるべきは何か、それがイシュー

2010年に出版された『イシューからはじめよ』ー知的生産の「シンプルな本質」(英知出版・安宅和人著)は、2023年の現在でも売れ続けているビジネス書の傑作です。この本は、当時、仕事どころか、毎日の過ごし方、大仰に言うなら「生き方」にさえ納得できていなかった私にも「希望を見せてくれた」、そんな本でした。

『イシューからはじめよ』が出版された当時、私は、悶々と苛立ちの感情にとらわれていました。では、何に苛立っているのかと自問しても、明確な理由はなく、結局、自分自身でモヤモヤを増幅させるだけです。

「とりあえず行動する」「物事を前向きに捉える」などの結果に期待して、無理やり自分を鼓舞するのですが、表面層の感情が少し好転しただけで、真芯のモヤモヤ、鬱々は変わりません。

『イシューからはじめよ』を読んだのも、とりあえず行動する、物事を前向きに捉える、の一環で、とにかくビジネスパーソンの自分を高めなければという想いからでした。つまり、確固たる目的もなく、ただビジネス書を読む、その内の1冊だったのです。

しかしそれは、大当たりでした。

落ち込んだり、イライラしたりといった感情は、私が無意識を装って、実は意図的に、本質の問題を遠ざけていた為に改善しないのでした。

正しく、優しく、強く。そんな大人を目指してする努力や行動が、その質、量ともに不足していたのです。

要は、身の丈を知りながら高望みをして、自分勝手に傷ついていた、というわけです。

すべての原因は自分の力不足にあり、それを認めようとしないことが日々の鬱々を呼んでいる。そうした状況に至ったのには幾つかの出来事がありました。しかし、それは問題の本質を取り巻くサブテーマでしかありません。自分の弱さや力量不足に気付くことが、まずは大切でした。

イシューとは、
「目的を達成するために白黒つけるべき重要な論点」のこと。

何にケリをつけるべきかを考えて問題の真因に達し改善策のスタートとする、これが施策を講じて実行し、PDCAを回して得る「結果の質」に大きく影響するのです。

問題の重要性を見極める眼力

ビジネスには、顕在的な問題と潜在的な問題があり、そうしたあらゆる問題の解決を繰り返すことによって、チームが強化され、取り引きが成立し、集団は信頼されうる組織へと成長します。

チームや組織が解決しようとする問題は、リスクを包摂した、いわゆる「トラブル」のみを指すのではありません。明日お客様にするプレゼンや、来月納品する商品の製造、社内ミーティングの資料や備品購入の稟議書なども、ある人にとっては避けがたい問題の一つです。

仕事上の問題とは、解決するものであり、改善するものであり、そして遂行するものでもあります。仕事に向き合い、解決、改善、遂行の場面で立ち止まったら、そこには「白黒つけるべき重要な論点」があります。

現代はスピードの時代で、ビジネスで立ち止まることは「悪」と評価されます。とりあえず表面上の問題を片付けることが先決なのは致し方ありません。

しかし、自分やチームが立ち止まった問題の根本的な原因を検証せずに、次の問題解決に乗り出してしまうと、重要な論点が置き去りにされ、いつか問題がトラブルとなって顕在化し組織を壊しにかかります。組織がトラブルを解消するには、トラブルの影響力の強さに比例して大きな労力・費用・時間を必要とします。体力のない組織は問題解決の施策に疲れ、崩壊してしまうこともあります。

一見、小さな問題であっても本質を探究すれば、優先して解決すべき問題があり、また、深掘りをすれば更なる改善のヒントが隠されているものです。考えるべき事象に気付くセンス、絡んだ糸の中心にある最も固い結び目を見極める眼力が重要です。

イシューを特定する経験値

何が問題なのかを明白にするには、幾つかの条件があります。

①仕事の目標を理解していて、全体のフローが見えている
②問題となった事象を整理し、単純化して列挙することができる
③問題のボトルネック、トリガーを炙り出すことができる

①~③はいずれもある程度の業務経験を必要とするスキルです。あるいは、それなりの立場にいる人物のほうが①~③にアクセスしやすいとも言えるでしょう。少なくとも基本業務の修得過程にある若手メンバーは、たとえ本質的問題の存在を感じたとしても、それが重要であることに気付かないか、問題を特定する時間やスキル、5心の余裕がありません。

ただ、潰すべき問題は、往々にして誰もが当たり前と疑わない、ルーチンワークの工程の中にあったりします。ゆえにリーダーは、全体のフローを把握し、仕事が進んでいく様子を認識している必要があるのです。

そのうえで次の5つのスキルを駆使してイシューを特定します。

①分析…問題周辺のデータを収集して、発生パターンを洞察する。
②クリティカルシンキング…慣習や当たり前、問題の事象を批判的に思考する。
③問題解決手法…問題解決に有効なフレームワークを正しく使う。
④コミュニケーション…問題周辺の関係者とコミュニケーションをとり、事実、背景、思惑を収集する。
⑤ドライバーズ分析…問題の側面にある要素と本質的な問題との相関関係を認識する

残念ながら、数々のビジネスフレームワークを知っていたり、データ分析に長けていたりするだけでは、イシューは特定できません。イシューの特定には、なんといっても経験値の高さが生む「気づき」が必要です。そして、組織にとって影響の大きな問題を解決しようとする場合は、問題の周辺情報に踏み込むことが許される立場、あるいは人物である必要があります。

問題を解消しようとするHowツリーを何からスタートするかが導く改善策の質を左右します。私たちは、イシューを特定する人の経験値とスキルによって、その結果の妥当性が変わることも知っておかなければなりません。

闇雲に経験するか、目的をもって経験するかで、経験の質は違うため、チームや組織のリーダーはイシューの特定ができる人材を計画的に育てるべきです。また、まだ絶対的経験値の低い若手メンバーの皆さんであっても、自分が関わる業務の全体像を把握し、明確な目的をもって仕事に取り組むことで、問題の解決に通じる道の本数が増え、イシューに近づけるようになります。

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