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「主体性」と「キャリア」のおはなし

2023.10.06

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終身雇用制度の崩壊とともに、キャリア形成を組織に委ねることに危機感が高まり、自分のキャリアは自分で作るもの、という概念が浸透し始めました。しかし、よくよく振り返れば、今も昔も人生の主役が自分であったことに変わりはありません。今回はキャリアについて主体性の観点から考えてみました。

キャリア形成にみる主体性のかたち

昨今の変化する社会環境下で、いつでも生き生きと働き、悔いなく日々を過ごすには、キャリア自律の意識は欠かせません。キャリアのゴールが定まっているのなら、そこに向かう道程を歩んでいけばよいし、まだ、将来のあるべき姿に確証がなかったとしても、自分が正しいと思う選択を重ねて、1つずつスキルを身に付けるといった準備をしておくことができます。

ただ、私たちビジネスパーソンは、わがままにキャリア自律を突き進んでよい立場にはいません。それは、一人の人間でありながら、組織人でもあるからです。

とはいえ、組織人の側面が個人を超えれば、人としての色や感性が鈍り、歩むべきキャリア自律の道に黄色信号が灯ります。一方で、あまりに個人が勝れば、組織に不調和を起こしてしまうでしょう。

個人と組織人の両面を発揮するには、それなりの調整が必要です。目標を定め、意識的に能力や体力、人間力を高める「攻めの姿勢」が必要なのです。

そうやって積極的に獲得したキャリアは頼もしく、人生の切り札となります。漫然と組織にいられる時代は終わろうとしています。自分を見つめて将来に照準を合わせてみてください。この先どうなりたいか、そのために今日や明日をどう過ごすのかを、自分の意志、すなわち主体性をもって決定し、歩んでいく強さが求められています。

主体性とは何か?

「キャリア」という言葉は、なかなかに漠然としています。それは、キャリアが今現在のことでも半年先のことでもなく、人生と同等の時間感覚を持った言葉だからだと思います。そして、キャリアは子供の頃に無邪気に想像していた「将来の夢」とも、また違います。

社会人となり、自分にも周囲にも責任ある立場となった私たちは、現実的かつ具体的に将来を語り、可能であれば、いくばくかの設計もしたうえで目指す目標、キャリアを示さなければなりません。

つまり、自分に対するイニシアチブが求められるのです。イニシアチブとはすなわち主体性です。

主体性はしばしば「自分から積極的に行動を起こすこと」と説明されます。たしかに「一言で簡単に」と注文がついていれば、これで足りているかもしれません。しかし、次に「積極性と主体性の違い」を尋ねられると、前述した説明では主体性の大事な部分が抜けていることが分かります。

積極性は、進んで物事に取り組む意志や行動を指し、この物事には他者の指示や依頼も含みます。一方、主体性は自分の意志や判断が基準となり、他者の働きかけとは関係なく、自ら物事に取り組もうとします。(そうした意志が行動に表れたとき、行動しない他者と比較して積極的に見えるため、積極性と主体性は混同されやすいのです。)

主体性を現す判断基準とは

主体性を定義するのに欠かせない「自分の意志や判断」とは何かを掘り下げて考えると、それは事の「善悪」であったり、本人の「目標」であったりします。

仕事をしていると大小様々な決断をしなければなりません。まだ経験が浅く、これといって決断をする場面はないと思う若者でも、自分では気が付かない小さな決断を繰り返して仕事をしています。その決断の際に判断基準となるのが、善いか、悪いか、掲げた目標・目的に沿っているか、といったことではないかと思うのです。

主体性のある人は判断基準が明確なため、決断が早いです。ゆえに行動が積極的であり、決断を繰り返すことで進むあらゆる仕事のスピードが速いのです。現ビジネスでは、仕事スピードが速いことが重要ですから、主体性を持つことは組織に多くの利益をもたらすといえます。

さて、切り口によって判断基準は様々ありますが、ここで少し挙げてみましょう。

・法律やルール ・倫理観(善悪) ・利益 ・長期的視野 ・短期的視野
・知識や情報 ・感情や感性 などなど。

いかがでしょうか。

中には経験を重ねることで身に付くものもありますが、たとえば言語化できるところまで明確にできるかというと、それは簡単ではなさそうです。主体性を高めるということは、自分自身が何を良しとするのかをハッキリとさせること、自分自身を知ることである、と思えます。

主体性を高める、キャリアを考える

最後に主体性を高めるために何をすればよいかを考えます。

主体性はもっぱら概念的ですから、具体的なトレーニングがあるわけではありません。ただ、前述したように「自分自身を知ること」はとても大切です。ぜひ、そのための努力や環境整備をしてみましょう。

自分の強みや弱みを把握する時間を意識的に設けたり、興味・関心を感じる事柄を可視化させるのもよい方法です。また、それと並行して目標を設定してみましょう。目標に向かって行動するうちに、キャリアにおける現在の自分の立ち位置が見えてきて、自己認識が進みます。自己認識と目標は「卵と鶏」なので、どちらを先に設定するかは議論の余地がありますが、どちらからも一方が眺めやすいのは本当で、主体性を高めようとするときに欠かせません。

また、現状の自己分析だけでは、顕在化していない自分には気づけません。ぜひ新しい経験に挑戦しましょう。そうすることで成長し、今まで曖昧だった判断基準が固まっていきます。未経験のステージでは、どんな小さな判断もチクチクと主張するはずです。そんなときは主体性を発揮しなければならず、好むと好まざるとにかかわらず、自身の意志・判断基準を意識することになるでしょう。

主体性を高めることは自分を知ることであり、自分を知ることは、キャリア形成の出発点でもあります。もちろん、主体性=キャリア形成ではありませんが、主体性なくしてキャリア形成が困難なのは事実ではないでしょうか。

先輩や上司に「主体的に!」「主体性をもって!」と言われることは多いものです。仕事の生産性を上げるための指導にもとれますが、ひょっとしたら、皆さんのキャリア形成を視野にいれた、奥深い言葉なのかもしれません。主体性とキャリア、一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

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