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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

社内勉強会、グループワークが「ちょっと苦手」という方へ。

2021.10.08

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社内勉強会では参加者が対話を重ねることで、その日のテーマについて大切な気づきを得ることができます。その気づきのために重要な役割を果たすのが、意見を共有して整理するグループワークです。しかし、「グループワークが苦手」という参加者も少なくありません。今回は社内勉強会のグループワークについてまとめます。

社内勉強会にグループワークが欠かせない理由

まずは、なぜ社内勉強会でグループワークを行うかについて整理します。

グループワークは作業型とディスカッション型に大別できます。ゲームや作品作りにグループで取り組むのが作業型。メンバーと協力しながら作業を進める過程で、グループダイナミクスや作業効率、タイムマネジメント等を学びます。

ディスカッション型はメンバーの対話によって最適解を導こうとするものです。意見を共有・集約することで、個人の考えを展開したり深掘りしたりすることができます。また、他メンバーの考えに触れ、多様性や協調性の意識づけができます。

運営側は、勉強会当日の前半と後半で内容やテーマに深浅を設けてグループワークを取り入れます。前半は参加者の緊張をほぐし、コミュニケーションを取りやすくするゲームや自己紹介などの小さなグループワークを、勉強会が進むにしたがって、その日のテーマについて話し合うグループワークを取り入れていきます。徐々にグループワークの深度を深めることによって、参加者が自然なアプローチでテーマに向き合えるよう配慮した構成です。

参加者はグループワークを通して、他メンバーの個性や考え方を知ることができます。多様な考えに触れることで、視野が拡がり内省の一助になります。また、グループワークは、業務時間中には伝えきれない、自分の考え方や存在を知ってもらう良い機会でもあります。仕事中は自重している人も、業務時間外に行う社内勉強会のグループワークで、個性を発揮してみてもよいかもしれません。

グループワークの基本的な進め方とマナー

意見や考えを開示できるグループワークですが、参加者それぞれが無遠慮に主張を繰り返しては、グループとしての成果を出せずに終わってしまいます。基本的な進め方と参加者としてのマナーを確認しておきましょう。

グループワークの基本的な進め方

①課題(テーマ)や成果物を明確にする
グループワークには必ず課題(テーマ)や求められる成果物があります。参加者はもれなく把握しておきましょう。

②役割を決める
リーダー(司会者)、書記、タイムキーパーの3つの役割は、あらゆるグループワークに設置したい役割です。議論が脱線したり、無駄な作業が発生したりしていないか、ワーク全体を見渡して対応します。

③時間配分を決める
ディスカッション型の場合は、議論、合議、発表準備にそれぞれ何分、といった具合に時間を決めておきます。作業型の場合も作業工程を分解して時間配分を決めましょう。時間は少し余裕をもって設定するとよいでしょう。

④議論、作業

⑤意見の集約・結論まとめ、作業の仕上げ
意思決定の方法を決めておきましょう。グループワークのテーマによって決め方は違うかもしれません。また、結論を一つに絞る必要がないときも、重複する意見はまとめて発表できるように整理しましょう。

⑥発表
メンバーが交代で担うとよいでしょう。そうすることで議論や作業に対する真剣さが変わります。

グループワークのマナー

①他メンバーの意見やアイデアを受け入れる
意見や作業工程が他メンバーと異なるときも、まずは相手を受け入れます。お互いの意見やアイデアをブラッシュアップする感覚でワークを展開すると、良い結論を導くことができます。

②長く話さない(ディスカッション型)
社内勉強会の時間には制限があります。全員が発言の機会を持てるように配慮しましょう。

③反応する
他メンバーの言動、行動に反応を返しましょう。グループワークの成果を充実させるにはメンバーの相互的な関わりが欠かせません。反応を返すことによって対話が進み、気づきが生まれます。

④テーマにそった発言・行動を心掛ける
グループワークのテーマから逸脱しないよう気をつけます。白熱した議論は枝葉に飛ぶ傾向にあります。また、作業のための作業になっていないかも注意したい点です。

⑤執着しない
自分のやり方や意見にこだわり過ぎると、グループの成果が上がらなくなります。また、他メンバーから良い刺激を受ける機会を逃すことにもなってしまいます。

⑥時間管理をする
社内勉強会全体の開催時間に影響しないよう、グループワークの時間管理に協力しましょう。

グループワークが苦手な人はどうすればよいか

社内勉強会に参加する度に、グループワークが苦手なことを再認識する人もいるでしょう。

たとえ仲間の前での発言でも緊張するケースもあります。また、グループワークの課題についていけないと、自分の意見や考えを整理できません。そうした状況を素直に伝えられれば、グループワークが別のアプローチで展開しだすのですが、「意見がない」「知らない」を恥ずかしいと感じる人は多く、つい現状の認識不足を隠そうとします。あるいは、意見が違う人がいるとイライラしたり、先輩や上司と考え方が違うのは嫌だ、と感じて自分の考えを聞かれることを不安に思う人もいるかもしれません。

グループワークが苦手な人は、往々にして言動、行動のパーソナルスペース範囲が広いと考えられます。パーソナルスペースは他者と近づける限界の範囲を示すもので、人と人との実際の距離を指します。しかし、私は、パーソナルスペースには会話や態度を介する他者との距離感も含むと思っています。(初対面の人にいきなりプライベートを尋ねないのは、この心理上のパーソナルスペースを尊重しようとするからです。)

心理上のパーソナルスペース範囲が広い人は、グループワークで自分の考えを開示すること、また、無遠慮な他者の考えを聞くことに抵抗があり、緊張したり、不安に感じたりします。これを一朝一夕に改善するのは難しいことです。

しかし、グループワークは自分から関わらなければ学びを得ることができません。尻込みをしていると、グループワークの意義を享受できず、勉強会の間、時間を無駄に浪費してしまいます。

どうしても社内勉強会のグループワークに苦手意識のある人は、次の4点にトライしてみてください。

①周辺情報(メンバーの顔触れや状況)を遮断して課題に集中する
②当日のテーマについて調べ、考えて勉強会に参加する。行き当たりばったりの参加は誰もが十分な意見を展開できない
③自分の意見がないときは他メンバーの意見を聞いて展開し議論に参加する
④正解を追わず自分の意見ややり方を洗練させる。課題にそっていれば論点がブレることはない

若干消極的な方法も含まれますが、グループワークに参加をすれば、他メンバーからの反応を受けることができます。その反応を通して自分の意見や考え方に気づくことができるでしょう。

まとめ

グループワークでは誰のどのような意見も無駄ではありません。たとえメンバーからの発信が「わからない」「意見がない」であったとしても、それは何故か、世代差なのか、職種の違いなのか、といったワーク展開が可能です。

社内勉強会でグループワークを取り入れるメリットを体感できれば、苦手意識を克服していくことができます。次の勉強会では、少し自己開示をしてみませんか。