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デザイン思考は“人”を掘り下げて価値を生み出す

2022.08.23

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「物を売りたい」「サービスを広めたい」。会社を大きくし存続させようとするときの当たり前の願望です。しかし、この不確かな現代社会は、商品やサービスが「面白く」「質が高い」からといって成功させてはくれません。誰の、どのような状況に向けて開発されたのか、とにかくそこが重要なのです。これが、デザイン思考が注目される理由です。

デザイン思考とは何か。冷蔵庫のお話し。

唐突ですが、皆さんのご家庭の冷蔵庫には、どのような機能がついていますか?業務用に匹敵する急速冷凍、凍らした食材に包丁の刃が入る微凍結etc.本来、「食材を低温で安全に保存する」ことができれば冷蔵庫を購入した目的は果たせるはずです。では、家電メーカーが冷蔵庫にそれ以上の価値を付けるのは何故でしょうか。それは、他社製品との差別化を図り、消費者に選んでもらうためです。では、何故、急速冷凍や微凍結技術の必要があったのでしょうか。

・・・??

実は、ここにデザイン思考が隠されています。

デザイン思考とは、デザイン(設計)に必要な思考法をビジネスに応用した考え方でありマインドセットです。具体的には、顧客が置かれている状況や行動を観察して、人々が本質的に求めるニーズを検討し、商品やサービスを開発することを指します。

冷蔵庫の付加価値についてデザイン思考で考えてみます。

一家に一台、冷蔵庫が当たり前にある現代、もはや「食材を低温で安全に保存する」という冷蔵庫の機能に特段、価値は感じません。つまり冷蔵庫は、コモディティ化して久しい商品なのです。コモディティ化した商品に再び価値を見出すには、その商品が魅力的な“経験”をもたらしてくれるように、イノベーションする必要があります。

多機能な冷蔵庫の場合、まず家庭の“食の在り方”を支えるツールとして冷蔵庫を位置付けます。そうすると、忙しい家族が共に過ごす食事の時間を大切にしたいと思う人に対して、「家族の健康を守り、美味しく、短い時間で調理ができる」という、冷蔵庫に課された新たな価値が見えてくるのです。

「週末にまとめ買いをした生鮮食品や作り置きをしたお惣菜を、急速冷凍機能で栄養を保ちながら美味しく保存し、凍っても包丁の刃が入る微凍結機能で調理時間を短縮する」。平日、会社からの帰りが少し遅くなっても、これらの機能が食卓を豊かにしてくれる、という生活デザインです。

多機能冷蔵庫は、社会進出が進み、仕事から帰宅して夕食の支度をする女性が多いこと、キッチンに立つ男性が増えたことなど、現代の家庭事情を観察し、食に対して何が求められているかを検討した結果、開発された商品というわけです。

デザイン思考の特徴と5つのステップ

デザイン思考は次の3つを前提に考えることに特徴があります。

①人(顧客・ユーザー)の満足を中心とすること
②失敗を歓迎し、検討・試作を繰り返すこと
③固定観念に捉われず、多様な意見に耳を傾けること

変化の激しい現代において、“物”は常に陳腐化の危険性をはらんでいます。デザイン思考では、“人”の本質的なニーズを深掘りすることによって、陳腐化によるリスクを回避します。

また、変化の激しい現代はスピードの時代とも言えます。Tryerrorを繰り返すことで、社会のスピードに対応しながら、同時に質を高めていくスタンスが求められます。大切なのは失敗を認め、たとえ愛着のある商品・サービスであっても放棄できる冷静さです。

固定観念に捉われた一般化した意見は、「食品を低温で安全に保存するだけの冷蔵庫」と同程度の意味しかありません。多様な意見のなかに、ニーズの本質をつくアイデアが隠されている可能性は非常に高いです。

ここで、スタンフォード大学、ハッソ・プラットナー・デザイン研究所が提唱する「デザイン思考」を実践する際の5つのプロセスをご紹介します。ただし、これらは便宜上“プロセス”というだけで、この順番にこだわる必要はないとされています。

試行錯誤の過程で、どこのステップに戻り、飛ぶか、それは状況によって判断します。

①共感

顧客やユーザーの意見を聞いて課題を発見しようとするプロセスです。インタビューやアンケートなど、マーケティング手法を活用して実施します。顧客・ユーザーの立場に立ち、課題を共有、共感します。

②定義

顧客やユーザーの意見を深掘りして本質的なニーズを定めます。表面的に言い表された要望や願望だけでなく、何故そう思うのか、どのような生活スタイルから派生したニーズなのかなどを検証して整理します。

③概念化

ニーズの定義を受けて、アイデア出しを行うプロセスです。無理や無駄、コストといった実現可能かどうかの検証はいったん捨て、アイデアを出すことに集中します。多様な意見を収集することが求められます。

④試作

アイデアを収束させたら試作品を作ります。形にすることで机上イメージでは気づかなかった、ユーザビリティの確保やニーズの実現性を体感的に把握しようとするプロセスです。

⑤テスト

試作品を顧客やユーザー、第三者に使用・体験してもらいます。商品・サービスの完成度や、そもそもユーザーニーズと商品コンセプト、仕様が合っているのかなどを検証します。

デザイン思考のメリットとデメリット

デザイン思考は、顧客やユーザーの意見をベースにアイデアを生み出す思考法です。そのため、革新的で創造的なアイデアの創出には向いていないと言われています。しかし、革新と創造はビジネスを成功させる秘訣でもあり、この2つを生み出しにくいことはデザイン思考のデメリットです。

SONYのウォークマンや日清のチキンヌードルなど、今まで世の中に存在しなかった商品が、市場に与えるインパクトの大きさは絶大です。デザイン思考では、これらのようなクリエイティビティ溢れる発想が難しいことを認識したうえで、何に対して、あるいはどのタイミングで、どのような規模でデザイン思考を活用するのかを判断しなければなりません。

最後にデザイン思考のメリットを整理します。

①商品・サービス開発を身近にするTryerrorの精神

デザイン思考がTryerrorを推奨するのは、現代がスピードの時代であることに起因しますが、「失敗をしてもよい」という考え方は、商品・サービス開発のハードルを下げる効果もあります。ポジティブエラーが商品開発のフットワークを軽くさせるのです。

②多様な価値観を企業の強みに昇華

多くの企業が、多様な価値観を受け入れる必要性に理解を示しています。しかし、多様性を強みに変換して、企業戦略に活かせている企業は、まだ少ないといってよいでしょう。デザイン思考には、顧客ニーズを見極める過程や、アイデア出しの過程など、その多くで少数意見を拾おうとするマインドがあります。

③ユーザー支持率の高い商品開発

デザイン思考の出発点が顧客・ユーザーのニーズであることが、商品の市場支持率を押し上げます。企業が作りたい商品はモノの質を高めていくでしょう。しかし、それが、顧客・ユーザーの臨む機能や仕様でなければ、購買行動には繋がりません。

現代が変化とスピードの時代であることとデザイン思考の関係性、そして、デザイン思考でできることなどがおわかりいただけたでしょうか。時代に合わせて既存商品をマイナーチェンジする企業も多いことと思います。ぜひデザイン思考で付加価値を高めてみてはいかがでしょうか。

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