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コンプライアンス違反が起きない組織であるために

2022.01.28

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私たちがよく知る大企業がコンプライアンス違反によって経営不振に陥り、事業を継続できなくなっていくニュースは枚挙にいとまがありません。一つのモラル違反が拡散し企業の信用を失墜させる時代に、私たちはどのように会社を守り、自分を守ればよいでしょうか。コンプライアンスについて考えました。

今さらながら、コンプライアンスとは何かをおさらい

まずはコンプライアンスとは何かを確認しましょう。

英語のコンプライアンス(compliance)は、「要求、規則、法令を守ること、またその規則などへの整合性や適合性」という意味です。日本語では「法令順守(遵守)」と訳されていますが、私たちが耳にするコンプライアンスの多くが、「企業コンプライアンス」や「ビジネスコンプライアンス」の意味で使われているようです。

さて、コンプライアンス=法令順守ですが、国や地方の法律や条例を守っていれば、それでよいというわけではありません。

企業コンプライアンスは、企業が社会の一員として世間に認めてもらうために守るべき行いや姿勢を含みます。それを一言で言い表すと、“モラル”です。

モラルには“道徳”や“道義”といった意味があります。それを企業や、そこで働く私たちに焦点をあてると、企業倫理や商道徳、社内規定の順守、ハラスメント防止などが当てはまります。

たとえば、請負業者に対する不誠実な姿勢・態度、社内規定の消費期限を過ぎた原材料の使用、企業アカウントや社員アカウントによる不適切なSNS発信などが挙げられます。法令がカバーしていない範囲でも、これらモラルに反した行為はコンプライアンス違反と認知され、発覚後の経営に悪影響を及ぼします。

あるレストランチェーンで起きた事件です。

客に提供した生肉が原因で食中毒が発生し5名が亡くなってしまいました。当時、厚生労働省は“生食用牛肉は検査をして提供するように通知”していましたが、このレストランではその検査を怠っており、それがコンプライアンス違反として世間で取り沙汰されました。

厚労省の通知に罰則はありませんでしたが、この食中毒事件の後、検査は義務化され、違反には罰則が科されるようになりました。焼肉屋さんのメニューから“ユッケ”が消えたのは、この事件がきっかけです。事件が起きたレストランチェーンは営業停止となり、チェーンを経営する会社はその後廃業しました。

他にも、インターネットで検索をすれば、コンプライアンス違反の事例がいくつもヒットします。コンプライアンス違反を起こした企業は、私たち消費者をはじめ、取引先など社会一般からの信用をアッという間に失います。一度信用を失うと、上場企業のような大きな会社でも事業継続が難しくなり、資産や資金力ともに弱い小さな会社は、立て直しの術がないために直接的に廃業・倒産の可能性があります。

企業コンプライアンスは、会社をとりまく全ての人々の生活と将来、また社会そのものに影響する概念なのです。

コンプライアンス違反防止の取り組みとは

現代では、SNSの発達により誰もが情報を広く発信できるようになりました。手軽に社会と繋がる道具を手に入れたといってよいでしょう。これは、個人ならばコミュニケーションの範囲が広がり、企業ならば顧客獲得のチャンスにもなります。

しかし同時に、手軽さ故に、よくない情報も簡単に伝わっていきます。

かつては局所的に知られやがて収束していた情報が、SNS時代の今日では、驚異的なスピードをもって拡がり展開します。善行も悪行も隠されずに社会に流れていくのです。もはや情報は止められないと認識すべきでしょう。

その意味で、会社も、そこで働く私たちも、コンプライアンス違反がもたらす危機を十分に認識し、社会人としての責任を果たす信念を持たねばならないといえるでしょう。

まずは、すでに法令違反やそれに準ずる状況・状態がある場合は緊急的な対策が必要です。下請け業者への不当な値引きの強要や慢性的な残業など、“慣習”という名のもとに、不適切な状態が今も続いている会社があるかもしれません。現状を冷静に見直しましょう。

企業コンプライアンス違反として挙がることの多い法令は次の通りです。

・下請法
・労働基準法
・個人情報保護法
・金融商品取引法(粉飾決算、不正会計)
・食品表示法(原産地虚偽表示)
・著作権・特許権の侵害
・その他地方公共団体が定める条例や規則 など

ではコンプライアンス違反防止策について整理します。

①業務の属人化を見直す

仕事の内容が明文化されず、引き継ぎもされないまま担当者に任された状態が続くと、業務がブラックボックス化して、万が一不正が行われても判明しにくくなります。また、属人化した状態にある業務で、故意ではない判断ミスや失敗が発生すると、是正が遅れ不適切な状態が維持されてしまいます。結果的に法令違反につながることが考えられます。

故意ではないという意味では、古いマニュアルのまま行っている業務や、特段のルールがなく継承される業務がある場合は、現在の法令にそっているかを見直す必要があります。

②手元の情報管理を徹底する

企業の情報管理というと、セキュリティ対策を思い浮かべる人が多いかもしれません。確かにハッキングによる顧客データの漏洩事件があることも事実です。

しかし身の回りの管理不足から情報が洩れるケースもあります。文書のファイリングが適当だったり、適切な破棄がされていなかったりといった例や、会社支給のPCを持ち出しての置き忘れ、記憶媒体の紛失などがそれに当たります。守るべき情報とは何かを具体的に列挙して周知することから始めるのもよいでしょう。

③労務管理を根本から見直す

「働き方改革」が言われ、企業の残業時間は削減されつつあります。しかし、仕事の量が減るわけではありません。仕事量が減らないのに残業時間が減っているとしたら、どこかに歪があると考えられそうです。

もし隠れた残業があるなら、それはコンプライアンス違反です。また隠れてする業務はミスや不正を誘発します。実態把握を急ぎましょう。同時に業務効率の向上にも着手して、慢性的な残業状態を脱する必要があります。

心理的安全性の確保がコンプライアンス違反を防止する

コンプライアンス違反防止策を立てることはできますが、運用の際に決まって課題となるのは、それを運用する私たち、社員一人ひとりの意識です。

良い慣習もそうでない慣習も、企業は何らかの必然性があって育んできました。他社に勝つための方策、つまり価格や人員、仕入れ、あるいはその決裁者とメンバーの関係など。それは企業風土であり、組織の一員が暗黙的に守るべきルールともいえます。

企業風土が社会的に適切ならばコンプライアンス違反はおきにくいといえますが、社員に過度なプレッシャーが与えられたり、先輩や上司への提言がしにくい風土であったりすると、善意が屈折し、それが法令やモラル違反の温床を作ってしまいます。

概ね、次のような行為が階層の区別なく行えている組織は、「心理的安全性」が確保されており、コンプライアンス違反の芽を事前に摘む体制が整っているといえるでしょう。

・分からないこと、知らないことを蔑まない
・ミスをしても正直に話せる
・反対意見を述べても不利益を被らない
・指摘やフィードバックが受け入れられる

逆にこれらのうち一つでも実施されておらず拒否されているとしたら、今一度、自社や属する組織が法令違反やそれに準ずる状況・状態にないかを振り返るべきでしょう。

企業は社会的責任を負っています。ここでいう社会とは世間一般のことであり、市場経済であり山、川、海、地球であり、私たち個人です。法令・法律が守ろうとする対象、モラルによって守られるべき対象すべてに企業は責任を負うのです。大きくて身近な概念であるコンプライアンス。まず、私たち一人ひとりから始めましょう。

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