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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

「社内勉強会」でキャリアをフラットに考える

2020.07.17

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社内勉強会において、『参加対象者』と『テーマ』をどのようにすればよいかという質問をよく耳にします。誰が参加するのか、何を学ぶのかという点に、企画側も頭を悩ませているのです。

そのような悩みを抱える方には、『共感エネルギー』という言葉を覚えていただきたいです。
例えば、ある程度年齢や経験が近い人同士が参加する場合、仕事上で同じような課題感を抱えている可能性が高く、参加者がシンパシーを抱くかもしれません。

このシンパシー、簡単に言うと『あ、それ分かる!』という感情が共感エネルギーです。このエネルギー量が多いテーマほど、共有や気づきの促進が図られ、参加者全員に有益になりやすい傾向があります。

効果的なテーマ選定の手順

もう少し詳しく参加対象者とテーマ選定の手順を解説します。まず、ある程度「職種」「役職」「年齢」が近い人たちにアンケートをとります。アンケート内容は「現場で課題と感じている点」や「身につけたいスキル」で結構です。

取り終えたアンケートを集計し、多かった課題などを中心に勉強会のテーマを決めます。この際のポイントは、「○○の課題が多かった」という理由を記載したうえで募集をかけることです。同じ課題を感じていることを前提に参加募集を行うことで、共感エネルギーを予め高めることができます。

最も簡単かつ効率的な方法は、上記の通りです。共感エネルギーという感情を利用して、能動的な参加姿勢を引き出すのです。

より応用的な参加者・テーマ選定「キャリア開発」

共感エネルギーの重要性について触れましたが、実はこれとは全く異なる視点でおススメしたい選定方法があります。それは「キャリア開発」という視点です。

共感エネルギーは、年齢や経験が近い人同士での参加を見込んでいました。いうなれば横軸での社内勉強会です。しかし、キャリア開発という視点から見ると、縦軸(年齢や経験が異なる人同士)で参加者を構成することも効果的であり、それがしやすいのも社内勉強会の特徴です。

以下の図は、『日本の人事部 人事白書2020』に記載されている、従業員のキャリア開発についての必要性に対する質問と回答です。

出典:株式会社HRビジョン『日本の人事部 人事白書2020

ご覧の通り、キャリア開発の必要性を感じない理由として、「ノウハウがない」「予算・時間がない」など、消極的な理由が上位を占めています。そのように感じている企業ほど、社内勉強会をキャリア開発の場として活用することをおススメしたいのです。

キャリアをフラットに考える場とする「社内勉強会」

通常のキャリア研修というと、「過去の経験の棚卸し」「3-5年後の目標設定」などを実施することが多いです。しかし、普段日常でそのようなことを考えていない人が、急に研修の場で思いつくでしょうか。それはなかなか難しいことです。

そこで、社内勉強会の学習テーマを「キャリア」とし、フラットかつ日常的に考える場として活用してみてはいかがでしょうか。社歴の長い方、経験の浅い方、どのような方が参加いただいても構いません。「他者の意見を批判しない」という社内勉強会の大原則のもと、これまでの経験やキャリアに対する意見など、自由闊達に共有してもらうのです。密が懸念され集合研修が難しい現状でも、オンライン社内勉強会という形で、気軽に開催することが可能です。

共有のテーマはシンプルで結構です。例えば、「会社で今後どうなりたいか」などで構いません。研修という改まった場だと「しっかりした正解を言わなければ・・・」という気持ちが働き、まとまったきれいなものを出しがちですが、社内勉強会で出す意見は“ざっくり”としたイメージでも構わないのです。重要なことは、キャリアについて「考える」ことと「アウトプットする(=他人に話す)」ということです。社内勉強会をそのような考える・アウトプットする場にしていただきたいのです。

経験が異なる社員同士が集まっているので、自分が考えるイメージに対する共感やアドバイスは多岐に渡るはずです。それもすべて受け入れることで、キャリアに対する新たな発見ができるかもしれません。ぜひ、あなたなの会社でも、「自身のキャリアを考える社内勉強会」を実施してみてはいかがでしょうか。