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ビジネスパーソン1UPへの道

先輩社員は知っておきたい、アンガーマネジメント基本のキ

2021.04.21

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「後輩が私の指導を聞いてくれない」

「指導に時間をとられて自分の仕事が進まない」

「後輩がITに疎い私をバカにしてくる」

このような環境にある世の中の先輩社員のみなさん、イライラ、怒りが溜まっていませんか?

少し前まで、新入社員に感じるのは年齢のギャップくらいだったのが、今ごろは結構な幅で“習慣”や“ライフスタイル”が違っていることに驚きます。若い世代のスマートな振る舞いを眩しく感じる一方で、先輩としてどのように指導してよいか「見当がつかない」なんていうこともあるでしょう。DIといった新しい社会的基準もあり、「叱る」「指導する」の難しさが増しています。自部署に後輩が配属される時期になると、自分の指導スキルや後輩とのコミュニケーションに苛立ちを感じる人も少なくありません。

怒りのコントロール、「アンガーマネジメント」とは

アンガーマネジメントとは、自分の怒りと上手く付き合い、感情に振り回されることのない日常を過ごそうとするスキルのことです。1970年代のアメリカで、精神療法を受けている人や、笑顔でいる必要のある仕事に従事している人などを対象に広がりました。現在日本では、学校などの教育現場やスポーツ、カウンセリングの場などで取り入れられています。とくに2020年に施行された、いわゆるパワハラ防止法に対する施策として、アンガーマネジメント研修を取り入れる企業も多く見られます。

職場ではもちろん、さまざまなシーンで良い人間関係を築いていくため、また、自分の精神的な安定のため、アンガーマネジメントはぜひ知っておきたいスキルの一つです。

「怒り」とは何か

怒りとは、人類が太古から受け継いできた感情の一つと言われていて、自分の要望がかなわないとき、物事が自分の思うようにならないときに生まれる感情です。そうした状況を打破したいけれど「自分ではどうすることもできない」、「行き場がなくやるせない」、そんな思いが怒りとして表出されるのです。

怒りをポジティブに捉えて表現するならば、「現状に満足しないエネルギー」と言い換えることができます。怒るべきときに怒れない人は、すなわち「あきらめる人」であり、状況を好転させようとする原動力のない人であるといえます。誰かに向けられた怒りなのか、自分に向けた怒りなのか、怒りで苦しみもがきながらも、「今のままでは駄目なんだ」と思う気持ちのある人の方が人間的な余地があるというものです。

怒りの第二次感情論

実は、怒りは二次感情だといわれています。つまり「第一次」があるということ。怒りの元になる別の負の感情があり、それらが変化して怒りとなるのです。たとえば、遅刻した友人に対する怒りはどうでしょうか。連絡もなく遅れている友人に対して、「来る途中で具合が悪くなったのかも」とか、「ひょっとして事故にあったのかもしれない」と心配していると、「ごめん、ごめん。寝坊しちゃってさ」とニヤニヤしながら友人が現れる。そんなとき「心配」の感情が「怒り」に変かわりませんか? このとき第一次感情は「心配」、第二次感情は「怒り」です。“期待”を裏切られた、“恥ずかしい”思いをさせられた、“悲しい”気持ちにさせられた、不安、寂しさ、不甲斐なさ、などが怒りに変化する負の感情群です。

そして厄介なのは、「友人の遅刻」といったような、ある特定の事柄に対する“心配”➡“怒り”の変化だけでなく、一つひとつの関連性のない事柄で発生した負の感情が積み重なった末に、突如として変化する「怒り」もあるということです。

家族に対するモヤモヤ、仕事で失敗してしまった不甲斐なさ、繁忙期で心身ともに感じる疲れ、などで心がいっぱいになっているとき、何かのきっかけで「怒り」とし溢れてしまうのです。

怒りをコントロールする5つの方法

イライラ・怒りは誰にでもあるもの。しかし、「怒り」をあるがままに表出させ、周囲を巻き込んで困惑させるのは、大人として未熟な感情表現です。第一次感情を怒りに変化させてしまうことによって、大切な人間関係をひどく壊してしまうことも予想されます。何とか自分の怒りを鎮める方法を身につけたいものですね。

それには、まず、怒りについて知ることが大切です。基本となるのは次の2点です。

①現状に満足して改善意欲のない人は怒らない

②怒りには元となる別の感情がある

これらは、怒りを人として当然の感情として受け入れるために必要な知識です。この知識があることで、イライラしたり、怒ったりする自分を責めて負の感情をさらに積み重ねていく「ネガティブスパイラル」から逃れることができます。そのうえで具体的なクールダウン法を実践するとよいでしょう。

呼吸法

ゆっくりと大きな呼吸をします。鼻から吸って口から息を吐きましょう。カッとなってしまった時に有効です。

カウントバック

100、979491、と大きな数字から3ずつ引きながら数えていく方法です。怒りをコントロールするには6秒程度かかるといわれています。6秒以上カウントバックをすることで、意識的に怒りから気持ちをそらします。

ストップシンキング

考えることをやめるために心のなかで「ストップ」と唱えます。一見、怒りに支配されている状態では難しそうですが、意外に「ストップ」の掛け声は効果があります。

スケールテクニック

怒りを数値化して客観視することでクールダウンします。人生最大の怒りを10点、まったく怒っていない状態を0点としたら、この怒りは何点だろう、と考えます。

グラウンディング

目の前にある物に意識を向けて怒りの感情をそらす方法です。たとえば、たまたま目の前にあったマグカップの色、模様、重さ、大きさ、材質などをじっくり観察する、あるいは、パソコンのキーを左から右に一つずつ観察してみる、など。グラウンディング、つまり地面に物を置くこと。怒りの感情をそこに置いていってしまいましょう。

まとめ

怒りのクールダウンができて気持ちが落ちついたら、そして少し余裕があったら、怒りの元となった第一次感情を見つめなおしてみてください。自分の信条や、大切にしたいと思っているものがわかってくると思います。怒りは表現の仕方によってトラブルを引き起こしますが、実は向上心ややる気の裏返しであることもあります。だからこそ、理不尽に怒りの感情を他者に向けることのないようにクールダウンのスキルを身につけましょう。そして、自分の成長のきっかけにしてほしいと思います。