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成人発達理論で知る、大人の伸びしろ

2022.12.02

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娘が夢中になっているアイドルグループの「人数が多すぎて名前を覚えられない」とは、娘と共通の話題で盛り上がりたいお父さん、お母さんのお悩み。大人になると、新しいことを覚えるのに一苦労するものです。資格試験の勉強も、以前のようにはいきません。大人は、もう成長が止まってしまったのでしょうか。

成人発達理論とは

たしかに、身長はもう伸びません。物覚えが悪くなったどころか、物忘れの進行のほうが気になる毎日。

皆さんのなかには、ご自身の記憶力や学習能力について、こんな風に思っている方もいるかもしれません。ましてや今後の自分の成長など、本気で考える価値もないと思ってはいないでしょうか。

「成長」という言葉は、子供たちや若者によく使います。ビジネスシーンでいうと「企業」に対して使用することもあります。いずれにしても、伸びしろを感じる物が対象であり、人生を折り返そうとする年齢層を対象にして使われることは、あまりありません。しかし、最近注目を集めている「成人発達理論」では、人の「知性」や「意識」は一生涯をかけて成長していくものとして研究され、理論化がされています。

言われてみれば、「知性」や「意識」が成長しないのなら、人は何のために100年に至ろうとする人生を生きるのか、成人後の何十年という時間は惰性のようだ、と思ってしまいます。そこに、聞こえてきたのがロバート・キーガン氏の「成人発達理論」です。

この「成人発達理論」は、人の「知性」や「意識」の発達を段階に分けて提示しています。つまり「発達段階理論」なわけですが、そもそも「発達段階理論」とは、児童期の発達段階を対象とするもので、成人は対象外でした。それほど、人の行動の質は幼少期に決まると思われていたのです。

私自身、自分の行動を振り返ってみて、子供の頃の経験が今の自分の思考パターンや行動パターンを形成しているという自覚があります。皆さんはいかがですか?

しかし、社会人になり、家族ができ、職場で役職につき、そうしていて自分の成長を感じた方も、たくさんいらっしゃるはずです。あるいは部下が成長していく過程を、注意深く、また喜びをもって見ている管理職の方も多いでしょう。

そうです。成人してもなお、人は成長をします。これも実感としてあるのではないでしょうか。

この大人になってからの変化、成長こそが「知性」の発達です。行動の質としての発達段階は、数多の研究結果が示すように「児童期」に完結するのかもしれません。一方で、「知性」や「意識」には別の発達メカニズムがあるのだとするのが「成人発達理論」です。

成人発達理論の5段階

「成人発達理論」ではどのように「発達段階」を区分けしているのでしょうか。発達段階毎に見える景色が違い、社会と関わる方法も変化していくといいます。段階が上がるほど「成長」したと捉えることができますので、ご自身や部下の発達段階を把握するためにも、「5つの発達段階」を確認しておきましょう。

具体的思考段階

これは未成年者、児童、幼児の段階です。もちろん考えることはできますが、具体的な形のないものを理解する力はまだ不十分です。

道具主義的段階

ここからが成人を対象とした発達段階です。道具主義的段階は自分の関心事や欲求に意識が向き、自己中心的な状態です。“道具主義”とは他者の立場に立つことができず、他者を道具のように扱うことからきています。

他者依存段階

他者の立場を理解できるようになっています。しかし、上司やリーダー、組織が意思決定の判断軸であり、自分の価値基準で行動を決めることができません。

自己主導段階

自分の価値基準が定まり、自律した行動ができるようになった段階です。他者の気持ちを尊重しつつ、自分の意見を述べることができます。

自己変容・相互発達段階

自分と他者の価値観や意見を区別することなく、互いの成長のために取り入れて支援ができる段階です。リーダーの資質充分といえますが、この段階に達している人は人口の1パーセントに満たないとも言われています。

私たちが各発達段階を進んでいくには、今いるステージの限界にまで成長しなければならないとされています。なぜなら各段階の未成熟な部分が、その他の部分の成長の足を引っ張るからです。そう聞くと「知性」や「意識」の成長はとても難しく、悲観的な気持ちになりますが、逆説的にいえば、それこそが私たちに与えられた伸びしろです。

まずは、ロバート・キーガン氏によって、こうした「発達段階」が定義されていることを知り、自分を見つめ直すことが、確信的な知性成長の一歩となるのではないでしょうか。

蛇足。

ロバート・キーガン氏はハーバード大学の教授であり組織心理学の研究者ですが、民間企業のコンサルティングも行ってきました。そうした経験を経て、知性成長の阻害要因についても言及しています。知性の発達を阻害するもの、ロバート・キーガン氏はそれを「裏の目標」と呼んでいます。

「裏の目標」とは、たとえば、“表”では部下の成長を支援する素振りでいながら、“裏”では部下の成長によって自分の立場が脅かされるのが怖い、といった精神構造をさします。無意識化で拒否をする自分がいることにより、次の発達段階に進むための準備が整わないのです。

その他、知性成長の阻害要因として「固定観念」も挙げています。物事に対する誤った固定観念が、広い視野や多様な価値観の受け入れを妨げることにより、知性の成長を鈍化させてしまうというのです。

VUCAワールドを背景に企業には早急な変革が求められています。そして企業は、これからの、あらゆる価値観を内包したビジネスシーンを生き残らなければなりません。新入社員であろうと、ベテラン社員であろうと、社員一人ひとりがより成熟した知性を手に入れなければ克服できない課題です。

管理職の皆さんは、部下とご自身、そして組織の成長を「知性」「意識」という枠組みで捉え、支援をしていく立場にあります。人はどのようにして発達していくのか、ぜひ一度、そのプロセスとメカニズムについて考えてみませんか?

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