Column
ロクゼロコラム
3分で読める社内勉強会の話
自他研鑽・交流の場として機能する「オンライン社内勉強会」
2020.07.07
少し前の話になりますが、2019年にパーソル総合研究所が、以下の調査を発表しました。
勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に何も行っていない」が46.3%で、14の国・地域で最も高い。2位のニュージーランドと比べて24.2ポイントも差があり、断トツで自己研鑽していない。一方、東南アジア(シンガポール以外)やインド、中国では「何も行っていない」は1割未満で、自己研鑽に意欲的な様子がうかがえる。なお、「読書」や「研修・セミナー、勉強会等への参加」は、各国共通して実施率が高い傾向にある。
出典:パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」
上記の通り、日本人は社外において「自己研鑽」をしない傾向にあることが分かりました。これはとてもネガティブな結果として印象を受け取れます。しかしながら、この質問はあくまで“社外”での自己啓発を対象にしています。“社内”での研修やトレーニングはどうでしょうか。
ご存知の通り、日本企業の多くは、毎年4月になると新社会人を受け入れ、彼らに特化したトレーニング(俗にいう新入社員研修)を実施します。特別なトレーニングを課さない企業においても、配属先の現場で、上司や先輩に仕事を教わりながら仕事を覚えていきます。(俗にいうOJT)
古くもあり新らしくもある「社内勉強会」という取り組み
海外と比較すると、日本人が“社外”で自己研鑽をしない傾向にあることはすでに述べました。そうなると、私達にとって“社内”での教育が持つ意味合いは、非常に大きいものと考えれないでしょうか。
一般企業で勤務経験がある方であれば、誰しもが一度は階層別研修やOJTといった社内教育を経験したことがあるはずです。しかし、そういった教育も、どこか“やらされている感”のようなものを感じた方も多いのではないでしょうか。実はこの“やらされている感”が、『受身の姿勢』を生み出す源泉なのです。
このような事象の一方で、“社内”で自己研鑽をするという視点から日の目を浴びたのが「社内勉強会」というシステムです。社内勉強会は、現場で必要とされる(皆が学びたいと思う)内容を中心に、学びたいと思う人が集まる場です。強制力はありませんので、そこに“やらされている感”はありません。
今、改めてこの社内勉強会が注目を集めています。
社内勉強会が目指すのは「自他研鑽」と「交流の場」
社内勉強会が目指すものは、集合教育でも自己研鑽でもありません。言うなれば「自他研鑽」です。
自分だけが学びたい、自分だけが成長したいと感じる方は、社外で自己研鑽に励めばいいのですが、社内勉強会は異なります。組織全体が学び、一緒に成長していく。まさに日本人にピッタリな場だとは思いませんでしょうか?
実はこの社内勉強会、2020年の新型コロナウイルスに端を発したリモート化においても、非常に高い効果を発揮します。3密を避けるため、集合研修をオンラインに切り替えた企業も多いと思いますが、受講者の日程調整や研修会社との打ち合わせなど、予想以上に準備にを手間をとられた方も多いと思います。また、研修というと、人事が受講対象者を決め、参加を強制します。研修テーマや1日のスケジュールも予め決められているので、どうしても受講者間でざっくばらんに会話する時間が限られてしまいます。つまり、交流の場が極端に減少したのです。
そこで提案したいのがオンライン社内勉強会です。「自他研鑽の場」である社内勉強会に、「交流の場」という視点も組み入れることで、リモート化における社内交流の機会を増やしていこうという発想です。現場主導で企画でき、かつ1回あたりの実施時間は短くても構わないため、人事など企画側の手間も研修ほどかかりません。
リモート化において社員同士の交流は一つの大きな課題です。このような課題感を払拭するためにも、企業の「学び」と人の「交流」を共存させるオンライン社内勉強会、現代社会においてとても貴重な場になるのではないでしょうか。