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ロクゼロコラム

ロクゼロ注目!ビジネススキル

最近注目のレジリエンス。もう凹んだままではいられない。

2022.10.04

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イヤなことがあったとしても落ち込んだ気持ちを引きずらない人っているものです。羨ましいかぎりですが、そうした人たちも、決して「イヤなこと」をキレイさっぱり忘れてしまったわけではありません。では、何をどうしてポジティブな状態でいられるのでしょうか?今回は人の心の回復力・レジリエンスについて考えます。

最近注目、レジリエンスとは何か

「レジリエンス(resilience)」とは、復活力や弾力を意味する英単語で、ビジネス領域では、危機的な状況やストレスから立ち直る「精神的回復力」を指して使います。

実は、もともとレジリエンスという言葉は物理学用語でした。そこに精神的な意味合いはなく、物体が力によって変化し、その後、元に戻る様子を表す言葉だったといいます。しかし、第二次世界大戦中に同じ場所で同じ辛い体験をした子ども達の心の回復力の研究課程で、レジリエンスに精神的な意味合いが加わったという見方があります。

私たちの身近なところで心の回復力について思い返してみます。

たとえば、学生時代。部活動の対外試合に完膚なきまで敗北を喫したとします。部員全員がとても悔しく、実力を出し切れなかったことに気持ちが沈みます。このとき、早くも翌日から次の機会に向けて行動を起こす仲間と、1週間程たっぷり落ち込んで、やっと練習に気持ちが戻る仲間とがいなかったでしょうか。

こうした落ち込みから立ち直る時間の差が、レジリエンス(精神的回復力)の強さの差です。

ビジネスの現場にも、私たちが落ち込んでしまう出来事がたくさんあります。スキルのこと、業績のこと、先輩や上司、同僚との人間関係も落ち込みの原因になります。

落ち込んだとき、本来ならじっくりと自分と対話をして、元気な気持ちを取り戻してから仕事をしたいのですが、そうした猶予が許されないのが社会人のツライところです。なぜなら、仕事はチームで行うものであるため、一人のメンバーのかけたブレーキが、仲間の仕事やチームの業績にマイナスに作用してしまうからです。

今、レジリエンスが注目を集めるのは、昨今のビジネスのスピードが、一人のメンバーのブレーキを許容できないほど速いことがバックグランドにあるといえます。

また、第5次産業革命の議論が進む今日にあって、完全無欠のテクノロジーと同期するように、テクノロジーを利用する側である“人”の、淀みない活動にも興味関心が寄せられています。

私たちが健康で前向きに仕事に取り組めることが、会社組織にとって、とても大切なのです。

レジリエンスを高める行動特性とは

皆さんの周りで「レジリエンスが高い人」といって思い浮かべる人は誰でしょうか。その人は、普段どのような考え方、行動をとる人でしょうか。明るい人ですか? 物静かな穏やかな人ですか?

実は、レジリエンスは特別な能力ではなく、生きていくために誰もが持っている基本的な能力の1つです。ただし、その強弱や表出の仕方には個人差があるため、落ち込んでから立ち直るまでのスピードに違いがあります。

こうした、レジリエンスを「持つ人」と「持たない人」がいるわけではない事実に、この能力の曖昧さがあります。「曖昧」としたのは、捉えどころがないという意味で、ある種の技術のように、鍛えたり訓練したりして獲得できる能力ではないということです。誤解を恐れずにいうのであれば、レジリエンスは人の「性格」の一部なのです。

これを言ってしまうと、一気にレジリエンスを高めること(つまり性格を直すこと)が難しく思えてしまいます。しかし、どうでしょう。本質的な性格は変わっていないのに、「社会人になって遅刻をしなくなった」とか、「お金を計画的に使うようになった」とか、行動面での変化を感じたことはありませんか? それこそ、まるで性格が変わったように。

そうです、行動の変化を通して人は変わることができます。レジリエンスを高める方法もまた同じです。皆さんの周りにいる「レジリエンスの高い人」の行動を理解し、真似ることで自分自身のレジリエンスが変化します。

次の①~⑥は様々な研究を通して、科学的に検証されたレジリエンスを高める行動特性です。危機的状況に直面したとき、自分とどう向き合えばよいかの参考になります。日頃から意識して取り組んでおきたいことも含まれています。ぜひ覚えて、ツライときには思い出してください。

①自己の気づき

自分の感情にもとづく行動や生理的反応に注意を払い、客観的に認識する力

②自己コントロール

ストレスを感じたり、危機を回避したい状況に陥ったりしたときに、思考や行動を止めないように感情を統制する力

③現実的楽観性

ストレスフルな状況にあって、自分がコントロールできることと自分ではコントロールできないことを区別し、コントロール下にある事象に注目して、ポジティブに行動を起こせる力

④精神的柔軟性(=精神的機敏性)

状況を俯瞰で把握し、感情的にならず冷静に行動をする力。俯瞰視をすることによって、多角的な視点で物事をとらえることができるため、柔軟かつ臨機応変に行動することができる

⑤強みとしての徳性(キャラクター)

自分の能力・強みを発揮して困難に打ち克つことのできる力

⑥関係性の力

強い人間関係を構築し維持する力。仲間との信頼が厚いほど、困難な状況で協力を得やすく、ストレスからの脱却に対する助けになる

レジリエンスを高めるメリット

いかがでしょうか。社会人にとって、レジリエンスを高めることが良いことなのがお分かりいただけたと思います。

ただし前提として、人は落ち込むものだという理解も必要です。失敗をしたりイヤなことがあったりすると人は落ち込みます。これは悪いことではありません。落ち込んだことにより、反省があり、その先に成長があると解釈できるからです。

問題なのは、落ち込んだ状態が長く続くことです。落ち込むことで普段通りのパフォーマンスを発揮できないでいると、一緒に仕事をしている仲間に迷惑をかけてしまいます。また、落ち込んだ状態は自分自身の精神的なバランスや体調を崩す原因にもなってしまいます。レジリエンスを高めることは、社会人として心身ともに健やかな毎日を過ごすために必要なのです。

ここで社会人の私たちにとって、また会社にとって、レジリエンスを高めることのメリットをまとめました。

・仕事に集中できる時間が増え、相対的なパフォーマンスが向上する
・思考停止に陥ることなく、発生した問題に冷静に対処することができる
・多角的に物事をとらえる癖がつき、思考に柔軟性、創造性が加わる
・健康的で前向きな感情と行動が、周囲に良い働きかけをする
・パフォーマンスが安定し、営業的な打ち手の数が増える
・限られた人材が有効的に活用される
・社員がビジネス環境の変化に対応できることで、組織の耐久力が向上する

会社は組織を守り維持するために、私たちは充実した社会人生活と将来のために、レジリエンスに関心をもち、それを高める取り組みをしていくべきなのがわかりました。自分の感情と冷静に向き合い、少しずつレジリエンスを高めていきましょう。

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