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ロクゼロコラム
ロクゼロ注目!ビジネススキル
ファシリテーション上手になるぞ!「対人関係スキル編」
2022.07.26
会議中、ファシリテーターは参加者に対して、積極的に発言してほしいと思い、決裁者にはニュートラルな決断をしてほしいと思うものです。また、議論が白熱しても、必要な時には鎮まり、冷静に話し合ってほしいと思います。そんなファシリテーターの願いをかなえるスキルが「対人関係スキル」です。
ファシリテーションの「対人関係スキル」とは?
ファシリテーションとは、会議をスムーズにそして効果的に進めるテクニックのことで、その役割を担うのがファシリテーターです。ビジネスシーンには、経営会議や取締役会議を筆頭に、報告会議、商品開発会議、アイデア出し会議など、様々な種類の会議があります。どれも情報共有や社員の意思疎通、組織の方針を決定するために、大切な位置づけにあります。
ただ、なかには残念な会議もあります。一つは会議のための会議となってしまうこと。定例会議によく見られることですが、会議の目的が曖昧になると陥りやすい現象といえるでしょう。もう一つは、参加者の顔触れや人数が不適切な場合です。これでは最終的な決断に至らなかったり、会議室にいるだけで議論に参加しない(あるいは、できない)社員が多数いたり、ということになってしまいます。
これらを調整して会議の場をつくるのが、ファシリテーションの「場のデザインスキル」ですが、今回は場を適切にデザインした後に、会議を意味あるものにする「対人関係スキル」について、考えたいと思います。
ファシリテーションの「対人関係スキル」とは、会議において、参加者の発言を促進して多様な意見を引き出し、アイデアを広げていくスキルのことをいいます。
具体的には、議題に沿って参加者の立場に合わせた質問をしたり、参加者の発言内容を正しく理解して真意を汲み取ったりすることが挙げられます。ファシリテーターからの質問は、議場の発言が滞ったときに有効であり、相手の真意を汲み取るのは、参加者の間で発言に対する認識の齟齬が生まれるのを防ぐのに役立ちます。
この2つを効果的に扱えるファシリテーターは、きっと議論を停滞させることなく進めていくことができるでしょう。
日頃の対人関係はファシリテーションに影響するか
会議運営について書かれたあるビジネス書に、ファシリテーターは日頃から決裁者とコミュニケーションをとっておくべきだと書かれており、少し違和感を覚えました。
たしかに、決裁者と良好な関係が築けていれば、会議の進行に協力してもらうことができます。たとえば、会議の参加者が忖度しないように決裁者には最後に発言してもらう、といったこと。これは日頃からコミュニケーションがとれていた方が頼みやすいと思われます。ただし、ファシリテーターは会議の場において中立でなければなりません。決裁者を含む会議参加者との関係がファシリテーションにバイアスをかけ、議事が歪むようなことがあってはならないのです。
このコラムの冒頭で、社内には様々な種類の会議があると述べました。多くの会議のなかには、ファシリテーターが固定されている会議があります。おそらく、皆さんの会社でも取締役会や経営会議は、毎回、司会をされる方が決まっているのではないでしょうか。それは、その会議のファシリテーションが専門職とみなされているからです。
一方で、情報共有が目的の報告会議や連絡会議、進捗確認の会議などは、ファシリテーターを固定する意味はあまりありません。むしろ、持ち回りで務めて、社員のファシリテーションスキルを上げていくべきです。
固定のファシリテーターと持ち回りのファシリテーター。
どちらも会議参加者とのコミュニケーションが必要です。とくに取締役会や経営会議の固定ファシリテーターは、高度な議題を取り扱うことが想定されるので、事前に情報を収集して議事を着実に進行するための準備をしておくべきです。しかし、それは会議の進行のためというより、もっと単純に仕事のため、と考えてよいと思います。なぜなら、会議も“日頃の”仕事の一つだからです。
実は、先に述べたビジネス書にあった「ファシリテーターは日頃から決裁者とコミュニケーションをとっておくべき」には、特別に決裁者と繋がりをもっておくことを推奨するニュアンスがあり、私はそこに嫌らしさを感じました。
もちろん職場のコミュニケーションは仕事をするうえで欠かせません。そして、会議を想定した場合のコミュニケーションは、ファシリテーターだから、決裁者だから、ということではなく、健全に“会議”という仕事を進行するために必要となるのです。
会議の場で行う、対人関係スキルの具体例
仕事の進捗を確認する報告会議であっても、淡々とした報告の後、次に何をするべきかの話し合いに移っていくことがあります。その際に多少の意見の食い違いが起きることがあるのではないでしょうか。また、アイデア出しの会議では、参加者の想いや価値観の違いから、やはり意見の食い違いが起きる可能性があります。
会議は、そうやって意見が対立するところから気付きが生まれ、新しいアイデアにつながったり、思いもよらない意見の合意がなされたりします。つまり、ファシリテーターは対立を避けてはいけないのです。
最後に、意見の対立をおそれず、多くの参加者から考えを引き出すテクニックを3つご紹介します。
対人関係スキル①…対立を誘発する
質問のスキルにクローズドクエスチョンとオープンクエスチョンがあるように、ファシリテーションにも意見を収束させるテクニックと意見を展開させるテクニックとがあります。思うように議論が進まないような状況でファシリテーターがするべきことは、思い切って会議を中断するか、既存意見に対するフィードバックを求めて議論を展開させるかのどちらかです。意見が異なる立場の人からの発言を促すことで、あえて対立構造を生み、多角的に議論がされるように誘導するのも一つのテクニックです。
対人関係スキル②…発言者を予告する
どれだけの意見から結論を導いたかによって、決定事項の精度や会議参加者の納得感が変わってきます。そのためファシリテーターは参加者全員から意見を聞き取れるように立ち回らなければなりません。しかし、会議時間の多くを独占して長く話す人や、自分の意見を声にしようとしない人がいて、ファシリテーターを悩ませます。そんな場合は、議題に入るときに予め全員の意見を聞くことを予告しておくとよいでしょう。あるいは当事者と思われる参加者数名に意見を聞くことをお願いしてから、議題に入るのもよいでしょう。
対人関係スキル③…発言を受け入れて称賛する
せっかく発言したのに冷ややかな反応をされたら、誰でも委縮して次の発言を控えてしまいます。会議中に発言をしてもらったら、ファシリテーターが率先して感謝を述べ、どんな内容でも、まずは受け入れて発言の良い点をおさらいするとよいでしょう。とくに各階層が参加する会議では、年次の浅い若手社員は発言しにくいものです。②の発言者予告でなかば強制的に意見をもらったら、感謝と称賛を忘れずに。
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