Column
ロクゼロコラム
ビジネスパーソン1UPへの道
髪型も決められなくて、キャリアデザインができるもんかっ
2021.09.03
夏は短く、冬は少し長めに。季節が進むとヘアスタイルを変えたくなりませんか?といっても、私の場合、したい髪型を決め切れないまま鏡の前に座り、「あの、伸びた分切ってください」とゴニョゴニョ伝えるのが落ちです。ヘアライターの佐藤友美さんによれば、なりたい髪型とは、すなわち「なりたい自分」なんだとか。モラトリアムでは理想の髪型には出会えないかも?!
理想の髪型論はキャリアデザインの話だった
くせっ毛やつむじの位置、髪質が制約条件になり、自分にできる髪型は限られているものです。
フリーライターの佐藤友美さんは、ヘアスタイルを模索しているなら「まず自分が褒められて嬉しい言葉を20個挙げましょう」とおっしゃいます。例えば、「かっこいい」「個性的」「頭がいい」「かわいらしい」「仕事ができる」などなど。
要は自分がなりたいイメージを20個挙げるということ。20個も挙げるのは、自分探しとイメージの深掘りをするためだそうです。最終的には20個の誉め言葉を3つに絞り、美容師さんなり、理容師さんなりに伝えればよいでそうです。
「プロフェッショナルである彼らは、髪質や癖などを考慮しながら、イメージに近づけてくれますよ」とは佐藤友美さん談。
このお話、どこかで聞いたことがあります。そう、なりたい自分、ありたい姿を探すのはキャリアデザインの肝ではないですか!
キャリアデザインとは、自分はどのような人生を歩みたいのか、仕事や家庭、収入など全般的な生き方についてイメージしてキャリアを描くことです。近年の社会環境・ビジネス環境は変化が激しく、私たちが企業に依存して生きることにはリスクがあります。終身雇用を前提とした人事制度の崩壊が言われるなか、私たちは、かつてより自律的に働くことが求められているのです。
キャリアデザインの3本の骨は、
・自分を知る(強味・弱みの把握)
・なりたい自分をイメージする
・具体的な行動計画を立てる
佐藤友美さんのお話を聞きながら、理想のヘアスタイルの決め方は、まさにキャリアデザインの骨子、「自分を知る・なりたい自分をイメージする」だなぁ、と思いました。
常識にとらわれない奇抜で個性的なヘアスタイルの人の格好良さにあこがれます。一方で、「これ!」と決めて、もう何年も何十年もヘアスタイルを変えない人や、ヘアスタイルに全くこだわらない人の格好良さも感じます。
自分を知り、理想を知り、自分を確立していく過程を描くのがキャリアデザインです。
一筋縄ではいかない、ワーク、ライフ、マネー
実際にキャリアデザインをするとき、考慮すべきなのが、「ワーク」「ライフ」「マネー」の3つの側面です。
仕事人間で家庭を顧みなかったお父さんが、定年退職のその日、妻から離婚を言い渡され第2の人生が寂しく始まった、なんていう話は絵空事ではありません。夫と妻の収入がバランスを欠き、夫婦間の気持ちの均衡がとれなくなった、ということもあるでしょう。ワーク、ライフ、マネーのいずれかに偏向したキャリアは戦略的とは言えないのです。
ひとまず、一般的な年代別のライフイベントを書き出してみましょう。
20代・・・就職、一人暮らし、結婚、子供の誕生、育児
30代・・・教育、マイホーム購入、子供の入園・入学、転職
40代・・・子供の部活動・習い事、進学・独立、親の介護
50代以降・・・マイホームのリフォーム、親の介護、定年・退職、社宅からの引っ越し、自らの健康問題、再就職
このように暮らしが変われば、住宅にかかる資金や子どもの養育・教育費、医療費、親の介護費用など、さまざまな費用負担が生じます。晩婚化が進んでいるものの、一般的には多くの人が伴侶を見つけ家庭を築きますよね。子供が生まれれば、養育費が掛かることはもちろん、仕事に費やせる時間も減少します。
若いうちは、好きな仕事に思い切り打ち込めなくなる自分を想像することは難しいでしょう。しかし、何の杞憂もなく一生を仕事にだけ没頭できる人は少ないものです。伴侶、子供、親、自分の健康など、様々な理由でライフステージが思うように進まないこともあるのです。
人生は小説より奇なり。キャリアデザインと軌道修正
年代ごとに挙げたライフイベントは極々一般的なものです。実際には、イベントの順序が入れ替わることもあれば、目の覚めるようなチャンスや想像を絶する苦境に直面することもあるでしょう。“事実は小説より奇なり”と言います。人生は、自分のものでありながら、全てをコントロールすることはできません。良いことも悪いことも突発的に起こる可能性があるためです。そうした不確定とも言える人生の計画を立てるキャリアデザインに、最初から完璧を求めるのは無理というものです。
しかし、だからと言ってボンヤリと流されるように毎日を過ごしていると、あるとき、何のスキルも自信も持ちあわせていないことに気づく、という事態を招きます。
まずは、理想とする人生のゴールと目標、そのために必要な手立てを考えましょう。自分の“強み”や“好き”を生かしてできること、“弱み”や“苦手”を克服しながら、地道に確実にキャリアを積んでいく計画です。
資格の取得や職業を通して実績を積み重ねるのもよいでしょう。将来のための資金計画も早いうちからスタートさせておくとよいですね。定年後も健康であるために、積極的に体作りをするのも意外と大事です。
そして、たとえキャリアデザイン通りに人生が進まなかったとしても、
・自分にとってプラスになることは何か
・自分が社会に貢献できていることは何か
・やりがいや生きがいをどこに見出すか
と前向きに考え、その時々でキャリアデザインを軌道修正すればよいのです。
なりたい自分のイメージがあれば、現状でできる最善を模索する手がかりを掴めるはずです。私の主観ですが、人生100年時代、自分が自信をもって社会とかかわることができるかがカギのような気がします。
まとめ
若いころはモシャモシャと邪魔なほど多く頑固だった髪が、年齢を重ねた今はヘニャヘニャと細くなり、何とも頼りない限りです。以前気に入っていたヘアスタイルを同じようにオーダーしても、あの頃のような仕上がりにはならなくなりました。髪も人生も年齢や環境によって変化します。大事なことは“自分を知っているか”、そして“なりたい自分を知っているか”。今ある素材を生かすのも殺すのも、結局は自分次第です。