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ロクゼロコラム

3分で読める社内勉強会の話

社内勉強会でかなうナレッジシェアのお話

2021.08.23

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テレワーク下、OJTやベテラン社員の知識・知恵の活用を効果的に進める方法が模索されています。社内勉強会の目的を「社員同士のコミュニケーション」としているチームもたくさんありますが、ここは、社内のナレッジシェアに一役買いませんか?社員が講師をつとめ、部署を超えて開催する社内勉強会は、ナレッジシェアの拠点になり得ます。

ナレッジシェアとは何か、おさらい

ピーター・ドラッカーは著書『新しい現実』のなかで、「知識」や「知恵」をビジネスに活かしていくべきだと提唱しました。また、そうした働きをする労働者をナレッジワーカーと定義しています。ナレッジ(knowledge)とは知識や知見という英単語で、ナレッジシェアはその共有ということになります。

つまりナレッジシェアとは、「社員個々人が保有している知識や経験を社内に広く共有すること」です。そして、その目的は「共有された情報を効果的に活用することにより、企業の業績を向上させ競争優位に導くこと」にあります。

通常、ナレッジは、①成功事例 ②失敗事例  ③顧客情報 ④専門的な知識・技術、の4点がシェアされることが多いようです。いずれもシェアされていることによって業務効率が上がる情報ばかりです。成功事例や失敗事例が情報として検索可能であれば、人知れずtry&errorを繰り返す手間が省けますよね。

テレワークが続く現状においては、他者の状況が見えづらく、ちょっとした雑談で必要な情報を取りに行くことも間々なりません。「暗黙知を形式知にする」。この必要性を今ほど実感することもないのではないでしょうか。

ナレッジシェアと社内勉強会の親和性

社内勉強会が活発に行われてきたのがIT業界や製薬・医療関係の企業です。商材そのものが日進月歩で変化するため、従来から勉強会の開催は欠かせませんでした。しかし、ここにきて、多くの業界で通年採用が浸透しはじめ、年数回の企業研修ではナレッジの共有が間に合わなかったり、社員間のコミュニケーションが取りづらくなる現象が起き始めました。

そうした背景もあり、社内勉強会の必要性に気づいた有志の皆さんが、まずは部署内、そして越境がおき、部署をまたいで勉強会が開催されはじめたのです。つまり、元来、社内勉強会は業務知識の共有を目的とする側面があるのです。

社内勉強会は、知識や知見に富むベテラン社員や外部研修を受けてスキルを学んだ社員が講師に立つことが多いですね。新しい知識がテーマとなる場合ももちろんあります。が、社外秘の技術や情報、失敗事例の対応策など、その企業の業務に直接かかわる情報やスキルがテーマとなることも多いはずです。また、情報やスキルの重要性や緊急度にかかわらず、伝えたいテーマがあれば誰が講師役をつとめてもよいのが、社内勉強会のよいところです。社内勉強会は有効な情報が共有される土壌にあるといえます。

そして、多くの運営チームが社内勉強会の目的に掲げている「社員間のコミュニケーション活性化」も、ナレッジシェアと親和性が高いといえます。シェアされたナレッジはユーザーがいてはじめて活用され、効果を発揮します。しかし、多くのナレッジシェアツールががフルに活用されているかというと、必ずしもそうではありません。残念ながら情報の登録も利用も少ないのが現実です。社内勉強会の組織内認知度は別の課題として、勉強会の参加者に限って言えば、当日シェアされたナレッジに確実に触れることができます。社内勉強会が社員にとってどれだけ身近なイベントかによって、ナレッジシェアの規模は変わりますが、少なくとも人から人へ直接ナレッジを伝えるシステムは構築されていると言えます。

ナレッジシェア成功の秘訣と社内勉強会

社内でナレッジシェアを進めるにあたって、欠かせないのは次の2点です。

①情報の電子化…ITツールの使用、チャットなどの社内インフラの利用

②ナレッジマネジメント…ナレッジシェアの必要性とメリットを社員に認識させ周知する

ナレッジシェアに特化したITツールも、その活用は十分であるとは言えません。その理由は組織によって様々ではありますが、共通して言えるのは、情報の登録者と情報の利用者の思惑が合致していないことにあります。

ナレッジシェアを効果的に行うには情報のデータベース化が必須であり、登録者と利用者のほかにデータの管理者が必要だと言われています。登録された時点の情報は、登録者視点で一方向にまとめられ、汎用性のあるデータとして完璧ではありません。完璧でないデータを検索しても、思い通りの結果が得られず、利用者は目当ての情報に行きつきません。登録者と利用者の思惑が合致していない、とはそうした意味です。

このような不一致を改善するために、登録情報と業務の関連付けを行い、有用なデータへと改修していくのが管理者の役割です。とはいえ、管理者を置く余裕のある組織もまた少ないと言えます。

一方で、社内勉強会でシェアされたナレッジは、当日の参加者のフィルターを通して一般化されます。データとして整備する準備が整うとでも言えるでしょうか。例えば、営業担当がほしい顧客情報と、経理担当がほしい売上げ、原価の情報が混在している案件情報があるとします。勉強会に営業部や経理部から参加者がいれば、その視点で情報を整理することはたやすいでしょう。また、商品企画部や製造部から参加している人がいれば、また違ったポイントで情報は整理されます。

まとめ

昨今の社内勉強会はオンライン開催が主流で、手軽にアーカイブを残しているようです。運営チームによっては勉強会終了後のレポートも発信されていることと思います。社内勉強会は、ナレッジの登録者と利用者の間の橋渡し役として、十分にその存在意義を発揮できる立場にいます。社員間のコミュニケーションをはかろうとして展開されてきた社内勉強会なら尚更です。ナレッジシェアを通して、自分にも組織にも貢献できる社内勉強会の在り方を模索してみてはいかがでしょうか。