Column
ロクゼロコラム
3分で読める社内勉強会の話
オンラインでの話し方を社内勉強会で身につけよう!
2021.07.19
有志で開催する社内勉強会は、参加者同士の対話や自由な議論が重要視されます。なぜなら、社内勉強会ではすべての参加者が『先生』であり『生徒』だからです。極端な言い方をすれば、発言者の意見の正しさより、その意見を受け止めて展開することの方が勉強だったりします。皆さんは社内勉強会で思うように話せているでしょうか?
オンラインの勉強会は勝手が違う
お客様との打ち合わせも、社内ミーティングも、今やWeb上、オンラインで行うのがスタンダードとなりました。もちろん社内勉強会の開催も多くがオンラインとなっています。そうしたなか、次のように思うことはないでしょうか。
「オンライン開催になってから発言しにくくなったな・・・」
オフラインのときはカジュアルに参加していたのに、今では発言もしづらくて、勉強会への参加そのものが楽しくなくなってきた、という方が少なくありません。これは、残念ながら、オフライン、対面での社内勉強会を上手に開催していたチームにも起こり得ることです。特に、社員間のコミュニケーションを第一の目的に据えていた勉強会は、オンライン独特のマナーやルールが障壁になり、場が盛り上がらなかったり、議論を深めるのに苦労したりしているかもしれません。
「ちょっとしたお菓子や飲み物を用意して、フランクに参加者の意見を吸い上げる」。これ、オンラインではなかなかに難しいことです。オンライン上で複数人の発言が重なると、重なったすべての声が聞き取りづらくなります。だから、オフラインでできていた「ツッコミ」がオンラインではできません。ボケとツッコミがあると対話が成立しやすく、話の方向性もはっきりとします。ところが人数の多い勉強会では「山田です。質問よろしいですか?」など、発言の前に名乗ることをルールにしていることもあります。話し出しのタイミングや会話のリズムが捉えにくいのがオンライン勉強会の一つの特徴なのです。
さらには、画面越しであるために参加者の熱量が伝わりにくい、その一方で、ギャラリービューで全員に見られている。これでは気楽な発言につながりません。オフラインとオンラインでは、勉強会の空気感が違うのです。
当日のテーマについて信念をもって参加しよう
とはいえ、「話しづらいから」と発言をサボってはいけません。自分のためにならず、勉強会の活性度にも悪い影響を及ぼします。では、何に気をつければよいのでしょうか。
オンライン勉強会では参加者一人ひとりが話の内容を整理して発言することが求められます。なぜなら、オンラインでは聞き手の集中力が割と早くに途切れてしまうからです。同僚のAさんの話を思い返してみて「あれ、何話していたっけ」なんていうことがありませんか? それは、話を聞いているうちに集中力を欠き、Aさんの声を「音」として認知してしまっていたからです。私たちは、相手の集中力が続いている間に、できるだけ要点をまとめて話さなければなりません。
事前配布資料があれば目を通して勉強会に参加する目的を確認しましょう。そのうえで勉強会のテーマについて、自分なりの意見や疑問点をまとめます。たとえば、ハラスメントの勉強会に参加するとして、
「私のあの行為はハラスメントだったのか」
「ハラスメントかどうかの判断は誰がするのか」
この2点を勉強会中に必ず発信する、と決めておくのもよいでしょう。発信した疑問が参加者全員に共有されることで、職場の課題として考えるきっかけになるかもしれません。私たちの「分からない」は貴重な意見なのです。
勉強会のテーマや目的が曖昧なままでは、的を射た発言はおろか、参加者同士の対話に加わることも叶いません。上手に発言するスキルを身につけるにしても、まずは基本を大切にしましょう。
勉強会で話すとき、意識すべきは?
さて、次に実際の発言スキルをいくつかご紹介します。
ロジカルコミュニケーションのフレームワーク
「相手の集中力が続くうちに」と高速で発言をしても、必要な情報が抜けていたり、筋道が通っていなかったりしたら、聞き手は困惑します。そんなときロジカルコミュニケーションのフレームワークは相手の理解を促すのに有効です。
ロジカルコミュニケーションの基本は「結論」とその「根拠」を準備することです。一つの結論に対して複数の根拠があると参加者の納得が得られやすくなり、また、根拠をイメージしやすくする「例」があると臨場感や共感が湧くので、オンラインでも場が温まります。余裕がある人は「例」を取り入れて発言してみましょう。
「端的に伝える」とは「短く伝える」ことではありません。無駄を省き、伝えるべきことを印象的に伝えることで、相手の理解を得ようとするものです。
①SDS法…「根拠」を「結論」で挟んで伝えます。始めと終わりに結論があるため、印象づけが可能です。
②TAPS法…理想と現実のギャップから問題を提起するフレームワークです。
T:Tobe 「ハラスメントゼロの社会にしたいです」
A:Asis 「しかし、現状はそうではありません」
P:Problem 「先日、某企業社員のSNSに過剰な業務命令がパワハラではないかと書き込みがあり話題になりました」
S:Solution 「今日の勉強会でこの話題について話し合ってみるのはどうでしょうか」
話し方に気を配る
オンライン勉強会では聞き手の集中力を保つ工夫が功奏します。
①丁寧に間をとって話す
単調な話し方は人の眠気を誘います。NHKのラジオ深夜便で短編小説を朗読するアナウンサーの語り調子を聞いてみてください。これから眠りにつこうとするリスナーにとって、適度にのっぺりと心地よく単調です。オンライン勉強会ではその逆を心掛けましょう。間をとるのは句読点の箇所です。意識的にとられた間は聞き手の集中力を刺激することができます。
②声のトーンを意識する
オンラインでは声の大小にあまり意味がありません。強調したい箇所は「高い声」で話すようにしましょう。元来、私たちは音の高低に敏感です。出身地によって異なる言葉のイントネーションが仲間内で話題になることがあります。この時の音の高低差は音響学的には小さいのですが、結構気になるものです。声のトーンを変えることで強調したい箇所が際立ちます。
目力でロックオン
お気に入りのアーティストのライブ配信で、アーティストと視線が合い続け嬉しくなったことはありませんか? 昨年、歌舞伎俳優の中村勘九郎さん、中村七之助さんが歌舞伎の配信公演を行いました。見得を切ったときの目線が、まさにカメラ目線。ファンを大いに喜ばせました。
私たちはオンライン上で会話をするとき、つい画面上の相手の顔(目)を見て話してしまいがちです。そうすると相手からは常に下を向いている私たちの顔が見えていることになります。オンラインの勉強会は話し手・聞き手の熱量が伝わりにくく、目線が合っていないと、その状況が増長されてしまいます。「カメラ目線」はマストです。
まとめ
オンラインでの対話がスタンダードになって一年が過ぎようとしています。ビジネスパーソンの多くがWeb会議システムに慣れてきました。一方で、その得手不得手もはっきりとしてきています。有志開催の社内勉強会こそtry&errorが許される場所です。オンラインで話すのが苦手だな、と思う参加者の皆さん、今回ご紹介したスキルにぜひtryしてみてください。