Column
ロクゼロコラム
ビジネスパーソン1UPへの道
今、どんな姿勢?肩こりも集中力低下もこれが原因だった。
2021.05.24
私はビーズクッションを椅子代わりに仕事をしています。しかし、このクッション、座り心地はよいのですが、重心を支えるものが何もなく、気をつけていないと背筋が曲がって前かがみになってしまいます。だからでしょうか、最近、ストレッチをすると背中がポキポキと音を立てるようになりました。皆さんは、今、どのような姿勢でこのコラムを読んでいますか?
オフィスの椅子は、やっぱり仕事仕様だった。
テレワークが推奨されるようになり、仕事用の机と椅子を自宅用に購入した方もいらっしゃるのではないでしょうか。私がビーズクッションを使いはじめたのもテレワークに移行したから。目線の高さをパソコンに合わせるのに便利だったためです。それにしても、自宅で仕事をするようになって改めて思ったのは、オフィスの机と椅子が、いかに丁度よく設計されているかということ。オフィス仕様の机と椅子は、長い勤務時間の間ずっと座り続けていても、それなりに姿勢を保つことができます。メーカーのカタログに目を通してみると、、、
①体圧分布が考えられていて、腰への負担が軽減されている
②蒸れにくいようにメッシュ素材を使用。長時間、快適に使用できる
③人間工学に基づいたデザインで疲れにくい
たしかにビーズクッションではそうはいきません。
私の場合は、一定時間キーボードに向かっていると背筋がまるく、肩が内側に入ってしまいます。気づいた時点で伸びをして姿勢をリセットするのですが、その際、冒頭でも書いたように、背骨が今まで聞いたことのない「ポキポキ」という音を立てるようになりました。コロナ禍、ジム通いをやめていることも影響して、かなりの運動不足です。ウォーキングに出るのがせいぜいで、マシンを使って腹筋・背筋を鍛えることはできません。それほどストイックでもない普通の人の私は、この一年間サボるだけサボりましたので、緩々の筋力に戻ってしまいました。私のようにビーズクッションではないにしても、ダイニングの椅子など、正しい姿勢を保つには不向きな椅子を仕事用に代用している場合も多いことと思います。自分の体がポキポキと鳴るようになったら、本気で姿勢について考えてみませんか。
姿勢が悪いと起こるデメリットをまとめました。
誰しも、姿勢が悪いといって叱られた経験があるのではないでしょうか。それは、「ピンと伸びた背筋が恰好よいから」だけが理由ではありません。見た目によくない悪い姿勢、私たちの体にはどのような影響があるのでしょうか。
①視力が低下する
机に覆い被さるような姿勢は「近業」と呼ばれる生活行動につながります。近業とは、目と物の距離が近いこと。ヒトは網膜にピントを合わせて物を見るのですが、近業の状態が続くと眼球の形状が崩れてピント機能が衰え、「近視」が進んでしまいます。また、無理な状態で物を見ることによる眼精疲労も起こりやすくなります。目の不調が集中力を欠き、日常生活はもちろん、仕事効率にも影響します。
②呼吸が浅くなる
猫背、つまり前かがみの状態は内臓を圧迫し、肺も広がらないため、深い呼吸ができなくなります。体を健康に維持するためには酸素が必要ですが、特に脳はもっとも酸素消費が多い臓器です。脳は取り込まれた酸素の20%~25%を使うといい、それだけ酸素量に反応しやすいといえます。酸素が不足するとボーっとして眠くなったり、思考力が低下したりします。欠伸をするのは、脳に酸素を取り入れるためですね。仕事中の眠気は厳禁です。
③首コリ、肩コリを引き起こす
一般的な成人男性の頭の重さは4Kg~6Kgと言われています。個人差もあり重量はまちまちですが、姿勢が悪いとその重さを首だけで支えることになります。自分では意識しないまま、首や首を支える肩に力が入っている状態です。これが続くと筋肉に疲労がたまり神経が圧迫されて血流が減少します。そうなると首、肩、そして腰にもコリや痛みを感じるようになってしまいます。頭蓋内の血流も滞りますから頭痛も引き起こされます。体のどこかが痛い、辛いといった状態は物事に集中するには不向きです。
その他、背筋が曲がり骨盤が傾斜した姿勢は、副交感神経が優位に働き、気持ちをリラックスモードにしてしまうといったデメリットもあります。悪い姿勢は、「仕事をしよう」と椅子に座った私たちに、様々に悪影響を及ぼします。
姿勢を正す方法をご紹介します。
街中で、「きっとダンサーだな」とか「モデルさんだな」と思う、ひと際美しい姿勢の人とすれ違うことがあります。長年の訓練で手に入れた正しい姿勢なのでしょう。そうしたプロフェッショナルの方々のように目を引くまでにはいかなくとも、自分のために何とか良い姿勢を手に入れたいものです。仕事効率が落ちるだけでなく、体にも悪影響がある悪い姿勢。どのように矯正していけばよいでしょうか。
①明るさを確保する
書き物をしたり、仕事をしたりするときは500~1000ルクスの照度が必要だといわれています。照度が足りないと、文字や手元が見えづらく、近くで見ようとして体を机に近づけ猫背になってしまいます。部屋の明るさが足りないと思ったら、デスクライトを置いて補いましょう。オンライン会議の際の光源確保に、ライトを購入した方もいるかもしれません。仕事中も手元を利き手の逆側から照らすようにライトを配置して、照度を確保します。ここで1点注意です。夕方、外が暗くなってもデスクライトがあれば手元は見えていますが、部屋全体の照明もつけましょう。全体照明は眼精疲労を抑えるために必要です。
②筋力をアップする
姿勢は体中の筋力が支え合って保持しています。とくに座り仕事をする人にとっては、腹筋や背筋を中心とした筋力のアップが効果的です。しかし、腹筋はともかく、背筋は鍛えにくい筋肉です。けれどボディービルダーのようになろうというのではありません。座った状態で背筋を伸ばして骨盤を前後に傾け、その体勢をそれぞれ5秒~10秒間キープ。後ろに倒したときはグッと背中を丸めて腹筋を意識してください。毎日少しずつ続けることで姿勢に変化が見られます。試してみてください。
③ツールに頼る
とはいえ筋力アップには時間がかかります。今すぐに姿勢を矯正したい方はツールに助けてもらいましょう。世の中には良い姿勢を維持するための商品が多数販売されています。椅子の座面に補助的に置いて使う低反発クッションや、骨盤に沿う形に成形された樹脂製のクッションなど。また、ノートパソコンの画面の高さを調整できるPCスタンドも、背中を丸めて画面に近づかなくなるので、まっすぐな背筋を保つのに効果があります。キーボードの前に据えて使うリストレストも、手首で力を分散させ体が前のめりになるのを防いでくれます。
まとめ
正しい姿勢は体に負担がかかりにくく、肩や腰の痛みを引き起こさないようにしてくれます。また、呼吸がしやすくなり脳に新鮮な酸素が届くため、スッキリした思考力を維持することができます。こんなご時世、自宅で一人孤独に仕事をすることも多くなりました。人の目がないとき姿勢は崩れがちです。自分の姿勢の悪化に気づいたら、積極的に姿勢を正す行動を。