Column
ロクゼロコラム
3分で読める社内勉強会の話
そうなんだ、愛なんだ!社内勉強会を継続させる「関係の質」向上とは
2021.02.16
「社内勉強会をもっと浸透させたい」「参加者を増やしたい」といった思いをかかえる勉強会運営チームは少なくありません。同僚や後輩に参加を促しても、「ま、ねぇ・・」と言葉を濁され、勉強会当日に「もしかしたら来てくれるかも」と期待する気持ちが泡沫に消える、そんな片思いを繰り返すのは何故でしょうか。
成功循環モデル「関係の質」で勉強会を活性化させる
組織を活性化させる仕組みの一つにダニエル・キム教授の提唱する「組織の成功循環モデル」があります。組織活性のフレームワークには、マネジメントスキルの「カッツ理論」や目標設定法の「SMARTの法則」などがあります。そのなかで「組織の成功循環モデル」がユニークなのは、敢えて遠回りのルートで目標を達成しようとすることです。ここでいう遠回りとは、キム教授の言うところの「Goodサイクル」を指します。
Goodサイクルでは、いきなり結果を求めず、まずはメンバーが互いの意思を尊重し本音で話し合える関係をつくることを推奨しています。良好な関係が構築されたチームには、柔軟な発想と思考力、行動力がつき、次第に組織の業績が上向きになり目標が達成される、というわけです。
社内勉強会は成果が見えにくく、目的に揺れが生じやすいという特徴を持っています。通常、社内プロジェクトには業績の向上や商品・サービスの完成といった目標があります。しかし、社内勉強会にはプロジェクト関係者が一丸となって目指す、いわゆる数値目標が存在しません。
その一見曖昧な存在の社内勉強会ですが、実は「組織の成功循環モデル」と親和性のあるプロジェクトといえます。なぜなら、社内勉強会は、取り組み過程で目標の輪郭が形成されていくプロジェクトだからです。数値目標も完成作品もない社内勉強会だからこそ目指せる将来があるのです。
社員と社内勉強会の関係の質を見直そう
そうはいっても、社内勉強会を始めたばかりで参加者が少なかったり、だんだんと参加者が離れていったりして、「関係の質」向上以前の状態である場合はどうしたらよいでしょうか。一つの提案として、皆さんの勉強会が社内でどのように捉えられているかを見直すことをお勧めします。
プロジェクトとその構成メンバーとの関係は、「人間関係」と似ていて、互いに信頼がなければうまくいきません。たとえば、人事異動。意外な人物が意外な部署に配属されることがありますが、本人がその人事に心から納得するには、配属された部署の仕事の仕方や上司・同僚をリスペクトする必要があります。(部内のプロジェクト異動であっても同様です。)このプロセスが人間関係構築のプロセスと似ていると思いませんか? では、よい人間関係とはどのような関係でしょうか。
〈良好な人間関係とは〉
①お互いが信頼して尊敬しあっている
②相手を理解しようとする姿勢がある
③お互いの目標を知っていて支援できている
さらに細かな枝葉が考えられるものの、概ねこの3点が良好な人間関係の軸といえるでしょう。そして、これら3点は、プロジェクトと人との関係に言い換えることができます。プロジェクトの意義への理解や自分との関係性、貢献意欲が湧くかどうか。いかがでしょうか、参加を命じられたプロジェクトに対して、これら全てをクリアして臨めることを想像したら、ワクワクしませんか?
社員と社内勉強会、仲良くしてもらうには?
プロジェクトと人との関係性が人間関係とよく似ていることは、お分かりいただけたかと思います。では、何をすれば社内勉強会と社員の皆さんを仲良く、良好な関係に導くことができるでしょうか。これには、運営チームの積極的な関与、力が必要です。
まず、もっとも大切なのは、社内勉強会への参加メリットが明確であることです。
これは、プロジェクトと社員との信頼や尊敬に関わる事項です。「会社組織にも、社員自身にもメリットがある」と分かってもらえる工夫をしていきましょう。会社が好きで、仕事が好きな社員が運営チームの働きかけに反応を示してくれることでしょう。
そのためには、社内勉強会を始めたきっかけに立ち返り、なぜ「社内勉強会なのか」を明文化するとよいでしょう。そして、折にふれ社内勉強会を周知する機会を設けます。また、各勉強会は、社員が自分事と捉えられるテーマを設定して開催できるとよいでしょう。
社員のニーズをテーマに反映するには、日頃からのリサーチが欠かせず、ここに運営チームの最も強い関与と注力が必要となります。勉強会のテーマをファシリテーターに任せている場合も、社内勉強会の存在意義にふさわしいか、参加者や組織のメリットになるか、といったチェックが不可欠でしょう。ただしチェックの幅は各チームで設定してよいと思います。ユルく楽な気持ちで参加してもらうことが当面の目標なのであれば、それでもよい、ということです。
次に、誰もがファシリテーターに挑戦できる環境をつくることです。
プロジェクトでも人間関係でも、一方的な愛情は長続きしません。勉強会の参加者がいずれファシリテーターとして与える側になることで自己肯定感が高められ、関係が長続きします。そのために運営チームができることは「支援」です。
けれど、手取り足取りではありません。たとえば、開催された勉強会の様子をアーカイブするとか、勉強会の資料をイントラネットにアップするといった施策は、いつか登壇してみたいと思う参加者の助けになります。
また、勉強会の心理的安全性を確保することも大切です。勉強会では、ファシリテーターと参加者の区別なく、双方に(節度をもった)発言の自由が認められている必要があります。具体的には、
①承認の気持ちをもってフィードバックする
②反対意見を言われても感情的にならない
③参加者同士が無関心にならない
などが考えられます。これらは人として当たり前すぎて、守られなかったときの対処の方が難しいかもしれません。心理的安全性が脅かされたらアクションを起こせるよう、事前のルール化をお勧めします。また、勉強会の机を円卓にしたり、テーブルにお菓子を用意するなどの工夫で、柔和な雰囲気を演出することができます。オンラインで勉強会を開催するなら、画像の背景をカジュアルなものにして、その場を堅苦しくさせないのも一つのアイデアです。
まとめ
今回は社内勉強会を継続させるための方法論を、勉強会と社員の「関係の質」から考えました。関係の質を向上させるために運営チームで行いたいことは次のとおりです。